数学2
三角形の重心の座標を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
\begin{align*}
&(1) \quad \text{$\triangle {ABC}$ の重心を $G$、辺 $BC$ の中点を $L$、辺 $CA$ の中点を $M$ とする。} \\[ 5pt ]
&\qquad \qquad A(6 \ , \ 6) \ , \ M(7 \ , \ 4) \ , \ G \left(\frac{16}{3} \ , \ \frac{8}{3} \right) \\[ 7pt ]
&\qquad \text{であるとき、点 $B \ , \ L$ の座標をそれぞれ求めよ。} \\[ 10pt ]
&(2) \quad \text{$3$ 点 $A(7 \ , \ 6) \ , \ B(-3 \ , \ 1) \ , \ C(8 \ , \ 1)$ に対して、辺 $BC$ の中点を $P$、} \\[ 5pt ]
&\qquad \text{辺 $CA$ を $3:2$ に外分する点を $Q$、辺 $AB$ を $3:2$ に内分する点を} \\[ 5pt ]
&\qquad \text{$R$ とする。このとき、$\triangle {PQR}$ の重心の座標を求めよ。}
\end{align*}
問(1)の解答・解説
問(1)
\begin{align*}
&\text{$\triangle {ABC}$ の重心を $G$、辺 $BC$ の中点を $L$、辺 $CA$ の中点を $M$ とする。} \\[ 5pt ]
&\quad A(6 \ , \ 6) \ , \ M(7 \ , \ 4) \ , \ G \left(\frac{16}{3} \ , \ \frac{8}{3} \right) \\[ 7pt ]
&\text{であるとき、点 $B \ , \ L$ の座標をそれぞれ求めよ。}
\end{align*}
三角形の頂点のうち、座標が分かっているのは点Aだけです。概略だけでも作図しておくと、取り組みやすくなります。
重心Gや中点Mの座標を表すには、頂点B,Cの座標が必要なので定義しておきます。
辺ACの中点Mの座標が与えられているので、2点A,Cの座標を用いて方程式を導きます。
問(1)の解答例 1⃣
\begin{align*}
&\text{$B \ , \ C$ の座標を $B(a \ , \ b) \ , \ (c \ , \ d)$ とする。} \\[ 5pt ]
&\text{辺 $CA$ の中点 $M$ の座標が $(7 \ , \ 4)$ であるので} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{c+6}{2}=7 \\[ 7pt ]
&\quad \frac{d+6}{2}=4 \\[ 7pt ]
&\text{これを解くと} \\[ 5pt ]
&\quad c=8 \ , \ d=2 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad C \ (8 \ , \ 2)
\end{align*}
点Cの座標を求めることができました。中点の座標から、線分の端にある点の座標を求めることができます。
中点の座標は、線分の両端の点の座標を用いて表される。
⇒ 中点と線分の片端の点の座標から、残りの端の座標についての方程式を導くことができる
次に、点Bの座標を求めます。△ABCの重心Gの座標が与えられています。△ABCの3つの頂点A,B,Cの座標を用いて方程式を導きます。
問(1)の解答例 2⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad C \ (8 \ , \ 2) \\[ 7pt ]
&\text{$\triangle {ABC}$ の重心 $G$ の座標より} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{6+a+8}{3}=\frac{16}{3} \\[ 7pt ]
&\quad \frac{6+b+2}{3}=\frac{8}{3} \\[ 7pt ]
&\text{これを解くと} \\[ 5pt ]
&\quad a=2 \ , \ b=0 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad B \ (2 \ , \ 0)
\end{align*}
点Bの座標を求めることができました。重心の座標から、頂点の座標を求めることができます。
重心の座標は、3つの頂点の座標を用いて表される。
⇒ 重心と2つの頂点の座標から、残りの頂点の座標についての方程式を導くことができる
さいごに、辺BCの中点Lの座標を求めます。2点B,Cの座標を用います。
問(1)の解答例 3⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad C \ (8 \ , \ 2) \\[ 7pt ]
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad B \ (2 \ , \ 0) \\[ 7pt ]
&\text{辺 $BC$ の中点 $L$ の座標は} \\[ 5pt ]
&\quad \left( \frac{2+8}{2} \ , \ \frac{0+2}{2} \right) \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad L \ (5 \ , \ 1)
\end{align*}
中点や重心の座標から方程式を導くことによって、要求された座標を求めます。中点なら線分の両端の座標が必要です。また、重心なら三角形の3つの頂点の座標が必要です。そのために、点B,Cの座標を先に定義しています。
問(2)の解答・解説
問(2)
\begin{align*}
&\text{$3$ 点 $A(7 \ , \ 6) \ , \ B(-3 \ , \ 1) \ , \ C(8 \ , \ 1)$ に対して、辺 $BC$ の中点を $P$、} \\[ 5pt ]
&\text{辺 $CA$ を $3:2$ に外分する点を $Q$、辺 $AB$ を $3:2$ に内分する点を} \\[ 5pt ]
&\text{$R$ とする。このとき、$\triangle {PQR}$ の重心の座標を求めよ。}
\end{align*}
座標平面上に正確に図示した方が良いですが、概略図でも構いません。とにかくイメージしやすく作図しましょう。入試で困らないように、しっかり訓練しておきましょう。
△ABCの3つの頂点の座標が分かっているので、どちらかと言うと取り組みやすい問題です。公式を上手に利用して解きましょう。
△PQRの重心の座標を求めるためには、3つの頂点P,Q,Rの座標が必要です。点A,B,Cの座標ではないことに注意しましょう。
点P,Q,Rの座標をそれぞれ求めます。3点A,B,Cの座標を中点、内分点、外分点の公式に代入します。
問(2)の解答例 1⃣
\begin{align*}
&\text{辺 $BC$ の中点 $P$ の座標は} \\[ 5pt ]
&\quad \left( \frac{(-3)+8}{2} \ , \ \frac{1+1}{2} \right) \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad P \ \left(\frac{5}{2} \ , \ 1 \right) \\[ 7pt ]
&\text{また、辺 $CA$ の外分点 $Q$ の座標は} \\[ 5pt ]
&\quad \left( \frac{(-2) \cdot 8+3 \cdot 7}{3-2} \ , \ \frac{(-2) \cdot 1+3 \cdot 6}{3-2} \right) \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad Q \ (5 \ , \ 16) \\[ 7pt ]
&\text{さらに、辺 $AB$ の内分点 $R$ の座標は} \\[ 5pt ]
&\quad \left( \frac{2 \cdot 7+3 \cdot (-3)}{3+2} \ , \ \frac{2 \cdot 6+3 \cdot 1}{3+2} \right) \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad R \ (1 \ , \ 3)
\end{align*}
△PQRの3つの頂点P,Q,Rの座標が分かったので、重心の座標を求めます。
問(2)の解答例 2⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad P \ \left(\frac{5}{2} \ , \ 1 \right) \\[ 7pt ]
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad Q \ (5 \ , \ 16) \\[ 7pt ]
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad R \ (1 \ , \ 3) \\[ 7pt ]
&\text{$\triangle {PQR}$ の重心の $x$ 座標は} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{\frac{5}{2}+5+1}{3}=\frac{5+10+2}{2 \cdot 3}=\frac{17}{6} \\[ 7pt ]
&\text{また、重心の $y$ 座標は} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{1+16+3}{3}=\frac{20}{3} \\[ 7pt ]
&\text{よって、$\triangle {PQR}$ の重心の座標は} \\[ 5pt ]
&\quad \left(\frac{17}{6} \ , \ \frac{20}{3} \right)
\end{align*}
分子に分数があるので、計算ミスに気を付けましょう。分母と分子にそれぞれ2を掛けて計算します。
外分点を扱った問題は内分点に比べて少ないので、外分点の作図を苦手とする人が意外と多いです。ですから、外分点を扱った問題では、出来る出来ないの差がかなり出ます。
外分点の表し方は、外分比に応じて2通りあります。しっかり書き分けできるようにしておきましょう。
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さいごにもう一度まとめ
- 中点は2点の座標の平均。
- 重心は3点の座標の平均。
- 内分点や外分点の座標を求めるとき、比の扱いに気を付けよう。
- 外分点の取り方にはくれぐれも注意しよう。