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複素数と方程式|3次方程式の解と係数の関係について

数学2

今回は、3次方程式の解と係数の関係について学習しましょう。2次方程式のときと同じように、3次方程式の解と係数の間にも決まった関係があります。

解と係数の関係を扱った問題では、方程式の解そのものを求める問題はあまり出題されません。それよりも、解の和や積から式の値を求める問題がよく出題されます。

3次方程式の解と係数の関係

3次方程式は、最大で3個の解をもちます。また、2重解や3重解をもつ場合もあるので注意が必要です。

2次方程式のときと同じく、3次方程式の解も係数によって決まります。ですから、解と係数には決まった関係があります。

3次方程式の解と係数の関係は以下のように表されます。

3次方程式の解と係数の関係

3 次方程式ax3+bx2+cx+d=0の 3 つの解をα , β , γとすると[1] 解と係数の関係α+β+γ=baαβ+βγ+γα=caαβγ=da[2] 因数分解ax3+bx2+cx+d=a(xα)(xβ)(xγ)

3次方程式の解と係数の関係において、解の和や積(左辺)は基本対称式と言われるものです。対称式は、基本対称式で表すことができるので、式の値を求める問題では、対称式が出題されます。

また、3次方程式の3つの解が分かっていれば、必ず[2]の等式のように因数分解できます。解と係数の関係を表しているわけではありませんが、解と係数の関係を導くときに用いられる大切な等式です。

3次方程式の解と係数の関係を導く

3次方程式の解と係数の関係を導いてみましょう。

解と係数の関係の導出

3 次方程式ax3+bx2+cx+d=0の 3 つの解をα , β , γとする。P(x)=ax3+bx2+cx+dとすると、α , β , γ が P(x)=0 の 3 つの解であるので、k を定数とすると、次の等式が成り立つ。ax3+bx2+cx+d=k(xα)(xβ)(xγ)両辺の x3 の項の係数を比較すると、k=a よりax3+bx2+cx+d=a(xα)(xβ)(xγ)が得られる。この等式の右辺を展開すると(右辺) =ax3a(α+β+γ)x2+a(αβ+βγ+γα)xaαβγ等式の両辺を比較するとb=a(α+β+γ)c=a(αβ+βγ+γα)d=aαβγしたがってα+β+γ=baαβ+βγ+γα=caαβγ=da

2次方程式の解と係数の関係を導くときと同じ要領でできます。恒等式の考えを用いて解いています。

また、等式の変形では、文字で両辺を割るときに注意しましょう。ここでは、定数aで両辺を割っています。

定数aは3次の項の係数です。3次方程式とあるので、3次の項の係数が0ではないことは明らかです。ですから、定数aで割り算することに問題はありません。

等式の変形の際、文字で割るときは0でないことを確認しよう。

3次方程式の解と係数の関係を使ってみよう

3次方程式の解と係数の関係を使ってみましょう。

例題

3 次方程式x3+x2+x+3=0の 3 つの解をα , β , γとするとき、次の式の値を求めよ。(1)α2+β2+γ2(2)α3+β3+γ3

例題(1)の解答・解説

例題(1)

3 次方程式x3+x2+x+3=0の 3 つの解をα , β , γとするとき、次の式の値を求めよ。α2+β2+γ2

与式を観察すると、対称式であることが分かります。対称式は基本対称式を用いて表せます。解と係数の関係は基本対称式で表されるので、解と係数の関係を利用できるように変形しましょう。

解と係数の関係から、基本対称式の値を求めておきます。

例題(1)の解答例 1⃣

x3+x2+x+3=0解と係数の関係よりα+β+γ=11=1αβ+βγ+γα=11=1αβγ=31=3

対称式である与式を変形して、基本対称式で表します。解と係数の関係を利用できます。

例題(1)の解答例 2⃣

αβγ=31=3与式を変形するとα2+β2+γ2=(α+β+γ)22(αβ+βγ+γα)

2次式の乗法公式を変形すると、与式になります。少し難しく感じるかもしれませんが、まずは公式を素早くアウトプットできるようにしておきましょう。そうすれば、似た形だと気付けるはずです。

与式を変形できたら、解と係数の関係から得た値を代入して整理します。

例題(1)の解答例 3⃣

α2+β2+γ2=(α+β+γ)22(αβ+βγ+γα)よってα2+β2+γ2=(1)221 α2+β2+γ2=1

2次式の展開公式を変形することで得られますが、覚えておいた方が良いでしょう。

例題(1)の式変形

(α+β+γ)2=α2+β2+γ2+2αβ+2βγ+2γαよりα2+β2+γ2=(α+β+γ)22αβ2βγ2γαよってα2+β2+γ2=(α+β+γ)22(αβ+βγ+γα)

例題(2)の解答・解説

例題(2)

3 次方程式x3+x2+x+3=0の 3 つの解をα , β , γとするとき、次の式の値を求めよ。α3+β3+γ3

例題(2)の与式も対称式です。与式を基本対称式で表して、解と係数の関係を利用します。解と係数の関係から、基本対称式の値を求めておきます(問(1)ですでに求めているので不要です)。

例題(2)の解答例 1⃣

x3+x2+x+3=0解と係数の関係よりα+β+γ=11=1αβ+βγ+γα=11=1αβγ=31=3

解と係数の関係を利用できるように、与式を変形します。

例題(2)の解答例 2⃣

αβγ=31=3与式を変形するとα3+β3+γ3 =(α+β+γ)(α2+β2+γ2αββγγα)+3αβγ

3次式の展開や因数分解で学習した公式を利用すると、与式を変形できます。例題(1)と比べると、かなり難しく感じる式変形ですが、入試では意外と出題されます。

与式を変形できたら、解と係数の関係から得た値を代入して整理します。

例題(2)の解答例 3⃣

α3+β3+γ3=(α+β+γ)(α2+β2+γ2αββγγα)+3αβγよってα3+β3+γ3=(1)(11)+3(3) α3+β3+γ3=7

例題(2)の与式の式変形は、以下のようになります。少し煩雑なので、公式として覚えておくと良いでしょう。

例題(2)の式変形

α3+β3+γ33αβγ=(α+β)33αβ(α+β)+γ33αβγ=(α+β)3+γ33αβ(α+β+γ)={(α+β)+γ}{(α+β)2γ(α+β)+γ2}3αβ(α+β+γ)=(α+β+γ){(α+β)2γ(α+β)+γ2}3αβ(α+β+γ)=(α+β+γ){(α+β)2γ(α+β)+γ23αβ}=(α+β+γ)(α2+2αβ+β2γαβγ+γ23αβ)=(α+β+γ)(α2+β2+γ2αββγγα)よってα3+β3+γ3=(α+β+γ)(α2+β2+γ2αββγγα)+3αβγ

式の値を求める問題では、例題で扱った式変形はよく利用されます。公式として覚えておきましょう。

式の値を扱った問題でよく利用される式変形

α2+β2+γ2=(α+β+γ)22(αβ+βγ+γα)α3+β3+γ3=(α+β+γ)(α2+β2+γ2αββγγα)+3αβγ

例題(2)の別解例

例題(1)の式変形は何とかなっても、例題(2)は覚えていなければ意外と難しいです。そんなときは、次数を下げることで上手くいく場合があります。

例題(2)の別解例

α , β , γ は 3 次方程式の解であるので、α3+α2+α+3=0β3+β2+β+3=0γ3+γ2+γ+3=0よってα3=α2α3β3=β2β3γ3=γ2γ3これらを与式に代入するとα3+β3+γ3=(α2α3)+(β2β3)+(γ2γ3)整理するとα3+β3+γ3=(α2+β2+γ2)(α+β+γ)9よって、(1)の結果と解と係数の関係からα3+β3+γ3=(1)(1)9 α3+β3+γ3=7

次数を下げることで、例題(1)の結果を利用することができます。別解の方が式変形の負担が少ないので、取り組みやすいかもしれません。

等式を成り立たせるものが方程式の解。

次は、3次方程式の解と係数の関係を扱った問題を実際に解いてみましょう。