数学2
比例式の値を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
\begin{align*}
&\quad \frac{y+2z}{x}=\frac{z+2x}{y}=\frac{x+2y}{z} \\[ 7pt ]
&\text{のとき、この式の値を求めよ。}
\end{align*}
比例式の値を求める問題です。分数式の分子が循環形の式であることに注目しましょう。
問の解答・解説
定石通り、「=k」とおいて比例式を変形します。
問の解答例 1⃣
\begin{align*}
&\quad \frac{y+2z}{x}=\frac{z+2x}{y}=\frac{x+2y}{z}=k \\[ 7pt ]
&\text{とおくと、} \\[ 5pt ]
&\quad y+2z=xk \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ]
&\quad z+2x=yk \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ]
&\quad x+2y=zk \quad \cdots \text{③}
\end{align*}
3つの等式が得られました。連立方程式を解いても良いですが、ここでは循環形の式であることに注目して、これらの辺々を加えます。
問の解答例 2⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad y+2z=xk \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ]
&\quad z+2x=yk \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ]
&\quad x+2y=zk \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ]
&\text{①,②,③について、辺々を加えると} \\[ 5pt ]
&\quad 3 \left( x+y+z \right)= \left( x+y+z \right)k \quad \cdots \text{④}
\end{align*}
④式の両辺に共通因数x+y+zができましたが、何も言わずに割ってはいけません。0で割れないことに注意して、場合分けします。
まず、共通因数x+y+zの値が0でないときを考えます。比例式の値を求めます。
問の解答例 3⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad 3 \left( x+y+z \right)= \left( x+y+z \right)k \quad \cdots \text{④} \\[ 7pt ]
&[ \ 1 \ ] \ x+y+z \neq 0 \ \text{のとき} \\[ 5pt ]
&\text{④より} \\[ 5pt ]
&\quad k= 3
\end{align*}
求めた比例式の値(kの値)における連立方程式を解きます。
問の解答例 4⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad y+2z=xk \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ]
&\quad z+2x=yk \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ]
&\quad x+2y=zk \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ]
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\text{このとき、①,②,③は} \\[ 5pt ]
&\quad y+2z=3x \quad \cdots \text{①’} \\[ 7pt ]
&\quad z+2x=3y \quad \cdots \text{②’} \\[ 7pt ]
&\quad x+2y=3z \quad \cdots \text{③’} \\[ 7pt ]
&\text{①’-②’× $2$ より、} \\[ 5pt ]
&\quad y-4x=3x-6y \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad x=y \\[ 7pt ]
&\text{これと③’より、} \\[ 5pt ]
&\quad x+2x=3z \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad x=z \\[ 7pt ]
&\text{したがって、} \\[ 5pt ]
&\quad x=y=z
\end{align*}
連立方程式を解くと、例題のときと同じように、文字x,y,zの値がすべて等しいことが分かりました。比例式の分母であるx,y,zの値が0にならないことが確認できたので、この場合分けで求めた比例式の値は、題意に適することが分かります。
求めたkの値のときの連立方程式を解いて、比例式の分母が0にならないことを確認。
次に、共通因数x+y+zの値が0であるときを考えます。ただし、例題と違って、分数式に代入しても比例式の値を求めることができそうにありません。ですから、与式から適当な等式を利用します。
問の解答例 5⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&[ \ 2 \ ] \ x+y+z = 0 \ \text{のとき} \\[ 7pt ]
&\quad x+y+z = 0 \\[ 7pt ]
&\text{より} \\[ 5pt ]
&\quad z=-\left(x+y \right) \\[ 7pt ]
&\text{これを与式の} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{y+2z}{x}=\frac{z+2x}{y} \\[ 7pt ]
&\text{に代入すると} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{y-2\left(x+y \right)}{x}=\frac{-\left(x+y \right)+2x}{y} \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{-\left(2x+y \right)}{x}=\frac{x-y}{y}
\end{align*}
与式から抜き出した等式をさらに変形します。
問の解答例 6⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad \frac{-\left(2x+y \right)}{x}=\frac{x-y}{y} \\[ 7pt ]
&\text{比例式から $x \neq 0 \ , \ y \neq 0$ であるので} \\[ 5pt ]
&\quad -y \left(2x+y \right)=x \left(x-y \right) \\[ 7pt ]
&\text{これを整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+xy+y^{\scriptsize{2}}=0
\end{align*}
文字x,yを含む2次式が得られました。この式から文字x,yの値を求めます。そのためには、実数の性質を知っておく必要があります。
実数の性質
\begin{align*}
&A \ , \ B \ \text{が実数のとき} \\[ 5pt ]
&\quad A^{\scriptsize{2}}+B^{\scriptsize{2}}=0 \ \Leftrightarrow \ A=B=0
\end{align*}
文字x,yについては、特に整数や自然数などの断りがないので、実数として扱います。実数の性質を利用するには、実数の平方をつくります。
問の解答例 7⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+xy+y^{\scriptsize{2}}=0 \\[ 7pt ]
&\text{ここで、$x \ , \ y$ は実数であるので} \\[ 5pt ]
&\quad \left(x+\frac{1}{2}y \right)^{\scriptsize{2}}+\frac{3}{4}y^{\scriptsize{2}}=0 \\[ 7pt ]
&\text{この等式が成り立つには} \\[ 5pt ]
&\quad x+\frac{1}{2}y=0 \ , \ y=0 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad x=y=0 \\[ 7pt ]
&\text{これは $x \neq 0 \ , \ y \neq 0$ である} \\[ 5pt ]
&\text{ことに反するので不適。} \\[ 5pt ]
&[ \ 1 \ ] \ , \ [ \ 2 \ ] \ \text{から求める式の値は} \ 3
\end{align*}
2つ目の場合分けでは、残念ながら文字x,yの値がともに0となってしまいます。2つ目の場合分けでは比例式の値が得られませんが、1つ目の場合分けで得られているので問題ありません。
実数の平方は、2次関数の単元で学習した平方完成を利用します。文字xを含む項だけで平方の形をつくるように変形すると上手くいきます。2つ目の場合分けでの計算がやや複雑ですが、しっかり演習をこなしてマスターしましょう。
比例式の値が簡単に得られそうにないときは、文字x,y,zの値を先に確認しよう。
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さいごにもう一度まとめ
- 比例式が出てきたら、「比例式=k」とおいて新たに式を導こう。
- 共通因数ができても、むやみに割り算しないようにしよう。
- 0では割れないことに注意しよう。
- 式の値が0かどうか分からないときは、場合分けしよう。
- 実数の平方は平方完成を利用しよう。