複素数と方程式|実数解からの係数決定について

数学2

実数解からの係数決定を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

\begin{align*} &\text{$x$ の方程式} \\[ 5pt ] &\quad x^{\scriptsize{4}}-x^{\scriptsize{3}}+ax^{\scriptsize{2}}+bx+6=0 \\[ 7pt ] &\text{が $x=-1 \ , \ 3$ を解にもつとき、} \\[ 5pt ] &\text{定数 $a \ , \ b$ の値を求めよ。} \\[ 5pt ] &\text{また、そのときの他の解を求めよ。} \end{align*}

問の解答・解説

4次方程式の4つの解のうち、2つが与えられています。この2つの解を用いて、係数についての方程式を2つ導きます。

問の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad x^{\scriptsize{4}}-x^{\scriptsize{3}}+ax^{\scriptsize{2}}+bx+6=0 \\[ 7pt ] &\text{$x=-1 \ , \ 3$ が $3$ 次方程式の解であるので} \\[ 5pt ] &\quad \left(-1 \right)^{\scriptsize{4}}-\left(-1 \right)^{\scriptsize{3}}+a \cdot \left(-1 \right)^{\scriptsize{2}}+b \cdot \left(-1 \right)+6=0 \\[ 7pt ] &\quad 3^{\scriptsize{4}}-3^{\scriptsize{3}}+a \cdot 3^{\scriptsize{2}}+b \cdot 3+6=0 \\[ 7pt ] &\text{整理すると} \\[ 5pt ] &\quad a-b+8=0 \\[ 7pt ] &\quad 3a+b+20=0 \end{align*}

左辺にx=3を代入した後の計算に注意しましょう。各項が3を共通因数にもつので、累乗の計算をする前に両辺を3で割ります。

できるだけ大きな数を扱わなくて済むようにしましょう。数が小さければ暗算しやすくなります。

小さな数を扱うようにしよう

\begin{align*} &\quad 3^{\scriptsize{4}}-3^{\scriptsize{3}}+a \cdot 3^{\scriptsize{2}}+b \cdot 3+6=0 \\[ 7pt ] &\text{両辺を $3$ で割って} \\[ 5pt ] &\quad 3^{\scriptsize{3}}-3^{\scriptsize{2}}+a \cdot 3+b \cdot 1+2=0 \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad 27-9+3a+b+2=0 \\[ 7pt ] &\quad 3a+b+20=0 \end{align*}

数が大きくなる計算よりも、数が小さくなる計算を優先しよう。

解答例1⃣の続きです。定数a,bについての方程式を連立して解きます。

問の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad a-b+8=0 \\[ 7pt ] &\quad 3a+b+20=0 \\[ 7pt ] &\text{これらを解くと} \\[ 5pt ] &\quad a=-7 \ , \ b=1 \\[ 7pt ] &\text{よって、方程式は} \\[ 5pt ] &\quad x^{\scriptsize{4}}-x^{\scriptsize{3}}-7x^{\scriptsize{2}}+x+6=0 \end{align*}

与えられた2つの解から、左辺の因数が分かります。この因数を用いて左辺を因数分解します。

問の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad x^{\scriptsize{4}}-x^{\scriptsize{3}}-7x^{\scriptsize{2}}+x+6=0 \\[ 7pt ] &\text{この方程式は $x=-1 \ , \ 3$ を解にもつので、} \\[ 5pt ] &\text{左辺は $(x+1)(x-3)$ で割り切れる。} \\[ 5pt ] &\quad \left(x+1 \right)\left(x-3 \right)=x^{\scriptsize{2}}-2x-3 \\[ 7pt ] &\text{より、左辺を因数分解すると} \\[ 5pt ] &\quad \left(x+1 \right)\left(x-3 \right)\left(x^{\scriptsize{2}}+x-2 \right)=0 \\[ 7pt ] &\text{さらに左辺を因数分解すると} \\[ 5pt ] &\quad \left(x+1 \right)\left(x-3 \right)\left(x-1 \right)\left(x+2 \right)=0 \\[ 7pt ] &\text{よって、解は} \\[ 5pt ] &\quad x=-1 \ , \ 3 \ , \ 1 \ , \ -2 \\[ 7pt ] &\text{したがって、他の解は} \\[ 5pt ] &\quad x=1 \ , \ -2 \end{align*}

左辺の因数分解では、因数の2次式で4次式を割っています(筆算は省略)。また、2つの因数が1次式なので、組立除法を2回行っても構いません。個人的には組立除法の方をお勧めします。

例題で紹介した、恒等式による係数比較を利用しても解けます。ただ、利用するのが最初からであっても、方程式の係数が決まった後であっても、あまりお勧めできません。

なぜなら、与えられた4次方程式の解が2つなので、未知の因数が2次式(1次式2つ)となり、計算量が多くなるからです。恒等式による係数比較を利用するのであれば、残りの因数が1次式になるときにしましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 解を方程式に代入すると等式が成り立つ。
  • 方程式の係数は、方程式に解を代入して求めよう。
  • 方程式の解から、左辺の因数が分かる。
  • 左辺の因数分解では組立除法を上手に利用しよう。
  • 方程式の係数は、恒等式による係数比較でも求めることができる。