複素数と方程式|余りの決定について

数学2

余りの決定を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

\begin{align*} &\text{整式 $f(x)$ を $x-2$ で割ると余りは $8$、$x+3$ で割ると} \\[ 5pt ] &\text{余りは $-7$、$x-4$ で割ると余りは $6$ である。} \\[ 5pt ] &\text{このとき、次の余りを求めよ。} \\[ 5pt ] &(1) \quad \text{$f(x)$ を $(x-2)(x+3)$ で割ったときの余り} \\[ 5pt ] &(2) \quad \text{$f(x)$ を $(x-2)(x-4)$ で割ったときの余り} \end{align*}

問(1)の解答・解説

問(1)

\begin{align*} &\text{整式 $f(x)$ を $x-2$ で割ると余りは $8$、$x+3$ で割ると} \\[ 5pt ] &\text{余りは $-7$、$x-4$ で割ると余りは $6$ である。} \\[ 5pt ] &\text{このとき、次の余りを求めよ。} \\[ 5pt ] &\quad \text{$f(x)$ を $(x-2)(x+3)$ で割ったときの余り} \end{align*}

例題と同じ要領で解きましょう。剰余の定理を利用するために、割り算の基本公式を用いて整式を作ります。

問(1)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\text{$f(x)$ を $(x-2)(x+3)$ で割ったときの商を $Q_{1}(x)$} \\[ 5pt ] &\text{余りを $ax+b$ とすると、次の等式が成り立つ。} \\[ 5pt ] &\quad f(x)=\left(x-2 \right) \left(x+3 \right)Q_{1}(x)+ax+b \quad \cdots \text{①} \end{align*}

求めるのは2次式で割ったときの余りです。余りは1次式または定数ですが、1次式になるように表します。

問題では、整式を1次式で割ったときの余りについて、3つの情報が与えられています。割る2次式に注目すると、2つの1次式x-2,x+3で割ったときの余りを利用すれば良いことが分かります。

剰余の定理から、整式を1次式x-2で割った余りは、整式にx=2を代入した式の値に等しくなります。

問(1)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad f(x)=\left(x-2 \right) \left(x+3 \right)Q_{1}(x)+ax+b \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\text{$f(x)$ を $x-2$ で割ったときの} \\[ 5pt ] &\text{余りが $8$ であるから} \\[ 5pt ] &\quad f(2)=8 \\[ 7pt ] &\text{①の両辺に $x=2$ を代入すると} \\[ 5pt ] &\quad f(2)=2a+b \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad 2a+b=8 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

同じように剰余の定理から、整式を1次式x+3で割ったときの余りは、整式にx=-3を代入した式の値に等しくなります。

問(1)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad f(x)=\left(x-2 \right) \left(x+3 \right)Q_{1}(x)+ax+b \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 2a+b=8 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\text{また、$f(x)$ を $x+3$ で割ったときの} \\[ 5pt ] &\text{余りが $-7$ であるから} \\[ 5pt ] &\quad f(-3)=-7 \\[ 7pt ] &\text{①の両辺に $x=-3$ を代入すると} \\[ 5pt ] &\quad f(-3)=-3a+b \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad -3a+b=-7 \\[ 7pt ] &\text{すなわち} \\[ 5pt ] &\quad 3a-b=7 \quad \cdots \text{③} \end{align*}

定数a,bについての方程式を2つ導くことができました。これらを連立して解きます。

問(1)の解答例 4⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad f(x)=\left(x-2 \right) \left(x+3 \right)Q_{1}(x)+ax+b \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 2a+b=8 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 3a-b=7 \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ] &\text{②+③} \\[ 5pt ] &\quad 5a=15 \quad \text{よって} \quad a=3 \\[ 7pt ] &\text{これと②より} \\[ 5pt ] &\quad 2 \cdot 3+b=8 \quad \text{よって} \quad b=2 \\[ 7pt ] &\text{したがって、求める余りは} \\[ 5pt ] &\quad 3x+2 \end{align*}

余りを決定する問題では、余りの表し方が大切です。どのように表せば良いかを知っておきましょう。

問(2)の解答・解説

問(2)

\begin{align*} &\text{整式 $f(x)$ を $x-2$ で割ると余りは $8$、$x+3$ で割ると} \\[ 5pt ] &\text{余りは $-7$、$x-4$ で割ると余りは $6$ である。} \\[ 5pt ] &\text{このとき、次の余りを求めよ。} \\[ 5pt ] &\quad \text{$f(x)$ を $(x-2)(x-4)$ で割ったときの余り} \end{align*}

例題と同じ要領で解きましょう。剰余の定理を利用するために、割り算の基本公式を用いて整式を作ります。

問(2)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\text{$f(x)$ を $(x-2)(x-4)$ で割ったときの商を $Q_{2}(x)$} \\[ 5pt ] &\text{余りを $cx+d$ とすると、次の等式が成り立つ。} \\[ 5pt ] &\quad f(x)=\left(x-2 \right) \left(x-4 \right)Q_{2}(x)+cx+d \quad \cdots \text{④} \end{align*}

解答例を見ると分かるように、問(1)とは割る式が変わっているので、商や余りは同じになるとは限りません。ですから、用いる文字を変えています。同じ文字であれば、添え字を変えるなどして区別しましょう。

問(1)の商や余りと、問(2)の商や余りは異なるので、同じ文字を使わない。同じ文字を使う場合、添え字を変えたり、ダッシュを付けるなどして区別しよう。

求めるのは2次式で割ったときの余りです。余りは1次式または定数ですが、1次式になるように表します。

問題では、整式を1次式で割ったときの余りについて、3つの情報が与えられています。割る2次式に注目すると、2つの1次式x-2,x-4で割ったときの余りを利用すれば良いことが分かります。

剰余の定理から、整式を1次式x-2で割った余りは、整式にx=2を代入した式の値に等しくなります。すでに問(1)で結果が分かっているので、上手に利用しましょう。

問(2)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad f(x)=\left(x-2 \right) \left(x-4 \right)Q_{2}(x)+cx+d \quad \cdots \text{④} \\[ 7pt ] &\text{$f(x)$ を $x-2$ で割ったときの余りが} \\[ 5pt ] &\text{$8$ であるから、$(1)$ より} \\[ 5pt ] &\quad 2c+d=8 \quad \cdots \text{⑤} \end{align*}

同じように剰余の定理から、整式を1次式x-4で割ったときの余りは、整式にx=4を代入した式の値に等しくなります。

問(2)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad f(x)=\left(x-2 \right) \left(x-4 \right)Q_{2}(x)+cx+d \quad \cdots \text{④} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 2c+d=8 \quad \cdots \text{⑤} \\[ 7pt ] &\text{また、$f(x)$ を $x-4$ で割ったときの} \\[ 5pt ] &\text{余りが $6$ であるから} \\[ 5pt ] &\quad f(4)=6 \\[ 7pt ] &\text{④の両辺に $x=4$ を代入すると} \\[ 5pt ] &\quad f(4)=4c+d \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad 4c+d=6 \quad \cdots \text{⑥} \end{align*}

定数c,dについての方程式を2つ導くことができました。これらを連立して解きます。

問(2)の解答例 4⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad f(x)=\left(x-2 \right) \left(x-4 \right)Q_{2}(x)+cx+d \quad \cdots \text{④} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 2c+d=8 \quad \cdots \text{⑤} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 4c+d=6 \quad \cdots \text{⑥} \\[ 7pt ] &\text{⑥-⑤} \\[ 5pt ] &\quad 2c=-2 \quad \text{よって} \quad c=-1 \\[ 7pt ] &\text{これと⑤より} \\[ 5pt ] &\quad 2 \cdot \left(-1 \right)+d=8 \quad \text{よって} \quad d=10 \\[ 7pt ] &\text{したがって、求める余りは} \\[ 5pt ] &\quad -x+10 \end{align*}

与えられる整式や割る式が変われば、それに伴って商や余りも変わります。同じ文字なら、同じ値や式という意味になってしまいます。商や余りの中身は異なるので、同じ文字を使い回さないように気を付けましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 剰余の定理は、整式を1次式で割ったときの余りについての定理。
  • 整式がなければ、剰余の定理を利用できない。
  • 整式は、割り算の基本公式を用いて表すことができる。
  • 余りは割る式の次数よりも低くなるようにしよう。
  • 2次式で割ったときの余りは、1次式または定数。