図形と計量|三角形の面積について

今回は、三角形の面積について学習しましょう。今さら三角形の面積と思うでしょうが、三角比を使って求めます。
正弦定理や余弦定理を扱うようになると、図形との関わりがより強くなってきたのが分かると思います。三角形の面積もその1つです。
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三角形の面積を三角比を使って表す
三角形の面積は、底辺や高さを用いて表されます。
三角形の面積
三角形の面積 S は、底辺を a、高さを h とすると
S=12ah三角形の面積を求めるとき、この公式を使えば良いことはみんな知っています。高校では、この公式を三角比を使って表します。
新しい式が出てきたと言っても、三角比に置き換わっただけです。どの部分が置き換わったのかを知っておきましょう。
三角比を使った式を導出してみよう
公式から分かるように、底辺と高さが分かれば、三角形の面積を求めることができます。ここで三角比を思い出してみましょう。
この三角比のうち、正弦に注目します。
正弦の式を変形すると、直角三角形の高さを斜辺と三角比(正弦)を用いて表せることが分かります。
つまり、高さを三角比を用いた式に置き換えることによって、新たな三角形の面積の公式を導出することができます。このことがどんな三角形にも成り立つのかを考えてみましょう。
鋭角三角形の面積
鋭角三角形の面積を考えてみましょう。
このとき、三角比を用いて、高さCHを表します。∠Aに対する正弦を利用します。
直角三角形の高さを三角比で表す
直角三角形である △ACH について、三角比の定義より
sinA=CHACこれを CH について変形すると
CH=ACsinAAC=b より
CH=bsinAこれを三角形の面積の公式に代入して整理すると、三角比を用いた式が得られます。
鋭角三角形の面積は、2辺の長さb,cとその挟む∠Aに対する正弦sinAで表されることが分かります。
導出すること自体は決して難しくない。きちんと理解して覚えよう。
鈍角三角形の面積
鈍角三角形の場合も同じようにして導出します。
△ABCは鈍角三角形です。辺ABを底辺と考えると、高さは線分CHの長さです。
線分CHは、頂点Cから直線ABに下ろした垂線です。ここで、垂線の引き方に注意しましょう。
鈍角三角形の場合、頂点Cから辺ABに垂線を下ろせません。このような場合、延長線を引きます。意外とできない人がいるので注意しましょう。
直角三角形ができていますが、角の大きさに注意しましょう。∠BACと∠CAHは、互いに異なる角です。
鈍角三角形の面積
直角三角形である △BCH について、三角比の定義より
sin∠CAH=CHACこれを CH について変形すると
CH=ACsin∠CAHAC=b , ∠CAH=180∘−A より
CH=bsin(180∘−A)sin(180∘−A)=sinA より
CH=bsinA∠Aに対する正弦を用いたわけではありませんが、三角比の拡張を利用するとsinAが出てきました。あくまでも結果的にです。どの角に対する正弦なのかを間違えないようにしましょう。
これを三角形の面積の公式に代入して整理すると、三角比を用いた式が得られます。
鈍角三角形の場合でも、鋭角三角形と同じ式が導出されました。このように三角形の面積は、2辺の長さとその挟む角に対する正弦とを用いて表されます。
三角形の面積の公式
三角形の 2 辺の長さを b , c、その挟む角の大きさを A とする。
このとき三角形の面積 S は以下のように表せる。
S=12bcsinA三角比を用いて三角形の面積を求めるときの条件
三角形の面積を求めるとき、三角比を利用できることが分かりました。ただし、このとき、2つの情報が必要になります。
三角形の面積を求めるのに必要な情報
- 2辺の長さ
- その2辺が挟む角の大きさ
公式を利用するには、条件を満たす必要があります。そのために、角の大きさや辺の長さを先に求めるときもあります。
これが公式や定理をただ暗記しただけでは解けるようにならない理由です。公式や定理に用いられる数量が何かを知らなければ、公式を利用することができません。
公式や定理の発動条件を知ろう。そして問題を解くときには、発動条件と与えられた情報とを照らし合わせよう。
次に、三角形の面積を実際に求めてみましょう。