場合の数|グループ分けについて
今回はグループ分けについて学習しましょう。グループ分けに関する問題では、区別の有無をしっかり判断できることが大切です。
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グループ分けで明確にしておきたい2つのこと
これまでに順列と組合せについて学習しました。順列は選ぶだけでなく並べ方まで考慮した場合の数で、組合せは選び方だけを考慮した場合の数でした。
単純な順列や組合せであれば間違うことはないかもしれませんが、グループ分けになると注意が必要です。グループ分けは基本的に組合せを使って求めます。
グループ分けで明確にしておかなければならないことが2つあります。
1つ目は、グループ分けをしようとしている人や物が区別できるかどうかです。
たとえば、9人をいくつかのグループに分けるとします。このとき、9人を区別できるかどうかで話が変わります。人間は1人1人違うので、9人を区別できます。当たり前だと思わずに、きちんと確認しましょう。
2つ目は、分けてできたグループが区別できるかどうかです。間違えるとすればグループの区別についてがほとんどです。
この2つ目をしっかり判断できない人が多いので詳しく解説します。
グループ分けで必ず確認したいこと
- いくつかのグループに分ける人や物が区別できるかどうか
- 分けてできるグループが区別できるかどうか
グループが区別できるかどうかを確認しよう
グループ分けに関する問題では、グループを区別できるかどうかでその扱いが大きく変わります。
グループを区別できる例を挙げると以下のようなものがあります。
グループを区別できる例
- 人を3つの部屋A,B,Cに分ける部屋割りの場合
- 1人、2人、3人の3つのチームに分ける場合
部屋割りでは、部屋にA,B,Cの名称がついているので、グループを区別することができます。また、グループごとの人数(個数)が異なる場合も、グループを区別することができます。
それに対して、グループが区別できない例を挙げると以下のようなものがあります。
グループを区別できない例
- 6人を2人ずつの3組に分ける場合
- 5冊の本を1冊、2冊、2冊の3つに分ける場合
グループに名称がなかったり、同じ数に分けたりする場合、グループが区別できません。
5冊の本を1冊、2冊、2冊の3つに分ける場合、1冊と2冊のグループであれば区別できます。しかし、2冊のグループ同士であれば、冊数が同じなので区別することができません。
以上のことから、グループを区別するのは、グループの名称や所属数であることが分かります。何でもってグループを区別するのかを知っておくことが大切です。グループ内の人や物ではないことに注意しましょう。
グループに名称がついていたり、所属数が異なっていたりすると、区別のつくグループ分け。
区別のつくグループ分けでの場合の数
たとえば、6人を3つの部屋A,B,Cに2人ずつ分ける場合を考えてみましょう。
3つの部屋A,B,Cから順に選んでいくとすると、選び方は以下のようになります。
6人を3つの部屋A,B,Cに2人ずつ分けるグループ分け
- 部屋A … 6人から2人を選ぶので、6C2通り
- 部屋B … 部屋Aの選び方のそれぞれについて、残った4人から2人を選ぶので、4C2通りずつ
- 部屋C … 部屋Bの選び方のそれぞれについて、残った2人を選ぶので、2C2通りずつ
部屋割りの分け方は、積の法則を用いて計算します。
6人を3つの部屋A,B,Cに2人ずつ分けるグループ分け
\begin{align*} &{}_6 \mathrm{ C }_2 \times {}_4 \mathrm{ C }_2 \times {}_2 \mathrm{ C }_2 \\[ 10pt ] = \ &\frac{{}_6 \mathrm{ P }_2}{2!} \times \frac{{}_4 \mathrm{ P }_2}{2!} \times 1 \\[ 10pt ] = \ &\frac{6 \cdot 5}{2 \cdot 1} \times \frac{4 \cdot 3}{2 \cdot 1} \\[ 10pt ] = \ &90 \end{align*}同じ人数で分けていますが、部屋にA,B,Cの名称が付いているので、グループを区別できます。このとき、2人の組合せが同じでも、たとえば部屋Aの2人が部屋Bの2人と入れ替わると、異なるグループ分けと見なされます。
以下の表にまとめた6つの選び方は、2人の組合せが同じですが、異なるグループ分けと見なされるものです。
部屋A | 部屋B | 部屋C |
---|---|---|
a,b | c,d | e,f |
a,b | e,f | c,d |
c,d | a,b | e,f |
c,d | e,f | a,b |
e,f | a,b | c,d |
e,f | c,d | a,b |
グループに名称がついている場合、中身が入れ替わる、つまり中身の順序が変わると、別の選び方になってしまいます。このことから、グループに名称がついていると、グループ同士の関係は結果的に順列として扱われていることが分かります。
だからと言って、順列の総数を計算する必要はありませんが、組合せで選んでいるからと言って、順序がついていないわけではないことに注意しましょう。
ここでの考え方はグループに区別がないときに役立ちます。きちんと覚えておきましょう。
これまでをまとめると以下のようになります。
グループの区別がつかない場合
次は区別のつかないグループ分けを具体例で考えてみましょう。先ほどの部屋割りで部屋に名称がついていない場合になります。
今回は部屋がなく、グループにも名称がついていないので、表から部屋の名称を取ってみます。
a,b | c,d | e,f |
a,b | e,f | c,d |
c,d | a,b | e,f |
c,d | e,f | a,b |
e,f | a,b | c,d |
e,f | c,d | a,b |
2人ずつのグループなので、中身の並びが変わっていても、グループ分けに違いがでません。このことから、同じ数でグループ分けする場合、グループに名称がないと、中身の並ぶ順序が変わっても同じグループ分けになってしまうことが分かります。
言い換えれば、同じ数でグループ分けする場合、組合せを使ったとしても、中身の並ぶ順序が変わったグループ分けを含んでしまうということです。
6人を2人ずつ3つのグループに分ける場合、3つのグループの並び方は、1つのグループ分けのそれぞれについて3!通りずつあります。
重複ぶんを取り除くには、3つのグループの並べ方である3!通りで除算します。
区別をなくすには重複ぶんを除く
\begin{align*} &\frac{{}_6 \mathrm{ C }_2 \times {}_4 \mathrm{ C }_2 \times {}_2 \mathrm{ C }_2}{3!} \\[ 10pt ] = \ &\frac{{}_6 \mathrm{ P }_2}{2!} \times \frac{{}_4 \mathrm{ P }_2}{2!} \times 1 \times \frac{1}{3!} \\[ 10pt ] = \ &\frac{6 \cdot 5}{2 \cdot 1} \times \frac{4 \cdot 3}{2 \cdot 1} \times \frac{1}{3 \cdot 2 \cdot 1} \\[ 10pt ] = \ &15 \end{align*}グループ分けは基本的にグループを区別した分け方
グループが区別できる状態から区別がなくなったと考えましたが、2人ずつ選ぶときに順番がついたと考えることもできます。
1つ目のグループに6人の中から選ばれるのと、2つ目のグループで4人の中から選ばれるのとではやはり意味が異なります。意図したわけではありませんが、何番目のグループに選ぶかで結果的に順番をつけてしまったと考えられます。
以上のことから、グループ分けでは、基本的にグループの中身が入れ替わったものを区別して数え上げていることが分かります。ですから、順列のことも意識しておかなければなりません。
グループを区別できないと、いくら組合せで選んだとしてもグループ同士の関係が順列になってしまうので注意しよう。
グループ分けの扱い方をまとめると、以下のようになります。
グループ分けの扱い方
- 組合せで、グループ分けの総数を求める。
- グループを区別できれば、そのまま。グループを区別できなければ、重複ぶん(グループの並べ方)で除算する。
分かってしまうと簡単ですが、字面だけでなく、実際に樹形図やグループ分けした図を書いてみることが大切です。頭の中だけで考えずに、自分で手を動かして視覚化することが理解への早道ではないかと思います。
次はグループ分けを扱った問題を実際に解いてみましょう。