図形と計量|三角比の方程式について

数学1

三角比の方程式について

今回は、三角比の方程式について学習しましょう。これまでの履修内容で角と三角比とを対応付けることができていれば、スムーズに行きます。

もし、角に対する三角比がすぐに出てこない人は、もう一度演習してからの方が良いかもしれません。

三角比の方程式の解法

「三角比の方程式」と言うくらいですから、三角比が使われた方程式になります。

方程式の中に三角比が使われると、これまでの方程式とどこが違うのか、そういったところに注目して学習しましょう。

三角比の方程式では未知の変数は角θ

これまでの単元では、角に対する三角比を考えてきました。角の情報が決まれば、直角三角形が決まり、辺の関係もおのずと決まります。そうやって角の情報をもとに三角比を求めました。

三角比の方程式では、未知の変数は角θです。ですから三角比に対する角θを考えるのが、三角比の方程式でのポイントになります。

これまでとは逆の思考になるので、角と三角比の対応関係が把握できていないと、まだ難しく感じるかもしれません。

しかし、作図によってカバーできるので、諦めずに取り組みましょう。

三角比の方程式を解くことは角θを求めること

三角比に対する角を考えるので、三角比の方程式の解は角θです。

三角比の方程式を解く」とは、正弦・余弦・正接などの三角比から角θを求めることです。

三角比の方程式について
三角比の方程式について

三角比の方程式を解く

  • (三角比の方程式を解く)=(三角比から角θを求める)
  • (三角比の方程式の解)=(角θ)

三角比の使い方が大切

三角比の情報から角θを求めますが、情報を上手に使って三角比の方程式を解いていきます。

ここでは、求めたい角θは0°≦θ≦180°を満たす角なので、三角形は直角三角形に限りません。そのために三角比の拡張を利用します。

三角比の拡張を利用するには、座標平面に円と点を作図します。この図をもとにして、方程式を解きます。

作図するには円の半径や円周上の点の座標を必要としますが、これらは方程式で与えられた三角比から知ることができます。それらをもとに作図すれば、角θを可視化することができます。

三角比の方程式を解く流れ

  1. 与えられた方程式から、半径rや点Pの座標を得る
  2. 得た情報をもとに作図する
  3. 作図から角θを求める
三角比の方程式では作図する
三角比の方程式の解法

三角比の方程式は計算によって解くと言うよりも、むしろ作図によって図解すると言った方が適切。一応、平面図形の単元なので、当然と言えば当然なのかもしれない。

三角比の方程式を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。ただし、0°≦θ≦180°です。

正弦・余弦・正接の方程式を一通り用意したので、これで共通点や相違点を確認しながらマスターしましょう。

三角比の方程式を解いてみよう

問1の解答・解説

問1

$0^{\circ} \leqq \theta \leqq 180^{\circ}$ のとき、次の等式を満たす $\theta$ を求めよ。

\begin{align*} \quad \sin \theta = \frac{1}{2} \end{align*}

問1は正弦を用いた方程式です。言葉にすれば「正弦が1/2になる角θは?」という問題です。角に対する三角比を求めていたこれまでとは逆であることが分かります。

三角比の方程式を解くとき、答案自体はほとんど記述しません。むしろ、その前の準備や作図(図参照)に時間を掛けます。ここがしっかりできれば、三角比の方程式を解くことはそれほど難しくありません。

三角比の値1/2から円の半径や点の座標に関する情報を取り出します。三角比の拡張で学習した式を利用します。

三角比の拡張

円の半径を $r$、円周上の点 $P$ の座標を $(x \ , \ y)$ とすると

\begin{align*} &\quad \sin \theta = \frac{y}{r} \\[ 7pt ] &\quad \cos \theta = \frac{x}{r} \\[ 7pt ] &\quad \tan \theta = \frac{y}{x} \end{align*}

与式と公式を見比べると、円の半径は2、点Pのy座標は1であることが分かります。

得た情報をもとに作図します。

まず、座標平面に半径2の円を描きます。

そして、円周上の点で、y座標が1である点を作ります。

y座標が1となる点は、直線y=1上にあることを利用します。円と直線y=1との交点が作りたい点になります。

第1問の作図
問1の作図

交点は円周上に2つできます。それぞれの交点と原点とを結ぶと動径ができます。この動径とx軸の正の部分とのなす角が、方程式の解である角θとなります。

図から角θの値を求めます。できるだけ正確に作図すると、角θの大きさが一目で分かります。方程式を満たすθの値は、30°,150°になります。

問1のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

第1問の解答例
問1のポイントと解答例

0°≦θ≦180°の範囲では、正弦(sin)の値が正の数になる角は2つある。三角比の方程式の解は、基本的に2つあると考えておこう。しっかり作図をして視覚化しよう。

問2の解答・解説

問2

$0^{\circ} \leqq \theta \leqq 180^{\circ}$ のとき、次の等式を満たす $\theta$ を求めよ。

\begin{align*} \quad \cos \theta = -\frac{1}{2} \end{align*}

問2は余弦を用いた方程式です。言葉にすれば「余弦が-1/2になる角θは?」という問題です。

余弦が負の数であることを考慮して、扱いやすい形に変形します。

与式を変形する

\begin{align*} \quad \cos \theta = \frac{x}{r} \end{align*}

に合わせて与式を変形する。

\begin{align*} \quad \cos \theta &= -\frac{1}{2} \\[ 7pt ] &= \frac{-1}{2} \end{align*}

与式において、右辺の分子を1から-1に変形しました。与式と公式を見比べると、円の半径は2、点Pのx座標は-1であることが分かります。

得た情報をもとに作図します。

まず、座標平面に半径2の円を描きます。

そして、円周上の点で、x座標が-1である点を作ります。

x座標が-1となる点は、直線x=-1上にあることを利用します。円と直線x=-1との交点が作りたい点になります。

第2問の作図
問2の作図

交点は円周上に1つできます。交点と原点とを結ぶと動径ができます。この動径とx軸の正の部分とのなす角が、方程式の解である角θとなります。

図から角θの値を求めます。できるだけ正確に作図すると、角θの大きさが一目で分かります。方程式を満たすθの値は120°になります。

問2のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

第2問の解答例です。
問2のポイントと解答例

0°≦θ≦180°の範囲では、余弦(cos)の値が負の数になる角は1つだけ。しっかり作図をして視覚化しよう。

問3の解答・解説

問3

$0^{\circ} \leqq \theta \leqq 180^{\circ}$ のとき、次の等式を満たす $\theta$ を求めよ。

\begin{align*} \quad \tan \theta = -1 \end{align*}

問3は正接を用いた方程式です。言葉にすれば「正接が-1になる角θは?」という問題です。

正接が負の整数であることを考慮して、扱いやすい形に変形します。

与式を変形する

\begin{align*} \quad \tan \theta = \frac{y}{x} \end{align*}

に合わせて与式を変形する。

\begin{align*} \quad \tan \theta &= -1 \\[ 7pt ] &= \frac{1}{-1} \end{align*}

整数のままだと、円の半径や点の座標の情報を得にくいので、与式の右辺を分数で表します。

正接はx座標とy座標で表されます。ここで、半円を用いるので、y≧0であることを考慮します。y座標が正の数、x座標が負の数になるように変形します。

与式と公式を見比べると、点Pの座標は(-1,1)であることが分かります。残念ながら、円の半径を知ることはできません。

0°≦θ≦180°の範囲では、y座標が負の数になる点は存在しないので、x座標が負の数になるように変形しよう。三角比の拡張を思い出そう。

正接を用いた方程式では、円の半径が分からないので、正弦や余弦とは少し違った作図をします。

円の半径が分かりませんが、とりあえず円を描きます。

次に、座標(-1,1)である点を作ります。図では円周上に作っていますが、点(-1,1)が円周上になくても問題ありません

第3問の作図
問3の作図

作った点と原点とを結ぶと動径ができます。もし、点(-1,1)が円周上になければ、円と動径との交点が新たにできます。

動径とx軸の正の部分とのなす角が、方程式の解である角θです。円と動径との交点は1つできるので、方程式の解は1つです。

図から角θの値を求めます。できるだけ正確に作図すると、角θの大きさが一目で分かります。方程式を満たすθの値は135°になります。

問3のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

第3問の解答例です。
問3のポイントと解答例

なお、正接を用いた方程式では、円を作図せずに解くこともあります。また、問3の別解として、θの範囲によりますが、正接の定義をさらに変形して、単位円(半径1の円)を利用して解く解法もあります。

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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう

  • 三角比の方程式の解は角θの値。
  • 三角比の情報から得た円の半径や点の座標をもとに作図して、角θを図形的に求める。
  • 作図には、三角比の拡張で学習した三角比の関係式を利用する。
  • 三角比に対する角θは1つとは限らず、複数あるときもある。