場合の数|集合の要素の個数について

05/20/2017数学A確率,場合の数,和集合,要素の個数,補集合

場合の数と確率

要素の個数を扱った問題を解いてみよう

次の問題を考えてみましょう。

要素の個数を扱った問題

小問(1)の解答・解説

小問(1)
1~100の整数について、3の倍数はいくつあるか。

問題より、1~100の整数の集まりを全体集合 $U$、3の倍数の集まりを集合 $A$ とします。

問題で使われていない文字を使うとき、きちんと定義しよう。

集合 $A$ の要素を書き並べて表すと、以下のようになります。このとき、3の倍数だと分かるように書き並べておきます。3の倍数は3を因数にもつ数です。

小問(1)の解答例
\begin{equation*}
A=\{ 3 \cdot 1 \ , \ 3 \cdot 2 \ , \ \cdots \ , \ 3 \cdot \underline{\underline{33}} \}
\end{equation*}

集合 $A$ の要素を $3 \ , \ 6 \ , \ \cdots \ , \ 99$ と記述しても良いのですが、それでは要素の個数を別途に求める記述が必要になります。

しかし、解答例のように最後の要素である $3 \cdot 33(=99)$ を見れば、集合 $A$ の要素の個数が33個だと分かります。このように要素が倍数であれば、積の形にすると簡潔で、それでいて要素の個数も分かる記述ができます。

解答例は以下のようになります。

要素の個数を扱った問題(1)の解答例

要素が倍数であれば、、積の形で要素を表そう。

小問(2)の解答・解説

小問(2)
1~100の整数について、3または5の倍数はいくつあるか。

5の倍数の集まりを集合 $B$ とします。3または5の倍数の集まりは、集合 $A \ , \ B$ の和集合 $A \cup B$ です。和集合の要素の個数を求めるには、集合 $A \ , \ B$ の要素の個数と、共通部分 $A \cap B$ の要素の個数が必要です。

和集合の要素の個数
\begin{equation*}
\quad n(A \cup B) = n(A)+n(B)-n(A \cap B)
\end{equation*}

ここで、共通部分は3の倍数であり、なおかつ5の倍数である要素が属します。つまり、共通部分の要素は15の倍数になります。

小問(2)の解答例
\begin{align*}
&A = \{ 3 \cdot 1 \ , \ 3 \cdot 2 \ , \ \cdots \ , \ 3 \cdot \underline{\underline{33}} \} \\[ 5pt ]
&\therefore \ n(A) = 33 \\[ 10pt ]
&B = \{ 5 \cdot 1 \ , \ 5 \cdot 2 \ , \ \cdots \ , \ 5 \cdot \underline{\underline{20}} \} \\[ 5pt ]
&\therefore \ n(B) = 20 \\[ 10pt ]
&A \cap B = \{ 15 \cdot 1 \ , \ 15 \cdot 2 \ , \ \cdots \ , \ 15 \cdot \underline{\underline{6}} \} \\[ 5pt ]
&\therefore \ n(A \cap B) = 6
\end{align*}

各集合の要素からその個数を求め、それを利用して和集合の要素の個数を求めます。解答例は以下のようになります。

要素の個数を扱った問題(2)の解答例

各問を解いた後は、情報を追記しながら進めていきましょう。

ベン図に情報をまとめよう

問題を解くたびに情報をベン図に追記し、可視化しながら進めていこう。ベン図を上手に使えば、要素の個数を求める問題は数字を埋めていくゲーム。

小問(3)の解答・解説

小問(3)
1~100の整数について、15の倍数でないものはいくつあるか。

15の倍数でないものの集まりは、15の倍数の集まりである共通部分 $A \cap B$ の補集合です。補集合の要素の個数は、以下の式で求めることができました。

補集合の要素の個数
\begin{equation*}
\quad n(\bar{A}) = n(U)-n(A)
\end{equation*}

共通部分 $A \cap B$ の要素の個数は小問(2)で求めたので、全体集合 $U$ の要素の個数を求めます。

小問(3)の解答例
\begin{align*}
&A \cap B = \{ 15 \cdot 1 \ , \ 15 \cdot 2 \ , \ \cdots \ , \ 15 \cdot \underline{\underline{6}} \} \\[ 5pt ]
&\therefore \ n(A \cap B) = 6 \\[ 10pt ]
&U = \{ 1 \ , \ 2 \ , \ \cdots \ , \ 100 \} \\[ 5pt ]
&\therefore \ n(U) = 100
\end{align*}

要素の個数をそれぞれ求めたら、公式を使って補集合の要素の個数を求めます。公式とは使っている文字が変わっても、公式をきちんと使いましょう。

小問(3)の解答例つづき
\begin{equation*}
n(\overline{A \cap B}) = n(U) – n(A \cap B)
\end{equation*}

解答例は以下のようになります。

要素の個数を扱った問題(3)の解答例

この単元でも新しく記号を使った表し方を学習しましたが、間違いを恐れずに積極的に使いましょう。新しい事柄を学習した後は、教科書でも問題でも当たり前のように使われます。相手がどんどん使ってくる以上、自分たちも使い慣れていかなければなりません。

近年、センター試験でも定義や表し方に関する問題が出題されています。たとえば、導関数や微分係数の定義や、要素が集合に属すことを表す記号や集合の包含関係を表す記号などに関する問題です。

このような問題に対応するには、やはり日常学習をただの作業で終わらせず、入試につながる質や量を伴った学習であることが大切だろうと思います。そうは言っても、用語や記号などの定義は最低限の知識として必要なので、しっかり覚え、使えるようにしておきましょう。

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それでは、《伝える》レッスンをはじめましょう! (まえがきより)

さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう

  • 要素の個数を考えるとき、要素を書き並べる方法で集合を表そう。
  • 要素が倍数のとき、要素は積の形で表そう。
  • 和集合の要素の個数は、共通部分の有無に注意しよう。
  • 補集合の要素の個数は、全体集合を利用する。
  • 定義された記号や表記をどんどん利用して慣れよう。