図形と方程式|放物線と円の共有点・接点について

数学2

図形と方程式 円、円と直線、2つの円

放物線と円の共有点・接点を扱った問題を実際に解いてみよう

次の問を解いてみましょう。

放物線 $y=x^{2}$ と円 $x^{2}+(y-4)^{2}=r^{2} \ (r \gt 0)$ がある。放物線と円の交点が $4$ 個となる $r$ の範囲を求めよ。

解く前に、放物線や円について基本的な事柄を確認しておきましょう。

放物線と円についての確認

放物線の方程式は

\begin{align*} \quad y=x^{2} \end{align*}

より、頂点は原点で、軸は $y$ 軸。

また、円の方程式は

\begin{align*} \quad x^{2}+(y-4)^{2}=r^{2} \ (r \gt 0) \end{align*}

より、中心は $(0 \ , \ 4)$ 、半径は $r$。

放物線も円もともに $y$ 軸に関して左右対称で、放物線の軸が円の中心を通る。

また、円の半径 $r$ の値が変化することで、放物線との交点の個数が変化する。

半径rの値が変化するのに伴って、放物線と円の交点の個数も変化します。rの値を徐々に大きくしていくと分かりやすいでしょう。

半径rの値を大きくすると、まず放物線が円と2点で接します(r=r1のとき)。

rの値をさらに大きくすると、放物線が円と4点で交わります

最後に放物線が円と3点で交わります。このとき、接点が1つできます。

問 放物線と円の交点の図(4つの交点をもつ場合)
放物線と円が4つの交点をもつ

以上のことを踏まえて解きます。

問の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad y=x^{2} \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+(y-4)^{2}=r^{2} \ (r \gt 0) \quad \cdots \text{②} \end{align*}

放物線と円が $1$ 点で接するときの円の半径は $4$ である。

また、放物線と円が $2$ 点で接するときの円の半径を $r_{1}$ とする。

放物線と円の交点が $4$ 個となるのは、図から

\begin{align*} \quad r_{1} \lt r \lt 4 \end{align*}

のときである。

よって、$r_{1}$ の値を求めればよい。

問 放物線と円の交点の図(4つの交点をもつ場合)
放物線と円が4つの交点をもつ

求める半径rの範囲を把握することができました。あとは、放物線と円が2点で接するときの半径rの値を求めるだけです。

放物線と円の方程式を連立して、yについての2次方程式を導出します。yを消去すると、xについての4次方程式になるので注意しましょう。

問の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad y=x^{2} \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+(y-4)^{2}=r^{2} \ (r \gt 0) \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad r_{1} \lt r \lt 4 \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align*}

①,②から $x$ を消去すると

\begin{align*} \quad y+(y-4)^{2}=r^{2} \end{align*}

整理すると

\begin{align*} \quad y^{2}-7y+16-r^{2}=0 \end{align*}

これに $r=r_{1}$ を代入すると

\begin{align*} \quad y^{2}-7y+16-{r_{1}}^{2}=0 \end{align*}

放物線が円と2点で接する(r=r1)とき、yについての2次方程式は重解をもちます。2次方程式の判別式を利用します。

問の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad r_{1} \lt r \lt 4 \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad y^{2}-7y+16-{r_{1}}^{2}=0 \end{align*}

この $2$ 次方程式の判別式を $D$ とすると、$r=r_{1}$ のとき $2$ 次方程式は重解をもつので

\begin{align*} \quad D &=\left(-7 \right)^{2}-4\left(16-{r_{1}}^{2} \right) \\[ 7pt ] &= 4{r_{1}}^{2}-15 =0 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad {r_{1}}^{2}=\frac{15}{4} \end{align*}

ここで、$r_{1} \gt 0$ より

\begin{align*} \quad r_{1}=\frac{\sqrt{15}}{2} \end{align*}

したがって、求める $r$ の範囲は

\begin{align*} \quad \frac{\sqrt{15}}{2} \lt r \lt 4 \end{align*}

図も参考にすると、放物線と円の交点の個数を把握しやすくなります。それほど悩まずに解くことができるでしょう。

問の別解・解説

例題(2)の別解と同様の考え方で解くことができます。もとの放物線と、後から導出した放物線(yについての2次式)とを混同しないように気を付けましょう。

問の別解例

\begin{align*} &\quad y=x^{2} \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+(y-4)^{2}=r^{2} \ (r \gt 0) \quad \cdots \text{②} \end{align*}

①より

\begin{align*} \quad y=x^{2} \geqq 0 \end{align*}

①であるので

\begin{align*} \quad y \geqq 0 \end{align*}

$y \gt 0$ の $y$ の $1$ つの値に対して、$x$ の値は $2$ つある。

それに対して、$y=0$ のとき、$x$ の値は $x=0$ だけである。

よって、放物線と円が $4$ 個の共有点をもつための条件は、放物線①と円②から $x$ を消去して得られる $2$ 次方程式

\begin{align*} \quad y^{2}-7y+16-r^{2}=0 \end{align*}

が $y \gt 0$ において、異なる $2$ つの正の解をもつことである。

y>0の範囲で考えなければならないので、「異なる2つの実数解」という条件では足りません。実数解は異なる2つの正の解でなければなりません

このような解をもつ範囲内で、さらに条件を列挙します。このとき、yについての2次方程式から2次関数に置き換えて考えます。

問の別解例 2⃣

\begin{align*} &\quad y=x^{2} \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+(y-4)^{2}=r^{2} \ (r \gt 0) \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad y^{2}-7y+16-r^{2}=0 \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align*}

$2$ 次方程式の判別式を $D$ とすると

\begin{align*} \quad D &=\left(-7 \right)^{2}-4\left(16-r^{2} \right) \\[ 7pt ] &= 4r^{2}-15 \\[ 7pt ] &= \left(2r+\sqrt{15} \right)\left(2r-\sqrt{15} \right) \gt 0 \end{align*}

ここで、$r \gt 0$ より

\begin{align*} \quad r \gt \frac{\sqrt{15}}{2} \quad \cdots \text{③} \end{align*}

また

\begin{align*} \quad f(y) &=y^{2}-7y+16-r^{2} \\[ 7pt ] &=\left(y-\frac{7}{2} \right)^{2}+\frac{15}{4}-r^{2} \end{align*}

とすると、軸は

\begin{align*} \quad \frac{7}{2} \gt 0 \end{align*}

また

\begin{align*} \quad f(0) =16-r^{2} \gt 0 \end{align*}

から

\begin{align*} \quad -4 \lt r \lt 4 \quad \cdots \text{④} \end{align*}

③,④の共通範囲から、求める $r$ の範囲は

\begin{align*} \quad \frac{\sqrt{15}}{2} \lt r \lt 4 \end{align*}
問の別解の図(2次関数f(y)のグラフが異なる2つの正の解をもつ場合)
問の別解の図

2次関数f(x)の式を変形すると、グラフの軸がy>0の範囲に含まれることが分かります。ですから、2次方程式が異なる2つの正の解をもつには、判別式D>0の条件と、f(0)>0の条件だけで済みます。

方程式の実数解と、グラフの共有点との関係は、関数の単元では頻繁に出題されます。特に、三角関数では2次関数よりも難解になるので、差がつきやすくなります。じっくり時間を取って余裕をもって取り組みましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 放物線と円の接点は、2個の場合と1個の場合がある。
  • 放物線と円の共有点を考えるとき、交わるだけでなく、接するときも考えよう。
  • 放物線と円の接点を求めるには、yについての2次方程式を導出しよう。
  • yについての2次方程式が重解をもてば、放物線と円は2点で接する。
  • 共有点なら実数解、接点なら重解と覚えよう。