図形と方程式|円に切り取られる線分の長さについて

数学2

図形と方程式 円、円と直線、2つの円

円に切り取られる線分の長さを扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

円 $(x-2)^{\scriptsize{2}}+(y-1)^{\scriptsize{2}}=4$ と直線 $y=-2x+3$ の $2$ つの交点を $A \ , \ B$ とするとき、弦 $AB$ の長さを求めよ。

問の解答・解説

円の中心が原点ではなくなっていることに注意しましょう。作図は以下の通りです。

円に切り取られる線分の長さ 問の図

例題と同じ要領で解きましょう。円の中心と直線の距離が円の半径に等しいことを利用します。

問の解答例 1⃣

円の中心を $C(2 \ , \ 1)$、線分 $AB$ の中点を $M$ とする。
線分 $CM$ の 長さは、中心 $C$ と直線 $2x+y-3=0$ との距離に等しいので、
\begin{align*} \quad CM= &\frac{|2 \cdot 2+1 \cdot 1-3|}{\sqrt{ 2^{\scriptsize{2}}+1^{\scriptsize{2}} }} \\[ 5pt ] = &\frac{2}{\sqrt{5} } \end{align*}
また、円の半径は $2$ である。

弦の長さを求める式に、線分の長さを代入します。根号の中の計算に気を付けましょう。

問の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 5pt ] &\text{$CA=2 \ , CM=\frac{2}{\sqrt{5}}$ より} \end{align*}
\begin{align*} \quad AB &= 2AM \\[ 5pt ] \quad &= 2\sqrt{CA^{\scriptsize{2}}-CM^{\scriptsize{2}}} \\[ 5pt ] \quad &= 2\sqrt{2^{\scriptsize{2}}-\left(\frac{2}{\sqrt{5}} \right)^{\scriptsize{2}}} \\[ 5pt ] \quad &= 2\sqrt{ \frac{16}{5} } \\[ 5pt ] \quad &= 2 \cdot \frac{4}{\sqrt{5}} \\[ 5pt ] \quad &= \frac{8\sqrt{5}}{5} \end{align*}

次は、別解の解法で解いてみましょう。

問の別解例

別解1では、2点間の距離と、解と係数の関係を利用します。

問の別解例1

直線の方程式を円の方程式に代入して整理すると
\begin{align*} &\quad (x-2)^{\scriptsize{2}}+(-2x+3-1)^{\scriptsize{2}}=4 \\[ 5pt ] &\quad 5x^{\scriptsize{2}}-12x+4=0 \ \cdots \text{①} \end{align*}
①の実数解を $\alpha \ , \ \beta$ とすると、解と係数の関係から
\begin{align*} &\quad \alpha + \beta =\frac{12}{5} \\[ 5pt ] &\quad \alpha \beta =\frac{4}{5} \\[ 5pt ] &\text{円と直線の交点の座標は} \\[ 5pt ] &\quad (\alpha \ , \ -2\alpha+3) \ , \ (\beta \ , \ -2\beta+3) \\[ 5pt ] &\text{であるから、求める線分の長さは} \\[ 5pt ] &\qquad \sqrt{ (\beta-\alpha)^{\scriptsize{2}} +\bigl\{(-2\beta+3)-(-2\alpha+3) \bigr\}^{\scriptsize{2}} } \\[ 10pt ] &\quad =\sqrt{ (\beta-\alpha)^{\scriptsize{2}} +\bigl\{-2(\beta-\alpha) \bigr\}^{\scriptsize{2}} } \\[ 10pt ] &\quad =\sqrt{ 5(\beta-\alpha)^{\scriptsize{2}} } \\[ 10pt ] &\quad =\sqrt{ 5\bigl\{ (\beta+\alpha)^{\scriptsize{2}}-4\alpha \beta \bigr\} } \\[ 10pt ] &\quad =\sqrt{ 5\biggl\{ \left(\frac{12}{5} \right)^{\scriptsize{2}}-4 \cdot \left(\frac{4}{5} \right) \biggr\} } \\[ 10pt ] &\quad =\sqrt{ 5 \cdot \frac{12^{\scriptsize{2}}-4^{\scriptsize{2}} \cdot 5}{5^{\scriptsize{2}}} } \\[ 10pt ] &\quad =\sqrt{ 5 \cdot \frac{64}{5^{\scriptsize{2}}} } \\[ 10pt ] &\quad =\frac{8\sqrt{5}}{5} \end{align*}

解と係数の関係で得られる値が分数だと、計算が煩雑になります。解答例の方を採用した方が良いでしょう。

また、別解2の解法だと以下のようになります。傾きで作った直角三角形と、線分ABを斜辺とする直角三角形が相似であることを利用します。

円に切り取られる線分の長さ 問(別解2)の図

直線の傾きが負なので、別解例ではm=-2をそのまま代入しています。長さの比から得られた式なので、本来なら正の数を代入すべきですが、式から分かるように傾きの値を2乗するので問題ありません。

例題の別解例2

直線の方程式を円の方程式に代入して整理すると
\begin{align*} &\quad (x-2)^{\scriptsize{2}}+(-2x+3-1)^{\scriptsize{2}}=4 \\[ 5pt ] &\quad 5x^{\scriptsize{2}}-12x+4=0 \ \cdots \text{①} \end{align*}
ここで、①の実数解を $\alpha \ , \ \beta$ とする。
①を解くと
\begin{align*} &\quad (5x-2)(x-2)=0 \\[ 5pt ] &\quad x=\frac{2}{5} \ , \ 2 \\[ 5pt ] &\text{よって、} \\[ 5pt ] &\quad \alpha=\frac{2}{5} \\[ 5pt ] &\quad \beta=2 \\[ 5pt ] &\text{とすると、求める線分の長さは} \\[ 5pt ] &\quad AB=\left| \ 2-\frac{2}{5} \ \right| \sqrt{1^{\scriptsize{2}}+(-2)^{\scriptsize{2}}} \\[ 5pt ] &\qquad \ =\frac{8}{5} \cdot \sqrt{5} \\[ 5pt ] &\therefore \ AB=\frac{8\sqrt{5}}{5} \end{align*}

別解1よりも計算が楽です。解答例以外なら、こちらの解法を採用した方が良いでしょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 円に切り取られる線分の長さは図形の性質を利用しよう。
  • 円の中心から弦に引いた垂線は、弦の垂直二等分線。
  • 弦の長さは、三平方の定理を利用して求めよう。
  • 2点間の距離を利用するときは、解と係数の関係を利用しよう。