場合の数|集合の要素の個数について

今回から数学Aになります。数学Aは、数学1と比べると、計算力よりも思考力の方に力点を置いた分野ではないかと思われます。数学1のときよりも、考え方や発想の方を意識すると良いでしょう。
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要素の個数を漏れなく数え上げよう
集合と要素
集合と要素については、数学1の「集合と論理」という単元ですでに学習しています。用語の定義や表し方などをきちんと覚えているでしょうか?
既習内容が前提となっているので、不安があれば確認しつつ予習・復習をしましょう。
参考 集合と論理|共通部分・和集合・補集合について
参考 集合と論理|命題について
参考 集合と論理|必要条件と十分条件、同値について
参考 集合と論理|逆、裏、対偶について
参考 集合と論理|背理法について
集合の要素の書き表し方
「集合と論理」という単元では、集合とそれに属する要素について学習しました。
集合とはある条件を満たすものの集まりでした。また、要素とはその集合に属するものでした。この単元では、要素の個数に注目するので、集合の書き表し方がポイントになります。
集合の書き表し方は2通りありました。
- 条件で書き表す方法
- 要素を書き並べる方法
要素の個数を数え上げたいので、集合を「要素を書き並べる方法」で書き表しましょう。
要素の個数の表し方
集合が属する要素の個数は「 $n$(集合名)」の形で表されます。
集合 $A$ の要素の個数が $k$ 個のとき
$\quad n(A)=k$
これまでは要素を書き並べるだけで済みましたが、これからは要素の個数にも注意する必要があります。
和集合や共通部分の要素の個数
集合ごとの要素の個数だけでなく、和集合や共通部分の要素の個数を求めることもあります。
和集合は、いくつかの集合において少なくとも一方に属する要素の集まりでした。集合 $A \ , \ B$ の和集合は$A \cup B$ と表します。
また、共通部分は、いくつかの集合において共通な要素の集まりでした。集合 $A \ , \ B$ の共通部分は $A \cap B$ と表します。
和集合の要素の個数は重なりに注意
集合 $A \ , \ B$ の和集合 $A \cup B$ について、その要素の個数 $n(A \cup B)$ は以下のように表されます。
\begin{equation*}
\quad n(A \cup B) = n(A)+n(B)-n(A \cap B)
\end{equation*}
$n(A \cup B)$ : 和集合の要素の個数
$n(A)$ : 集合 $A$ の要素の個数
$n(B)$ : 集合 $B$ の要素の個数
$n(A \cap B)$ : 共通部分の要素の個数
式を見ると、共通部分の要素の個数を引いています。このことはベン図を描けばよく分かります。
集合 $A \ , \ B$ が共通部分をもつ場合、2つの集合 $A \ , \ B$ は共通部分で重なります。ですから、和集合の要素の個数を考えるとき、単に2つの集合 $A \ , \ B$ の要素の個数を足しただけでは、共通部分1個ぶんだけ余計に足したことになります。
補集合の要素の個数
補集合とは集合に属さない要素の集まりのことでした。たとえば、集合 $A$ の補集合 $\bar{A}$ は、集合 $A$ に属さない要素の集まりです。
集合 $A$ の補集合 $\bar{A}$ について、その要素の個数 $n(\bar{A})$ は以下のように表されます。
\begin{equation*}
\quad n(\bar{A}) = n(U)-n(A)
\end{equation*}
$n(\bar{A})$ : 補集合 $\bar{A}$ の要素の個数
$n(U)$ : 全体集合 $U$ の要素の個数
$n(A)$ : 集合 $A$ の要素の個数
補集合の要素の個数は、全体集合 $U$ と集合 $A$ を使って間接的に求めます。
自分で集合を定義できるようになろう
要素の個数を求めることは決して難しいものではありません。ただ、問題では「~を集合 $A$ としなさい」などと指示されないことがよくあります。
そのような場合、「この条件に対応する集合を $A$ としよう」などと必要に応じて自分で定義する必要があります。複数の集合を扱う場合、定義せずに進めていくと混乱のもとになるので、集合に名前を付けた方が格段にミスが減ります。
次は実際に問題を解いてみましょう。