複素数と方程式|2次方程式の解の種類の判別について

2次方程式の解の種類の判別を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
m は定数とする。次の 2 次方程式の解の種類を判別せよ。
問題文を注意深く読み、与式をよく観察しましょう。
問(1)の解答・解説
問(1)
m は定数とする。次の 2 次方程式の解の種類を判別せよ。
2次方程式の解の種類を判別するには、判別式を用います。与式の係数や定数項を判別式に代入します。
問(1)の解答例 1⃣
判別式は、mについての2次式で表されます。mの値で場合分けするとき、2次不等式や2次方程式を解く必要があるので、因数分解しておきましょう。
まず、2次方程式が異なる2つの実数解をもつときを考えます。
問(1)の解答例 2⃣
次に、2次方程式が重解をもつときを考えます。
問(1)の解答例 3⃣
最後に、2次方程式が異なる2つの虚数解をもつときを考えます。
問(1)の解答例 4⃣
したがって
m<−1 , 3<m のとき、異なる 2 つの実数解をもつ。
m=−1 , 3 のとき、重解をもつ。
−1<m<3 のとき、異なる 2 つの虚数解をもつ。
与式が少し複雑になりましたが、計算ミスに気を付ければ、例題と同レベルの問題です。
また、与式の2次の項の係数は1であるので、必ず2次方程式となることを確認しておきましょう。
問(2)の解答・解説
問(2)
m は定数とする。次の 2 次方程式の解の種類を判別せよ。
与式は2次方程式です。ですから、2次の項がなくなると題意を満たしません。
与式が2次方程式であるための条件を導いておきます。
問(2)の解答例 1⃣
与式が2次方程式であるためには、条件①を必ず満たす必要があります。解の種類を判別するとき、この条件①も加えることを忘れないようにしましょう。
与式の係数や定数項を判別式に代入して整理します。
問(2)の解答例 2⃣
判別式は、mについての2次式で表されます。mの値で場合分けするとき、2次不等式や2次方程式を解く必要があるので、因数分解しておきましょう。
まず、2次方程式が異なる2つの実数解をもつときを考えます。
問(2)の解答例 3⃣
与式が2次方程式であるために、条件①を考慮した範囲にしましょう。
次に、2次方程式が重解をもつときを考えます。
問(2)の解答例 4⃣
ここでも条件①を考慮します。m=-1のとき、与式は2次の項だけでなく、1次の項もなくなります。また、等式自体も成り立たないので、題意を満たしません。
最後に、2次方程式が異なる2つの虚数解をもつときを考えます。
問(2)の解答例 5⃣
したがって
−1<m<1 , 1<m<53 のとき、異なる 2 つの実数解をもつ。
m=53 のとき、重解をもつ。
m<−1 , 53<m のとき、異なる 2 つの虚数解をもつ。
mの値の範囲を確認すると、与式が2次方程式にはならない値(m=±1)を除くすべての実数について、解の種類が判別されていることが分かります。
与式が2次方程式でなくても良い場合
例題や問では、問題文に「2次方程式」という文言がありました。しかし、問題によっては、単に「方程式」となっていることがあります。
このような問題では、2次の項の係数に文字が含まれていれば、より注意が必要です。文字の値によっては、与式が2次方程式ではなく、1次方程式であることも考えられるからです。
与式が2次方程式である必要がないのであれば、2次の項の係数について場合分けすることから始めなければなりません。
与式が2次方程式である必要がない場合
2次の項の係数に文字が含まれる場合、次の2通りに場合分けする。
- 2次の項の係数=0のとき ⇒ 与式が1次方程式のとき(※方程式にならないときもある)
- 2次の項の係数≠0のとき ⇒ 与式が2次方程式のとき
問(2)の方程式を例にします。以下の記述は、問(2)の解答例1⃣の前に記述すると良いでしょう。
例)与式が2次方程式ではない場合
1次方程式ならましですが、それどころか方程式でない場合もあります。慌てないようにしましょう。
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さいごにもう一度まとめ
- 解の種類の判別では、係数や定数項に含まれる文字の値の範囲で場合分けしよう。
- 与式が2次方程式でなければ、判別式を用いることはできない。
- 与式が2次方程式である条件は、2次の項の係数が0ではないこと。
- 与式が2次方程式でなくても良い場合、2次の項の係数について場合分けしよう。