複素数と方程式|1の3乗根の性質について

数学2複素数と方程式,虚数解,共役,3乗根

今回は、1の3乗根の性質について学習しましょう。それほど応用範囲が広くなく、ポイントも分かりやすい単元です。入試では小問集合などで扱われることが多いのが特徴です。しっかりマスターして、得点源にしましょう。

1の3乗根の性質

1の3乗根とは、3乗すると1となる数のことで、以下の式で表されます。

1の3乗根の性質①
\begin{align*}
&\text{1の3乗根は} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{3}}=1 \\[ 7pt ]
&\text{を満たす数である。}
\end{align*}

具体的にはどのような数であるかは方程式を解けば分かります。

1の3乗根の性質②
\begin{align*}
&\quad x^{\scriptsize{3}}=1 \\[ 7pt ]
&\text{を解くと} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{3}}-1=0 \\[ 7pt ]
&\text{より} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl(x-1\bigr) \bigl(x^{\scriptsize{2}}+x+1 \bigr)=0 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad x-1=0 \quad \text{または} \quad x^{\scriptsize{2}}+x+1=0 \\[ 7pt ]
&\text{したがって} \\[ 5pt ]
&\quad x=1 \ , \ x=\frac{-1 \pm \sqrt{3}i }{2} \\[ 7pt ]
&\text{特に、2つの虚数解は $\omega \ , \ {\omega}^{\scriptsize{2}}$ と表される。}
\end{align*}

ω(オメガ)とおくのは、2つの虚数解のどちらでも構いません。一方の虚数解を2乗すれば、必ず他方の虚数解になるからです。

1の3乗根の性質③
\begin{align*}
&\quad \omega=\frac{-1+\sqrt{3}i }{2} \\[ 7pt ]
&\text{のとき} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{2}}=\Biggl(\frac{-1+\sqrt{3}i }{2}\Biggr)^{\scriptsize{2}}=\frac{-2-2\sqrt{3}i }{4}=\frac{-1-\sqrt{3}i }{2} \\[ 7pt ]
&\text{同様にして} \\[ 5pt ]
&\quad \omega=\frac{-1-\sqrt{3}i }{2} \\[ 7pt ]
&\text{のとき} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{2}}=\Biggl(\frac{-1-\sqrt{3}i }{2}\Biggr)^{\scriptsize{2}}=\frac{-2+2\sqrt{3}i }{4}=\frac{-1+\sqrt{3}i }{2} \\[ 7pt ]
&\text{ここで、1の3乗根のうち、2つの虚数は互いに共役な複素数である。} \\[ 5pt ]
&\text{よって、虚数の一方を $\omega$ とすると、他方は $\omega$ と共役な複素数であり、${\omega}^{\scriptsize{2}}$ に等しい。}
\end{align*}

以上のことから、1の3乗根の性質は以下の通りです。

1の3乗根の性質まとめ
\begin{align*}
&\text{1の3乗根は $1 \ , \ \omega \ , \ {\omega}^{\scriptsize{2}}$ の3つ。} \\[ 5pt ]
&{\omega}^{\scriptsize{2}}=1 \\[ 7pt ]
&{\omega}^{\scriptsize{2}}+{\omega}+1=0
\end{align*}

特に、2つの数式はよく使われるので、きちんと覚えておきましょう。なお、2番目の数式が成り立つのは、ωが2次方程式の解であることから明らかです。

高次方程式の虚数解

1の3乗根の性質②,③から分かるように、方程式が虚数を解にもつとき、それと共役な複素数も解にもつことが分かります。これは必ず成り立つ性質です。

高次方程式の虚数解
実数を係数とする $n$ 次方程式が虚数解 $\alpha$ をもつならば、
$\alpha$ と共役な複素数である $\overline{\alpha}$ もまた、その方程式の解である。

この性質を知っていれば、方程式が虚数解をもつことが分かった時点で、もう1つの虚数解も分かることになります。なお、この性質の証明が出題されることがあります(数学3の範囲)。

高次方程式の解の個数

先ほどの3次方程式では、複素数の範囲で解が3つ得られました。次数に応じたぶんだけ解があります。これは高次方程式の解の性質です。

高次方程式の解の個数
2重解は2個、3重解は3個と数えるとき、$n$ 次方程式は、複素数の範囲に必ず $n$ 個の解をもつ。

1の3乗根の性質を使ってみよう

1の3乗根の性質を使ってみましょう。

例題
\begin{align*}
&\text{1の3乗根で虚数のものは2つあり、その一方を $\omega$ とする。} \\[ 5pt ]
&\text{このとき、次の式の値を求めよ。} \\[ 5pt ]
&(1) \quad {\omega}^{\scriptsize{2}}+{\omega}+1 \\[ 7pt ]
&(2) \quad {\omega}^{\scriptsize{4}}+{\omega}^{\scriptsize{5}}
\end{align*}

例題(1)の解答・解説

例題(1)
\begin{align*}
&\text{1の3乗根で虚数のものは2つあり、その一方を $\omega$ とする。} \\[ 5pt ]
&\text{このとき、次の式の値を求めよ。} \\[ 5pt ]
&(1) \quad {\omega}^{\scriptsize{2}}+{\omega}+1
\end{align*}

例題(1)の式は、1の3乗根の性質に出てきたものです。

例題(1)の解答例
\begin{align*}
&\quad x^{\scriptsize{3}}=1 \\[ 7pt ]
&\text{を解くと} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl(x-1\bigr) \bigl(x^{\scriptsize{2}}+x+1 \bigr)=0 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad x-1=0 \quad \text{または} \quad x^{\scriptsize{2}}+x+1=0 \\[ 7pt ]
&\text{$\omega$ は方程式 $x^{\scriptsize{2}}+x+1=0$ の解であるので} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{2}}+{\omega}+1=0
\end{align*}

方程式とその解の関係を知っていれば解ける問題です。

例題(2)の解答・解説

例題(2)
\begin{align*}
&\text{1の3乗根で虚数のものは2つあり、その一方を $\omega$ とする。} \\[ 5pt ]
&\text{このとき、次の式の値を求めよ。} \\[ 5pt ]
&(2) \quad {\omega}^{\scriptsize{4}}+{\omega}^{\scriptsize{5}}
\end{align*}

例愛(2)の式の値は、ωの値を代入して求めれば良さそうです。しかし、ωのことを考慮すると、ωは虚数であり、分数です。これを代入して計算するのはとても面倒です。そこで1の3乗根の性質を利用します。

例題(2)の解答例①
\begin{align*}
&\text{$\omega$ は1の3乗根であるので} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{3}}=1 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{4}}+{\omega}^{\scriptsize{5}}={\omega}^{\scriptsize{3}} \bigl( {\omega}+{\omega}^{\scriptsize{2}} \bigr) \\[ 7pt ]
&\text{より} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{4}}+{\omega}^{\scriptsize{5}}={\omega}+{\omega}^{\scriptsize{2}}
\end{align*}

1の3乗根の性質は、主に式の次数を下げることに利用します。最も利用する性質です。

例題(1)の式も性質の1つなので、これも利用します。

例題(2)の解答例②
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{4}}+{\omega}^{\scriptsize{5}}={\omega}+{\omega}^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ]
&\text{ここで} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{2}}+{\omega}+1=0 \\[ 7pt ]
&\text{より} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{2}}+{\omega}=-1 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{4}}+{\omega}^{\scriptsize{5}}=-1
\end{align*}

3次以上の項があれば、ωの3乗を作って次数を下げることから取り組みましょう。

覚えておきたい便利な式を紹介しておきます。指数法則の知識が必要になります。

覚えておきたい
\begin{align*}
&\text{$n$ を整数とすると} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{3n}}=1 \\[ 7pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{3n+1}}=\omega \\[ 7pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{3n+2}}={\omega}^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ]
&\text{[ 証明 ]} \\[ 5pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{3n}}=\bigl({\omega}^{\scriptsize{3}} \bigr)^{\scriptsize{n}}=1^{\scriptsize{n}}=1 \\[ 7pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{3n+1}}={\omega}^{\scriptsize{3n}} \cdot {\omega} =\omega \\[ 7pt ]
&\quad {\omega}^{\scriptsize{3n+2}}={\omega}^{\scriptsize{3n}} \cdot {\omega}^{\scriptsize{2}} =\omega^{\scriptsize{2}}
\end{align*}

指数法則は色々な計算でよく登場します。しっかりとマスターしておきましょう。

次は、1の3乗根の性質を扱った問題を実際に解いてみましょう。