図形と方程式|共点と共線の関係について
共点と共線の関係を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
異なる $3$ 直線
\begin{align*} &\quad x-y=1 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 2x+3y=1 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad ax+by=1 \quad \cdots \text{③} \end{align*}が $1$ 点で交わるとき、$3$ 点
\begin{align*} \quad (1 \ , \ -1) \ , \ (2 \ , \ 3) \ , \ (a \ , \ b) \end{align*}は同じ直線上にあることを示せ。
問の解答・解説
3つの直線①,②,③は、1点で交わるので、共点性をもちます。
このとき、交点の座標を方程式にそれぞれ代入すると、どれも等式が成り立つことを利用します。
問の解答例 1⃣
\begin{align*} &\quad x-y=1 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 2x+3y=1 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad ax+by=1 \quad \cdots \text{③} \end{align*}①,②を連立して解くと、①×3+②より
\begin{align*} \quad x=\frac{4}{5} \end{align*}これと①より
\begin{align*} \quad y=-\frac{1}{5} \end{align*}よって、$2$ 直線①,②の交点の座標は
\begin{align*} \quad \left(\frac{4}{5} \ , \ -\frac{1}{5} \right) \end{align*}この交点は直線③上にもあるので
\begin{align*} \quad a \cdot \frac{4}{5}+b \cdot \left(-\frac{1}{5} \right)=1 \end{align*}よって
\begin{align*} \quad 4a-b=5 \quad \cdots \text{④} \end{align*}3直線①,②,③の共点性を利用して、定数a,bについての方程式④を導くことができました。
次に、3点が同じ直線上にある、すなわち共線性をもつこと示します。そのために、2点を通る直線の方程式を求め、それに残りの点の座標を代入します。
先ほど導いた④式を利用して、等式が成り立つことを示します。
問の解答例 2⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad 4a-b=5 \quad \cdots \text{④} \end{align*}また、$2$ 点 $(1 \ , \ -1) \ , \ (2 \ , \ 3)$ を通る直線の方程式は
\begin{align*} \quad \left\{3-\left(-1 \right) \right\} \left(x-1 \right)-\left(2-1 \right)\left\{y-\left(-1 \right) \right\}=0 \end{align*}より
\begin{align*} \quad 4\left(x-1 \right)-\left(y+1 \right)=0 \end{align*}よって
\begin{align*} \quad 4x-y=5 \end{align*}これに $x=a \ , \ y=b$ を代入すると、④から等式を満たすので、点 $(a \ , \ b)$ は直線 $4x-y=5$ 上にある。
したがって、$3$ 点
\begin{align*} \quad (1 \ , \ -1) \ , \ (2 \ , \ 3) \ , \ (a \ , \ b) \end{align*}は、同じ直線 $4x-y=5$ 上にある。
共点性から得られた④式を、共線性を示すために上手に利用します。そうは言っても、共点性や共線性の意味を知っていれば、特に難しくはないでしょう。
共線である
- 共点:2直線の交点が第3の直線上にある
- 共線:2点を通る直線上に第3の点がある
問の別解例
共点性や共線性をもつときの性質を利用すると、以下のような解答例になります。
問の別解例
\begin{align*} &\quad x-y=1 \quad \cdots \text{①} \\[ 5pt ] &\quad 2x+3y=1 \quad \cdots \text{②} \\[ 5pt ] &\quad ax+by=1 \quad \cdots \text{③} \end{align*}原点を通らない $3$ 直線①,②,③が $1$ 点で交わるので、その点の座標を $P(p \ , \ q)$ とすると、$P$ は原点にはならない。
$3$ 直線①,②,③が点 $P$ を通ることから
\begin{align*} \quad p-q=1 \ , \ 2p+3q=1 \ , \ ap+bq=1 \end{align*}すなわち
\begin{align*} &\quad p \cdot 1+q \cdot (-1)=1 \quad \cdots \text{⑤} \\[ 7pt ] &\quad p \cdot 2+q \cdot 3=1 \quad \cdots \text{⑥} \\[ 7pt ] &\quad p \cdot a+q \cdot b=1 \quad \cdots \text{⑦} \end{align*}であり、$p \neq 0$ または $q \neq 0$
ここで、直線の方程式 $px+qy=1$ を考えると、⑤~⑦から、$3$ 点
\begin{align*} \quad (1 \ , \ -1) \ , \ (2 \ , \ 3) \ , \ (a \ , \ b) \end{align*}は、同じ直線 $px+qy=1$ 上にある。
座標を代入した後の等式の捉え方を変えたのが、⑤~⑦式です。
交点の座標を3直線の方程式にそれぞれ代入した後の等式から、3点の座標を同一直線の方程式に代入した後の等式へと解釈しなおしています。
少し難しいですが、日頃から式が表す意味を考える習慣を付けておくことが大切です。
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さいごにもう一度まとめ
- 共線なら、2点を通る直線の方程式を求めて、これに残りの点を代入しよう。
- 共点なら、2直線の交点の座標を求めて、これを残りの直線の方程式に代入しよう。
- 等式の捉え方によって、共線性と共点性のどちらにも捉えることができる
- 直線の方程式を一般形で表せるようにしておこう。