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積分法|区分求積法を扱った入試問題を解いてみよう

大学入試,数学3

入試問題にチャレンジ

問の記述例

上述したことをすべて記述するのはさすがに大変です。答案としては多少簡潔にする必要があります。

難易度の高い問題になると、方針がきちんと立っていないと上手に記述できません。また、一発できちんとした答案を記述しようと思わないことです。推敲が必要だと考えておくと無難です。

問の記述例

2nk=1(1)k (k2n)100=nl=1(1)2l(2l)100+(1)2l1(2l1)100(2n)100=nl=1(2l)100 (2l1)100(2n)100=nl=11(2n)100[(2l)100 {98p=0100Cp (1)100p (2l)p100(2l)99+(2l)100}]=nl=11(2n)100{100(2l)99 98p=0100Cp (1)100p (2l)p}=nl=1{100(2l)99(2n)100 1(2n)10098p=0100Cp (1)100p (2l)p}=nl=150n(ln)99 nl=1{98p=0100Cp (1)100p12100p1n100p(ln)p}=50nnl=1(in)99 98p=0100Cp (1)100p12100p1n99p1nnl=1(ln)p

n のとき

1050x99dx 98p=0100Cp (1)100p12100p010xpdx= 1050x99dx= [ 12x100 ]10= 12 したがってlim

あくまでも一例なので、もっと良い答案があるかもしれません。自分なりに最適な答案を考えてみましょう。

ここでは区分求積法と定積分の関係を利用して解きましたが、別解として、平均値の定理(別解参照)を利用して解くこともできます。余裕があれば解いてみると良いでしょう。

問題の別解例

平均値の定理を利用して解くこともできます。こちらの方は式変形が簡単なので、解きやすいかもしれません。

問の別解例

\begin{align*} &\quad \sum_{k=1}^{2n} (-1)^{\scriptsize{k}} \ \left(\frac{k}{2n} \right)^{\scriptsize{100}} = \sum_{l=1}^{n} \cfrac{(2l)^{\scriptsize{100}} \ – (2l-1)^{\scriptsize{100}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \\[ 10pt ] &\text{$f(x) = x^{\scriptsize{100}}$ とおくと} \\[ 5pt ] &\quad f'(x) = 100x^{\scriptsize{99}} \\[ 10pt ] &\text{平均値の定理から} \\[ 5pt ] &\quad f(2l)-f(2l-1) = \left\{ (2l)-(2l-1) \right\} \cdot 100c^{\scriptsize{99}} \\[ 10pt ] &\qquad 2l-1 \lt c \lt 2l \\[ 5pt ] &\text{を満たす $c$ が存在する。} \\[ 5pt ] &\quad (2l)^{\scriptsize{100}}-(2l-1)^{\scriptsize{100}} = 100c^{\scriptsize{99}} \\[ 10pt ] &\text{より} \\[ 5pt ] &\quad 100(2l-1)^{\scriptsize{99}} \lt (2l)^{\scriptsize{100}}-(2l-1)^{\scriptsize{100}} \lt 100(2l)^{\scriptsize{99}} \\[ 10pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad 100 \sum_{l=1}^{n} \frac{(2l-1)^{\scriptsize{99}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \lt \sum_{l=1}^{n} \cfrac{(2l)^{\scriptsize{100}} \ – (2l-1)^{\scriptsize{100}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \lt 100 \sum_{l=1}^{n} \frac{(2l)^{\scriptsize{99}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \\[ 10pt ] &\quad 100 \sum_{l=1}^{n} \frac{(2l-1)^{\scriptsize{99}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \lt \sum_{k=1}^{2n} (-1)^{\scriptsize{k}} \ \left(\frac{k}{2n} \right)^{\scriptsize{100}} \lt 100 \sum_{l=1}^{n} \frac{(2l)^{\scriptsize{99}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \\[ 10pt ] &\text{ここで} \\[ 5pt ] &\quad 100 \sum_{l=1}^{n} \frac{(2l-2)^{\scriptsize{99}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \lt 100 \sum_{l=1}^{n} \frac{(2l-1)^{\scriptsize{99}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \\[ 5pt ] &\text{より} \\[ 5pt ] &\quad 100 \sum_{l=1}^{n} \frac{(2l-2)^{\scriptsize{99}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \lt \sum_{k=1}^{2n} (-1)^{\scriptsize{k}} \ \left(\frac{k}{2n} \right)^{\scriptsize{100}} \lt 100 \sum_{l=1}^{n} \frac{(2l)^{\scriptsize{99}}}{(2n)^{\scriptsize{100}}} \\[ 10pt ] &\quad \therefore \frac{50}{n} \sum_{l=1}^{n} \left(\frac{l-1}{n} \right)^{\scriptsize{99}} \lt \sum_{k=1}^{2n} (-1)^{\scriptsize{k}} \ \left(\frac{k}{2n} \right)^{\scriptsize{100}} \lt \frac{50}{n} \sum_{l=1}^{n} \left(\frac{l}{n} \right)^{\scriptsize{99}} \\[ 10pt ] &\text{$n \to \infty$ のとき} \\[ 5pt ] &\quad \frac{50}{n} \sum_{l=1}^{n} \left(\frac{l-1}{n} \right)^{\scriptsize{99}} \longrightarrow \ \int_{0}^{1} {50x^{\scriptsize{99}} dx} = \left[ \ \frac{1}{2} x^{\scriptsize{100}} \ \right]_0^1 = \frac{1}{2} \\[ 10pt ] &\quad \frac{50}{n} \sum_{l=1}^{n} \left(\frac{l}{n} \right)^{\scriptsize{99}} \longrightarrow \int_{0}^{1} {50x^{\scriptsize{99}} dx} = \frac{1}{2} \\[ 10pt ] &\text{したがって} \\[ 5pt ] &\quad \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{2n} (-1)^{\scriptsize{k}} \ \left(\frac{k}{2n} \right)^{\scriptsize{100}} = \frac{1}{2} \end{align*}

平均値の定理を利用した別解でも、区分求積法と定積分の関係を利用していますが、利用できる形に変形するまでの難易度が異なります。

区分求積法と定積分の関係を利用する解法では、定積分を利用できるように与式を変形するのに対して、平均値の定理を利用する解法では、与式に近付けていくイメージで解いています。アプローチの仕方が異なります。

別解では、不等式の変形が少し難しいかもしれませんが、先に紹介した記述例に比べると易しいです。

最後は、はさみうちの原理を利用して、与式の極限値を求めています。はさみうちの原理を使うときには注意点があったので、そこに注意しながら使いましょう。

さいごに

今回の問題は、京都大学の入試で出題された問題です。このレベルの問題を解きこなすには、思考することに免疫がないとかなり難しいでしょう。

難問に出会ったとき、解答をすぐに見てしまうと、思考することをすぐに放棄する癖がついてしまいます。これはとてもまずい習慣です。そのままだと、問題を解決する能力が育ちません。

基本的に、2次試験などの記述形式の問題は、短時間で解くような問題ではありません。方針や記述内容などをじっくり吟味して解く問題です。センター試験などの問題のように、短時間でアウトプットして解く問題とは根本的に趣旨が異なります。

入試問題を解くことで、自分の学力の完成度合いを測ることができます。もし、まだ足りないと思えば、教科書の章末問題レベルに戻って、きちんと解けるかを確認すると良いでしょう。もちろん、答案をきちんと作成できるかの確認も合わせて行いましょう。

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