図形と方程式|共線や共点について

数学2

図形と方程式 直線

共線や共点を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

$(1) \quad 3$ 点 $A(a \ , \ -1) \ , \ B(1 \ , \ 3) \ , \ C(4 \ , \ -2)$ が同じ直線上にあるとき、定数 $a$ の値を求めよ。

$(2) \quad 3$ 直線 $2x-y-1=0 \ , \ 3x+2y-2=0 \ , \ y=\frac{1}{2}x+k$ が $1$ 点 $A$ で交わるとき、$k$ の値と点 $A$ の座標を求めよ。

問(1)の解答・解説

問(1)

$3$ 点 $A(a \ , \ -1) \ , \ B(1 \ , \ 3) \ , \ C(4 \ , \ -2)$ が同じ直線上にあるとき、定数 $a$ の値を求めよ。

問(1)は、例題(1)と同じく「3点が共線である」ことに関する問題です。ここでは、例題(1)の別解の解法を採用します。

2点を通る直線の方程式

\begin{align*} &\text{異なる $2$ 点 $(x_{1} \ , \ y_{1}) \ , \ (x_{2} \ , \ y_{2})$ を通る直線の方程式は} \\[ 5pt ] &\quad \left(y_{2}-y_{1} \right) \left(x-x_{1} \right)-\left(x_{2}-x_{1} \right) \left(y-y_{1} \right)=0 \end{align*}

2点B,Cを通る直線の方程式を一般形で求めます。

問(1)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\text{$2$ 点 $B \ , \ C$ を通る直線 $BC$ の方程式は} \\[ 5pt ] &\quad \left(-2-3 \right) \left(x-1 \right)-\left(4-1 \right) \left(y-3 \right)=0 \\[ 7pt ] &\text{すなわち} \\[ 5pt ] &\quad -5 \left(x-1 \right)-3 \left(y-3 \right)=0 \\[ 7pt ] &\text{よって、} \\[ 5pt ] &\quad 5x+3y-14=0 \end{align*}

傾きと切片を必要とするのであれば別ですが、ここでは必要ありません。ですから、分数の出てこない一般形の方が扱いやすいでしょう。

3点が共線であるので、直線BCの上にも点Aがあるはずです。このとき、点Aの座標を直線BCの方程式に代入すると、等式が成り立ちます。つまり、点Aの座標は直線BCの方程式の解となります。

このことを利用すると、定数aについての方程式を導くことができます。

問(1)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 5x+3y-14=0 \\[ 7pt ] &\text{直線 $BC$ 上に点 $A$ があるので} \\[ 5pt ] &\quad 5 \cdot a+3 \cdot \left(-1 \right)-14=0 \\[ 7pt ] &\text{これを解くと} \\[ 5pt ] &\quad a=\frac{17}{5} \end{align*}

方程式を解くと、3点が同じ直線上にあるときの定数aの値が分かります。

点が直線上にある

=点の座標は直線の方程式の解

=直線の方程式に座標を代入すると、等式が成り立つ

⇒直線上の点の座標を直線の方程式に代入して、等式が成り立つときの定数aの値を求める

問(2)の解答・解説

問(2)

$3$ 直線 $2x-y-1=0 \ , \ 3x+2y-2=0 \ , \ y=\frac{1}{2}x+k$ が $1$ 点 $A$ で交わるとき、$k$ の値と点 $A$ の座標を求めよ。

問(2)は、例題(2)と同じく「3直線が共点である」ことに関する問題です。例題(2)と同じ要領で解きましょう。

3直線が共点であることから、3直線は1点で交わります。係数や定数項の分かる2直線から、交点の座標を求め、この交点が残りの直線上にあると考えます。

係数や定数項が明らかな直線が2つ与えられているので、それらから交点の座標を求めます。

問(2)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad 2x-y-1=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 3x+2y-2=0 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad y=\frac{1}{2}x+k \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ] &\text{とする。} \\[ 5pt ] &\text{$2$ 直線①,②の交点の座標は、①,②を} \\[ 5pt ] &\text{連立して解けばよいので} \\[ 5pt ] &\text{①×2+②より} \\[ 5pt ] &\quad x=\frac{4}{7} \\[ 7pt ] &\text{これと①より} \\[ 5pt ] &\quad y=\frac{1}{7} \\[ 7pt ] &\text{よって、求める交点の座標は} \\[ 5pt ] &\quad \left(\frac{4}{7} \ , \ \frac{1}{7} \right) \end{align*}

3直線が共点であるので、2直線①,②の交点は、直線③の上にもあります。この交点が3直線が交わる1点Aとなります。

また、交点の座標を直線③の方程式に代入して、kの値を求めます。

問(2)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad y=\frac{1}{2}x+k \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad \left(\frac{4}{7} \ , \ \frac{1}{7} \right) \\[ 7pt ] &\text{交点は直線③上にもあるので、} \\[ 5pt ] &\quad \frac{1}{7}=\frac{1}{2} \cdot \frac{4}{7}+k \\[ 7pt ] &\text{$k$ について解くと} \\[ 5pt ] &\quad k=-\frac{1}{7} \end{align*}

ここで終わりにせず、kの値を代入して直線③の方程式を確認します。

共点であるためには、3本または3本以上の直線が1点で交わることが条件です。直線③が他の直線①,②と一致しないことを確認します。

問(2)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad 2x-y-1=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 3x+2y-2=0 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad y=\frac{1}{2}x+k \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad k=-\frac{1}{7} \\[ 7pt ] &\text{このとき、直線③の方程式は} \\[ 5pt ] &\quad y=\frac{1}{2}x-\frac{1}{7} \\[ 7pt ] &\text{すなわち} \\[ 5pt ] &\quad 7x-14y-2=0 \\[ 7pt ] &\text{となり、直線①,②とは一致しない。} \\[ 5pt ] &\text{したがって、求める $k$ の値と点 $A$ の座標は} \\[ 5pt ] &\quad k=-\frac{1}{7} \\[ 7pt ] &\quad A \ \left(\frac{4}{7} \ , \ \frac{1}{7} \right) \end{align*}

直線③が直線①または直線②と一致すると、「3本または3本以上の直線が1点で交わる」という条件を満たしません。さいごの確認を忘れないようにしましょう。

また、これまでは直線の方程式と言えば、傾きと切片を用いた形で表していました。もちろん、この形を利用することは多いですが、一般形の方が扱いやすい問題もあります。それに、傾きを吟味するのを忘れやすいです。

直線の方程式を求めるとき、初めから一般形で求めることができる公式もあります。すべての直線を表せる一般形では傾きの吟味が不要なので、扱うだけのメリットは十分にあります。

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さいごにもう一度まとめ

  • 3点が同じ直線上にあることを共線であると言う。
  • 共線に関する問題は、2点から直線の方程式を求めて、その直線上に残り1点もあることを利用する。
  • 3直線が1点で交わることを共点であると言う。
  • 共点に関する問題は、2直線の交点を求めて、その交点が残りの直線上にあることを利用する。
  • 直線の方程式を求める手段をいくつか持っておこう。特に、一般形でも表せるようにしておこう。