数学2
2次方程式の解と判別式を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問1
\begin{align*}
&\text{次の $2$ 次方程式を解け。} \\[ 5pt ]
&(1) \quad x^{\scriptsize{2}}+14x+67 = 0 \\[ 7pt ]
&(2) \quad -x^{\scriptsize{2}}+x-5 = 0 \\[ 7pt ]
&(3) \quad \left(2x-3 \right)^{\scriptsize{2}} = x^{\scriptsize{2}}-20
\end{align*}
解の公式を利用しますが、1次の項の係数に注目して使い分けましょう。
問1(1)の解答・解説
問1(1)
\begin{align*}
&\text{次の $2$ 次方程式を解け。} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+14x+67 = 0
\end{align*}
1次の項の係数が偶数です。慣れないうちは代入ミスが多いので注意しましょう。
問1(1)の解答例
\begin{align*}
&\quad x^{\scriptsize{2}}+14x+67 = 0 \\[ 7pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}+2 \cdot 7x+67 = 0 \\[ 7pt ]
&\text{より}
\end{align*}
\begin{align*}
\quad x &= \frac{-7 \pm \sqrt{7^{\scriptsize{2}}-1 \cdot 67}}{1} \\[ 7pt ]
&= -7 \pm \sqrt{49-67} \\[ 7pt ]
&= -7 \pm \sqrt{-18} \\[ 7pt ]
&= -7 \pm \sqrt{18}i \\[ 7pt ]
&= -7 \pm 3\sqrt{2}i
\end{align*}
根号の中の値が負の数になってもそのまま計算します。虚数単位を用いて、複素数として表します。
問1(2)の解答・解説
問1(2)
\begin{align*}
&\text{次の $2$ 次方程式を解け。} \\[ 5pt ]
&\quad -x^{\scriptsize{2}}+x-5 = 0
\end{align*}
1次の項の係数が偶数ではないので、基本の公式を利用します。公式を利用する前に、2次の項の係数が負の数なので、正の数になるように与式を変形しておきます。
問1(2)の解答例
\begin{align*}
&\quad -x^{\scriptsize{2}}+x-5 = 0 \\[ 7pt ]
&\text{の両辺に $-1$ を掛けて} \\[ 5pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}}-x+5 = 0 \\[ 7pt ]
&\text{よって}
\end{align*}
\begin{align*}
\quad x &= \frac{-(-1) \pm \sqrt{(-1)^{\scriptsize{2}}-4 \cdot 1 \cdot 5}}{2 \cdot 1} \\[ 7pt ]
&= \frac{1 \pm \sqrt{1-20}}{2} \\[ 7pt ]
&= \frac{1 \pm \sqrt{-19}}{2} \\[ 7pt ]
&= \frac{1 \pm \sqrt{19}i}{2}
\end{align*}
2次方程式の解の場合、実部と虚部が分かるような複素数の表記にする必要はありません。対応する数を公式に代入して整理するだけです。
問1(3)の解答・解説
問1(3)
\begin{align*}
&\text{次の $2$ 次方程式を解け。} \\[ 5pt ]
&\quad \left(2x-3 \right)^{\scriptsize{2}} = x^{\scriptsize{2}}-20
\end{align*}
与式は、解の公式を利用できる形になっていません。まず、与式を展開して整理することから始めましょう。
問1(3)の解答例 1⃣
\begin{align*}
&\quad \left(2x-3 \right)^{\scriptsize{2}} = x^{\scriptsize{2}}-20 \\[ 7pt ]
&\text{を整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad 4x^{\scriptsize{2}}-12x+9 = x^{\scriptsize{2}}-20 \\[ 7pt ]
&\quad 3x^{\scriptsize{2}}-12x+29 = 0
\end{align*}
1次の項の係数が偶数であることに注目して、解を求めます。
問1(3)の解答例 2⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad 3x^{\scriptsize{2}}-12x+29 = 0 \\[ 7pt ]
&\quad 3x^{\scriptsize{2}}+2 \cdot (-6)x+29 = 0 \\[ 7pt ]
&\text{よって}
\end{align*}
\begin{align*}
\quad x &= \frac{-(-6) \pm \sqrt{(-6)^{\scriptsize{2}}-3 \cdot 29}}{3} \\[ 7pt ]
&= \frac{6 \pm \sqrt{36-87}}{3} \\[ 7pt ]
&= \frac{6 \pm \sqrt{-51}}{3} \\[ 7pt ]
&= \frac{6 \pm \sqrt{51}i}{3}
\end{align*}
1次の項の係数が偶数のとき、もちろん基本の式でも解を求めることができます。
ただし、この場合、最後に必ず約分しなければならなくなります。それに加えて、大きな数を扱わなくてはならないので、計算も煩雑になりやすいです。
基本の公式に代入すると、以下のようになります。数が大きくなり、計算が面倒になることがよく分かります。最後の約分も見逃せません。
問1(3)の別解例
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad 3x^{\scriptsize{2}}-12x+29 = 0 \\[ 7pt ]
&\text{よって}
\end{align*}
\begin{align*}
\quad x &= \frac{-(-12) \pm \sqrt{(-12)^{\scriptsize{2}}-4 \cdot 3 \cdot 29}}{2 \cdot 3} \\[ 7pt ]
&= \frac{12 \pm \sqrt{144-348}}{6} \\[ 7pt ]
&= \frac{12 \pm \sqrt{-204}}{6} \\[ 7pt ]
&= \frac{12 \pm \sqrt{204}i}{6} \\[ 7pt ]
&= \frac{12 \pm \sqrt{4 \cdot 51}i}{6} \\[ 7pt ]
&= \frac{12 \pm 2\sqrt{51}i}{6} \\[ 7pt ]
&= \frac{6 \pm \sqrt{51}i}{3}
\end{align*}
大きな数を扱うと、暗算するのが難しくなります。解の公式を用いるときは、1次の項の係数に合わせて使い分けることが大切です。
次の問題を解いてみましょう。解の種類を判別する問題です。
問2
\begin{align*}
&\text{次の $2$ 次方程式の解の種類を判別せよ。} \\[ 5pt ]
&(1) \quad 9x^{\scriptsize{2}}-24x+16 = 0 \\[ 7pt ]
&(2) \quad 9x^{\scriptsize{2}}+7x+2 = 0 \\[ 7pt ]
&(3) \quad 7x^{\scriptsize{2}}-27x-9=0
\end{align*}
解の種類の判別には、判別式を利用します。このとき、1次の項の係数を確認してからにしましょう。
問2(1)の解答・解説
問2(1)
\begin{align*}
&\text{次の $2$ 次方程式の解の種類を判別せよ。} \\[ 5pt ]
&\quad 9x^{\scriptsize{2}}-24x+16 = 0
\end{align*}
1次の項の係数が偶数です。代入ミスに気を付けましょう。
問2(1)の解答例
\begin{align*}
&\quad 9x^{\scriptsize{2}}-24x+16 = 0 \\[ 7pt ]
&\quad 9x^{\scriptsize{2}}+2 \cdot (-12)x+16 = 0 \\[ 7pt ]
&\text{与式の判別式を $D$ とおくと}
\end{align*}
\begin{align*}
\quad \frac{D}{4} &= \left(-12 \right)^{\scriptsize{2}}-9 \cdot 16 \\[ 7pt ]
&= 144 -144 \\[ 7pt ]
&= 0
\end{align*}
\begin{align*}
&D=0 \ \text{より、$2$ 次方程式は} \\[ 5pt ]
&\text{重解をもつ。}
\end{align*}
判別式の値が0となるのは、2次方程式が重解をもつときです。
問2(2)の解答・解説
問2(2)
\begin{align*}
&\text{次の $2$ 次方程式の解の種類を判別せよ。} \\[ 5pt ]
&\quad 9x^{\scriptsize{2}}+7x+2 = 0
\end{align*}
1次の項の係数が偶数ではありません。基本の式に代入して計算しましょう。
問2(2)の解答例
\begin{align*}
&\quad 9x^{\scriptsize{2}}+7x+2 = 0 \\[ 7pt ]
&\text{与式の判別式を $D$ とおくと}
\end{align*}
\begin{align*}
\quad D &= 7^{\scriptsize{2}}-4 \cdot 9 \cdot 2 \\[ 7pt ]
&= 49 -72 \\[ 7pt ]
&= -23 \lt 0
\end{align*}
\begin{align*}
&D \lt 0 \ \text{より、$2$ 次方程式は} \\[ 5pt ]
&\text{異なる $2$ つの虚数解をもつ。}
\end{align*}
これまでのように、「実数解をもたない」ではなく、「異なる2つの虚数解をもつ」としなければなりません。
問2(3)の解答・解説
問2(3)
\begin{align*}
&\text{次の $2$ 次方程式の解の種類を判別せよ。} \\[ 5pt ]
&\quad 7x^{\scriptsize{2}}-27x-9=0
\end{align*}
1次の項の係数が偶数ではありません。基本の式に代入して計算しましょう。
問2(3)の解答例
\begin{align*}
&\quad 7x^{\scriptsize{2}}-27x-9=0 \\[ 7pt ]
&\text{与式の判別式を $D$ とおくと}
\end{align*}
\begin{align*}
\quad D &= \left(-27 \right)^{\scriptsize{2}}-4 \cdot 7 \cdot \left( -9 \right) \\[ 7pt ]
&= 27^{\scriptsize{2}}+4 \cdot 7 \cdot 9 \gt 0
\end{align*}
\begin{align*}
&D \gt 0 \ \text{より、$2$ 次方程式は} \\[ 5pt ]
&\text{異なる $2$ つの実数解をもつ。}
\end{align*}
判別式の値が正の数になることは明らかです。判別式の値の正負が分かれば良いので、最後まで計算しなくても構いません。気になるようであれば、最後まで計算しましょう。
1次の項の係数によって、解の公式や判別式を使い分けできると余裕を持てます。演習をこなしてしっかりマスターしましょう。
Recommended books
お勧めの書籍で紹介されている勉強法は、あくまでも彼・彼女が作り上げた方法なので、それらがそのまま使えるわけではないかもしれません。
しかし、成績がなかなか上がらなかったり、資格や検定の試験で不合格になったりすると、自分の勉強法に自信が持てなくなることがあります。そんなときに一読すると、自分の勉強法に足りない部分が見えてくるかもしれません。
人それぞれに勉強法はあると思いますが、根本的な部分にそう変わりはありません。変わるとすればアプローチの仕方ではないでしょうか。性格や環境などが異なるので、自分に合ったアプローチの仕方を考えなくてはなりません。
お勧めの書籍は、自分なりの勉強法を確立する上で、その助けになるかと思います。
オススメその1
東大生クイズ王で有名な伊沢拓司さん渾身の書き下ろしです。彼自身の「勉強法」を知ることができるのが本書です。
高校時代、クイズ界で「知識のモンスター」として名を成しましたが、その一方で学業がおろそかになってしまいました。そのため、成績は学年で下から数えるほどに……。
そこから彼なりに勉強法を分析し、実践して、みごと東大合格を勝ち取りました。本書では、勉強法だけでなく、クイズ王の暗記術やノート術なども公開されています。
東大生クイズ王・伊沢拓司、渾身のALL書き下ろし!
東大生クイズ王・伊沢拓司が、自身の「勉強法」を一から解き明かします。その他、クイズ王の暗記術、ノート術など、伊沢氏が考える「勉強の骨肉」を一挙大公開!
- 第1章 なぜ受験勉強をするのか?
- 第2章 勉強法こそが大事だ
- 第3章 「受験生活」への入り方
- 第4章 成績の読み方が視界をクリアにする
- 第5章 「たかが暗記」とまだ言うか?
- 第6章 曇りなき思考で見定め、決める
- 第7章 教科ごとの特徴をつかめ
- 第8章 合格の先、不合格の先
オススメその2
東大文1に現役で合格し、司法試験予備試験を在学中に合格した、鈴木光さん。大学卒業後は、弁護士の夢を叶えることに集中されるそうです。
本書では、彼女の実践している、「勉強の計画」「問題の解法」「暗記法」「勉強の継続方法」などが系統立てて説明されています。良書です。
定期テスト、入試、資格試験…すべてに使える勉強の“基本”が網羅されているので、吸収できれば応用が利くでしょう。夢や目標を叶えるための効率的な学びのメソッドを学べます。
「みなさんの家庭教師になったつもりでこの本を書きました」
TV出演多数の東大生・鈴木光による初の著書!
- はじめに
- 序章 探る 勉強目標・計画を立ててみよう
- 第1章 知る 問題を解くための「考え方」を身につけて勉強を始めよう
- 第2章 憶える 知識を自分のものにしよう
- 第3章 整える 勉強を続けられる環境をつくろう
- 第4章 正す 結果を振り返ってやり方を修正してみよう
- 第5章 突破する 科目別の攻略法
- 終章 さまざまな学ぶ場
- おわりに
- 特別コラム
オススメその3
数学だけに限らず、高校での学習をスムーズに進めていくには「読解力」や「論理的な思考力(地頭がいい)」などが必要ではないかと思います。数学Aでは特に必要だと思います。
これらはどちらかと言うと、短期間で身に付くものではなく、長期間の経験によって習得できるものです。ただ、大事なことなのに習得に時間が掛かるのはリスクが高すぎますし、方法論も知らずに取り組んでいても習得できるかも分かりません。
そこでお勧めしたいのが『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』です。
マネするだけで、誰でも、どんな本でも!
- 速く読める
- 内容を忘れない
- 応用できる
東大生は、そんな超・実践的な読書術を自然と習得していました。ホントは教えたくなかったノウハウを、一冊に凝縮します!
一生使える5つの「スゴい読み方」
- 「読み込む力」を劇的に上げる…仮説作り
- 「論理の流れ」がクリアに見える…取材読み
- 「一言で説明する力」を鍛える…整理読み
- 「多面的なモノの見方」を身につける…検証読み
- 「ずっと覚えている」ことができる…議論読み
東大生が当たり前に実践している方法を身に付ければ、教科書や参考書もサクサク読めるかも。興味のある人はぜひ一読を。
さいごにもう一度まとめ
- 解の公式は、平方完成を利用して導出される。
- 判別式は、2次方程式の解の種類を判別するための式。
- 判別式は、解の公式にある根号の中の式。
- 解の公式や判別式は、1次の項の係数が偶数かどうかで使い分けよう。