数学2円,共有点,直線,図形と方程式
今回は、円と直線の共有点の座標について学習しましょう。グラフの共有点はこれまでにも扱っています。たとえば、2直線の共有点や2次関数と直線の共有点などです。
グラフの式が変わっただけで、基本的な考え方は変わりません。
円と直線の共有点の座標
円周上や直線上の点
円周上にある点や、直線上にある点の座標は、それぞれの方程式を満たす解です。ですから、円や直線の方程式を満たさないものは、グラフ上の点ではありません。
円と直線の共有点とは、円周上にあって、なおかつ直線上にもある点のことです。したがって、円と直線の共有点の座標は、円の方程式を満たし、なおかつ直線の方程式も満たすことになります。
このような共有点の座標を求めるには、円と直線の方程式を連立させて解きます。
共有点があるとき、連立方程式を解くと実数解が得られます。しかし、共有点がないとき、連立方程式を解いても実数解が得られません。計算ミスがなくても実数解が出てこない場合があるので注意しましょう。
例題で手順を確認してみましょう。
円と直線の座標を求めてみよう
円と直線の座標を求めてみましょう。
例題
円 $x^{\scriptsize{2}}+y^{\scriptsize{2}}=5 \ \cdots$ ① と次の直線に共有点はあるか。
あるときは、その点の座標を求めよ。
(1) $y=x+1$
(2) $y=-2x+5$
(3) $y=2x-6$
2次式と1次式を連立させて解くので、加減法ではなく、代入法を利用しましょう。
例題(1)の解答・解説
例題(1)
円 $x^{\scriptsize{2}}+y^{\scriptsize{2}}=5 \ \cdots$ ① と次の直線に共有点はあるか。
あるときは、その点の座標を求めよ。
(1) $y=x+1$
作図すればおおよその関係が掴めます。作図すると以下の通りです。円と直線の共有点は第1象限と第3象限にできそうです。
円と直線の方程式を連立させて解きます。
例題(1)の解答例 1⃣
\begin{align*}
&\text{$y=x+1 \ \cdots$ ②を①に代入して整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+\left( x+1 \right)^{\scriptsize{2}}=5 \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+x^{\scriptsize{2}}+2x+1=5 \\[ 5pt ]
&\quad 2x^{\scriptsize{2}}+2x-4=0 \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+x-2=0 \\[ 5pt ]
&\quad \left( x+2 \right)\left( x-1 \right)=0 \\[ 5pt ]
&\text{これを解くと} \\[ 5pt ]
&\quad x=-2 \ , \ 1 \\[ 5pt ]
\end{align*}
円と直線の方程式を連立させて解くと、文字xについての2次方程式を導けます。そして、この2次方程式を解くと、共有点があれば実数解が得られます。
実数解は共有点のx座標です。例題(1)では実数解が2個得られたので、共有点は2個あることが分かります。実数解と見比べてみても、作図は間違ってなさそうです。
共有点のy座標を求めます。得られた実数解と直線の方程式を利用しましょう。
例題(1)の解答例 2⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad x=-2 \ , \ 1 \\[ 5pt ]
&\text{これを②に代入すると} \\[ 5pt ]
&\quad x=-2 \ \text{のとき} \ y=-1 \\[ 5pt ]
&\quad x=1 \ \text{のとき} \ y=2 \\[ 5pt ]
&\text{よって、円①と直線②は} \\[ 5pt ]
&\quad ( -2 \ , \ -1 ) \ , \ ( 1 \ , \ 2 ) \\[ 5pt ]
&\text{の2点で交わる。}
\end{align*}
連立方程式や2次方程式についての知識があれば、円と直線の共有点の座標を求めることができます。
例題(2)の解答・解説
例題(2)
円 $x^{\scriptsize{2}}+y^{\scriptsize{2}}=5 \ \cdots$ ① と次の直線に共有点はあるか。
あるときは、その点の座標を求めよ。
(2) $y=-2x+5$
作図は以下のようになります。図から円と直線が接する可能性に気付けば充分です。
例題(2)も同様にして、円と直線の方程式を連立させて解きます。
例題(2)の解答例 1⃣
\begin{align*}
&\text{$y=-2x+5 \ \cdots$ ③を①に代入して整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+\left( -2x+5 \right)^{\scriptsize{2}}=5 \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+4x^{\scriptsize{2}}-20x+25=5 \\[ 5pt ]
&\quad 5x^{\scriptsize{2}}-20x+20=0 \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}-4x+4=0 \\[ 5pt ]
&\quad \left( x-2 \right)^{\scriptsize{2}}=0 \\[ 5pt ]
&\text{これを解くと} \\[ 5pt ]
&\quad x=2 \ \text{(重解)}
\end{align*}
得られた2次方程式を解くと、実数解は重解となりました。例題(2)では実数解が1個得られたので、共有点は1個あることが分かります。
共有点のy座標を求めます。得られた実数解を直線の方程式に代入します。
例題(2)の解答例 2⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad x=2 \ \text{(重解)} \\[ 5pt ]
&\text{これを③に代入すると} \\[ 5pt ]
&\quad y=1 \\[ 5pt ]
&\text{よって、円①と直線③は} \\[ 5pt ]
&\quad ( 2 \ , \ 1 ) \\[ 5pt ]
&\text{で接する。}
\end{align*}
例題(3)の解答・解説
例題(3)
円 $x^{\scriptsize{2}}+y^{\scriptsize{2}}=5 \ \cdots$ ① と次の直線に共有点はあるか。
あるときは、その点の座標を求めよ。
(3) $y=2x-6$
作図は以下のようになります。図から円と直線が共有点をもたない可能性に気付けば充分です。
円と直線の方程式を連立させ、文字xについての2次方程式を導きます。
例題(3)の解答例 1⃣
\begin{align*}
&\text{$y=2x-6 \ \cdots$ ④を①に代入して整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+\left( 2x-6 \right)^{\scriptsize{2}}=5 \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+4x^{\scriptsize{2}}-24x+36=5 \\[ 5pt ]
&\quad 5x^{\scriptsize{2}}-24x+31=0
\end{align*}
予め作図していれば共有点がない可能性に気付くので、むやみに2次方程式を解くことはないでしょう。共有点がなければ2次方程式は実数解をもたないので、実数の範囲では方程式を解くことはできません。
作図から共有点がない可能性に気付いたら、2次方程式の判別式の値を確認しましょう。判別式の値が負であれば、2次方程式は実数解をもちません。2次方程式を解く必要がなくなるので、解が求まらなくて慌てずに済みます。
例題(3)の解答例 2⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad 5x^{\scriptsize{2}}-24x+31=0 \\[ 5pt ]
&\text{この2次方程式の判別式をDすると} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{D}{4}=(-12)^{\scriptsize{2}}-5 \cdot 31 \\[ 5pt ]
&\quad \therefore \quad \frac{D}{4}=-11 \lt 0 \\[ 5pt ]
&\text{よって、円①と直線④は共有点をもたない。}
\end{align*}
作図をしていれば、このような解き方が可能になります。共有点の有無で方針が変わるので、解く前に作図する習慣をつけましょう。
次は、円と直線の共有点の座標を扱った問題を実際に解いてみましょう。