数と式|絶対値を扱った問題を解いてみよう

数学1

絶対値を扱った方程式

絶対値の記号の使い方とその外し方を学習した後は、絶対値を扱った問題を解いてみましょう。

数や式の値の正負を吟味する

絶対値を扱った問題では、絶対値の記号に挟まれた数や式について、値の正負を吟味することが大切です。絶対値の記号を外すとき、その外し方が正の数と負の数とで異なるからです。

もし、値の正負が不明であれば、自分で場合分けすると吟味できるようになります。絶対値を考える対象が数や式のどちらであっても、値の正負をすぐに確認しましょう。

絶対値を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

$1$ は絶対値を求めよ。また、$2 \ , \ 3$ は、等式を満たす $x$ の値を求めよ。

\begin{align*} &1. \quad \left|\sqrt{3}-2 \right| \\[ 7pt ] &2. \quad \left|x \right|=5 \\[ 7pt ] &3. \quad \left|x-1 \right|=5 \end{align*}

問1の解答・解説

問1

絶対値を求めよ。

\begin{align*} \quad \left|\sqrt{3}-2 \right| \end{align*}

絶対値の記号を付けただけでは絶対値を求めたことにならない

問1は「絶対値を求めよ」という問題です。与式にはすでに絶対値の記号が付いているので、もう答えが出ていると思うでしょうが、そうではありません。

絶対値の記号を付けただけではその数や式を絶対値として扱う」という宣言をしただけで、絶対値を求めたことにはなりません。

たとえば、|-3|のように負の数に絶対値の記号を付けただけでは、絶対値3を求めたことにはなりません。

「絶対値を求めよ」と言われたら、絶対値の記号を外した形で表そう。

数や式の値の正負が自分で判断できる場合

問1では、与えられた数に絶対値の記号がついたままなので、記号を外して表します。与えられた数は多項式ですが、1つの数と見なします

平方根は、無理数で、循環しない無限小数です。ただし、簡単なものであれば、概数で表せます。与えられた数の正負は概数から吟味できるので、絶対値の記号を外すのは難しくないでしょう。

正負の吟味を答案に記述するとすれば、以下のようになります。

問1の解答例 1⃣

\begin{align*} \quad \sqrt { 3 } = 1.73 \cdots \end{align*}

より

\begin{align*} \quad 1 \lt \sqrt{3} \lt 2 \end{align*}

辺々に $-2$ を加えて

\begin{align*} \quad 1-2 \lt \sqrt{3}-2 \lt 2-2 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad -1 \lt \sqrt{3}-2 \lt 0 \end{align*}

与えられた数が負の数であることが分かりました。

負の数の扱いに従って、絶対値の記号を外します。

問1の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &-1 \lt \sqrt{3}-2 \lt 0 \end{align*}

これより

\begin{align*} \quad &\left|\sqrt{3}-2 \right| \\[ 7pt ] = \ &-\left(\sqrt{3}-2 \right) \\[ 7pt ] = \ &-\sqrt{3}+2 \end{align*}

絶対値の記号を外した後でも正の数であることが分かります。

問1のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

無理数と有理数を含む数の絶対値
問1のポイントと解答例

このように数や式の値の正負が判断できる場合、その正負に従って絶対値の記号を外します。

問2の解答・解説

問2

等式を満たす $x$ の値を求めよ。

\begin{align*} \quad \left|x \right|=5 \end{align*}

絶対値を扱った方程式の基礎となる問題

問2は、絶対値を扱った方程式の中で基礎となる問題です。絶対値を扱った方程式では、問1の形から解を求めるのが基本的な解き方です。

公式化されている問題。絶対値の意味や方程式の意味を考えながら理解しよう。

問2は「方程式を満たすxの値を求めよ」という意味ですが、絶対値に注目すると「絶対値が5となる(点に対応する)数xを求めよ」と解釈することもできます。

これが方程式や絶対値の意味を考えるということです。このような解釈ができれば、方程式を導出したり、公式を覚えたりするのが楽になります。

絶対値が5となる点は、数直線上に2つあります。その点に対応する数は±5です。このことを利用して、方程式を解きます。

問2の解答例

絶対値の定義から

\begin{align*} \quad \left|x \right| &= 5 \\[ 7pt ] x &= \pm 5 \end{align*}

絶対値の定義を利用すれば、方程式を解くことなく解を求めることができます。

問2のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

絶対値を扱った方程式
問2のポイントと解答例

問2を場合分けで解いた場合

絶対値の定義を利用して解きましたが、xの値の正負を場合分けして解くこともできます。

問2の別解例

\begin{align*} &[ \ 1 \ ] \ x \geqq 0 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad \left|x \right| = x \end{align*}

より、与式は

\begin{align*} \quad \left|x \right| &= 5 \\[ 7pt ] \quad x &= 5 \end{align*}

これは $x \geqq 0$ を満たす。

\begin{align*} &[ \ 2 \ ] \ x \lt 0 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad \left|x \right| = -x \end{align*}

より、与式は

\begin{align*} \quad \left|x \right| &= 5 \\[ 7pt ] \quad -x &= 5 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad x = -5 \end{align*}

これは $x \lt 0$ を満たす。

\begin{align*} &[ \ 1 \ ] \ , \ [ \ 2 \ ] \ \text{より} \\[ 5pt ] &\quad x = \pm 5 \end{align*}

解を求めたら、その解が場合分けの条件を満たすことを確認しましょう。問題によっては、解が条件を満たさない場合があります。

問2のポイントと別解例をまとめると以下のようになります。

場合分けによって絶対値記号を外す場合
問2のポイントと別解例

場合分けを利用した解法では、値の正負に応じて絶対値の外し方が決まっているので、機械的に解けるのが利点です。この解法は、多項式の絶対値を扱う場合によく利用されます。

それに対して、数直線で視覚的に解く解法は、問2のような単項式の絶対値を扱う場合に良く利用されます。

絶対値を扱った問題の解法は2パターン

  • 単項式の絶対値:数直線を利用した解法(視覚的に解ける)
  • 多項式の絶対値:場合分けを利用した解法(機械的に解ける)

単項式か多項式かによって、絶対値の求め方を変えよう。単項式なら数直線、多項式なら場合分け。

問3の解答・解説

問3

等式を満たす $x$ の値を求めよ。

\begin{align*} \quad \left|x-1 \right|=5 \end{align*}

多項式を単項式に置き換えて解きやすい形にする

問3は、問2の単項式xから多項式x-1に変わったので、問2と全く関係ないように感じます。しかし、多項式を1つの単項式として扱えば、問2に帰結させることができます。

絶対値が5になる点に対応する数x-1を考えれば良いのですが、このままだと分かりにくいです。そこで、x-1をXに置き換えてみましょう。すると、問2と同じ形の式を導くことができます。

問3の解答例 1⃣

\begin{align*} \quad x-1=X \end{align*}

とおくと、与式は

\begin{align*} \quad \left|x-1 \right| &=5 \\[ 7pt ] \left|X \right| &= 5 \end{align*}

問2のxがXに変わっただけなので、同じ要領で方程式を解くことができます。

問3の解答例 2⃣

\begin{align*} \quad x-1 &=X \\[ 7pt ] &\vdots \\[ 7pt ] \left|X \right| &= 5 \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} \quad X = \pm 5 \end{align*}

ここで $x-1=X$ より

\begin{align*} \quad x-1 = \pm 5 \end{align*}

整理すると

\begin{align*} \quad x &= \pm 5+1 \\[ 7pt ] &= -4 \ , \ 6 \end{align*}

絶対値の記号を外した後に注意しましょう。Xからもとの多項式x-1に戻すのを忘れがちです。もとの多項式に戻したら、xについて整理して解を求めます。

問3のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

多項式を単項式に置き換える
問3の考え方と解答例

また、置き換えなしで解くと別解のようになります。多項式を1つのかたまりとして扱うことに慣れていれば、わざわざ置き換えずに済むでしょう。この解法の方が断然速く解けます。

最終的には、置き換えなしで解けるように演習をこなしましょう。

置き換え無しで方程式を解く
置き換えなしで問3を解く場合

もちろん、場合分けを利用して解くこともできます。

問3の別解例

\begin{align*} &[ \ 1 \ ] \ x-1 \geqq 0 \ \text{すなわち} \ x \geqq 1 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad \left|x-1 \right| = x-1 \end{align*}

より、与式は

\begin{align*} \quad \left|x-1 \right| &=5 \\[ 7pt ] x-1 &= 5 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad x = 6 \end{align*}

これは $x \geqq 1$ を満たす。

\begin{align*} &[ \ 2 \ ] \ x-1 \lt 0 \ \text{すなわち} \ x \lt 1 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad \left|x \right| = -\left(x-1 \right) \end{align*}

より、与式は

\begin{align*} \quad \left|x-1 \right| &=5 \\[ 7pt ] -\left(x-1 \right) &= 5 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad x = -4 \end{align*}

これは $x \lt 1$ を満たす。

\begin{align*} &[ \ 1 \ ] \ , \ [ \ 2 \ ] \ \text{より} \\[ 5pt ] &\quad x = -4 \ , \ 6 \end{align*}

入試レベルであれば、場合分けが必要な問題もあります。こちらの解法もマスターしておきましょう。

絶対値の記号がついていない残りの項は定数か

問2,3のような問題では、絶対値の定義を利用すると簡単に解けます。場合分けなしで済みます。

ただし、同じようにいかない問題もあります。問2,3のような解き方が可能なのは、絶対値が一定、言い換えると右辺が定数であるときです。

右辺が定数のとき」というのは、厳密には正しい表現ではありません。正しくは「絶対値の記号がついていない、残りの項が定数であるとき」です。

右辺が定数であるとき

\begin{align*} &\quad \left|x \right| = 5 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \left|x-1 \right| = 5 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

①,②は、ともに絶対値の記号がついていない、残りの項が定数である等式

\begin{align*} \quad \left|x \right|+3 = 5 \end{align*}

は、整理すると

\begin{align*} \quad \left|x \right| = 2 \end{align*}

となるので、①,②と同じ形の等式

右辺が定数でないとき

\begin{align*} \quad \left|x \right| = x \quad \cdots \text{③} \end{align*}

③は、絶対値の記号がついていない、残りの項 $x$ が定数でない等式

③式は、①,②式に似ていますが、絶対値の記号がついていない、残りの項xが定数でない等式です。

残りの項xは定数ではなく変数です。これでは絶対値が一定になりません。③式のような方程式を解くには、場合分けを利用します。

右辺が定数でないときは場合分けで解く

\begin{align*} \quad \left|x \right| = x \quad \cdots \text{③} \end{align*} \begin{align*} &[ \ 1 \ ] \ x \geqq 0 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad \left|x \right| = x \end{align*}

より、与式は

\begin{align*} \quad \left|x \right| &=x \\[ 7pt ] \quad x &=x \end{align*}

これより、$x \geqq 0$ であれば方程式を満たす。

\begin{align*} &[ \ 2 \ ] \ x \lt 0 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad \left|x \right| = -x \end{align*}

より、与式は

\begin{align*} \quad \left|x \right| &=x \\[ 7pt ] -x &= x \\[ 7pt ] -x-x &= 0 \\[ 7pt ] -2x &= 0 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad x = 0 \end{align*}

これは $x \lt 0$ を満たさないので不適。

\begin{align*} &[ \ 1 \ ] \ , \ [ \ 2 \ ] \ \text{より} \\[ 5pt ] &\quad x \ \text{は $x \geqq 0$ の実数} \end{align*}

入試レベルになると、場合分けを利用しないと絶対値の記号を外せない問題が増えるので慣れておきましょう。

絶対値を含む方程式のうち場合分けなしで解く場合、次の等式を基本の形にして解きます。①,②式のような方程式の場合に利用します。

この形であれば、場合分けなしで絶対値の記号を外すことができます。

絶対値を含む方程式の基本形

$a$ を定数とする。

このとき、$x$ の方程式

\begin{align*} \quad \left|x \right| = a \end{align*}

の解は

\begin{align*} \quad x = \pm a \end{align*}

絶対値記号の中のxは、単項式でも多項式でも構いません。大事なのは、記号がついていない残りの項が定数かどうかです。

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さいごに、もう一度まとめ

  • 絶対値を扱った方程式では、基本の形を意識しよう。
  • 基本の形では、絶対値の定義から数直線を利用して解く。
  • 自分で場合分けをするのは、基本の形に当てはまらないとき。
  • 場合分けでは、解が条件を満たすか吟味する。