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図形と方程式|座標を利用した証明について

数学2

図形と方程式 直線上の点、平面上の点

座標を利用した証明を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

(1)ABC の辺 BC の中点を M とするとき、AB2+AC2=2(AM2+BM2)が成り立つことを証明せよ。(2)ABC において、辺 BC を 3:2 に内分する点を D とする。このとき、3(2AB2+3AC2)=5(3AD2+2BD2)が成り立つことを証明せよ。

問(1)の解答・解説

問(1)

ABC の辺 BC の中点を M とするとき、AB2+AC2=2(AM2+BM2)が成り立つことを証明せよ。

例題と同じ要領で座標軸を定めます。

問(1)の解答例 1⃣

直線 BC を x 軸に、辺 BC の垂直二等分線をy 軸にとると、中点 M は原点 O になる。

座標軸が定まったら、点の座標を定義します。変数をできるだけ少なくしましょう。

問(1)の解答例 2⃣

3 点 A , B , C の座標をA (a , b) , B (c , 0) , C (c , 0)と表すことができる。

問(1)では、重心Gが出てこないので、解答例のように頂点Aの座標を定義します。また、頂点B,Cの座標は原点(またはy軸)に関して対称なので、同じ変数を利用します。

作図すると以下の通りです。作図は、答案を作成する前に済ませておきましょう。

問(1)の図形を座標平面上に設置した図
問(1)の作図

座標軸や座標が定まれば、後は計算だけです。必ず等式が成り立つはずなので、焦らず計算しましょう。左辺を計算します。

問(1)の解答例 3⃣

A (a , b) , B (c , 0) , C (c , 0)このときAB2+AC2={(ca)2+(0b)2}+{(ca)2+(0b)2}={(c+a)2+b2}+{(ca)2+b2}=(c2+2ca+a2+b2)+(c22ca+a2+b2)=2(a2+b2+c2)

同様にして、右辺を計算します。

問(1)の解答例 4⃣

A (a , b) , B (c , 0) , C (c , 0)=2(a2+b2+c2)またAM2+BM2={(0a)2+(0b)2}+{0(c)}2=(a2+b2)+c2=a2+b2+c2

線分BMは、x軸上にある2点間の距離なので、x座標の差で表されます。

与式を導くには、②式を①式に代入します。すると、等式が成り立つことを示せます。

問(1)の解答例 5⃣

=2(a2+b2+c2)=a2+b2+c2①,②よりAB2+AC2=2(AM2+BM2)

この等式を中線定理と言います。また、パップスの定理と言うこともあります。意外と役立つ等式なので、覚えておくと良いでしょう。

問(2)の解答・解説

問(2)

ABC において、辺 BC を 3:2 に内分する点を D とする。このとき、3(2AB2+3AC2)=5(3AD2+2BD2)が成り立つことを証明せよ。

座標軸を定めます。このとき、点Dは中点ではありませんが、原点と重なるようにします。

問(2)の解答例 1⃣

直線 BC を x 軸に、点 D を通り、直線 BC に垂直な直線を y 軸にとると、点 D は原点 O になる。

座標軸が定まったら、点の座標を定義します。もちろん「変数はできるだけ少なく」です。

問(2)の解答例 2⃣

よって、3 点 A , B , C の座標をA (a , b) , B (3c , 0) , C (2c , 0)と表すことができる。

点B,Cの座標に注意しましょう。同じ文字を用いることができますが、点Dが辺BCを3:2に内分する点なので、原点に関して対称ではありません

作図すると以下の通りです。答案を作成する前に作図を済ませておきましょう。

問(2)の図形を座標平面上に設置した図
問(2)の作図

座標軸や座標が定まれば、左辺と右辺をそれぞれ計算します。等式の証明問題なので、必ず等式が成り立ちます。焦らず計算しましょう。左辺から計算します。

問(2)の解答例 3⃣

A (a , b) , B (3c , 0) , C (2c , 0)このとき2AB2+3AC2=2{(3ca)2+(0b)2}+3{(2ca)2+(0b)2}=2{(3c+a)2+b2}+3{(2ca)2+b2}=2(9c2+6ca+a2+b2)+3(4c24ca+a2+b2)=5a2+5b2+30c2=5(a2+b2+6c2)

同様にして、右辺を計算します。

問(2)の解答例 4⃣

A (a , b) , B (3c , 0) , C (2c , 0)=5(a2+b2+6c2)また3AD2+2BD2=3{(0a)2+(0b)2}+2{0(3c)}2=3(a2+b2)+29c2=3(a2+b2+6c2)

線分BDは、x軸上にある2点間の距離なので、x座標の差で表されます。

与式を導くには、①,②式を変形する必要があります。①,②式には共通の式があるので、それを利用すると等式が成り立つことを示せます。

問(2)の解答例 5⃣

2AB2+3AC2=5(a2+b2+6c2)3AD2+2BD2=3(a2+b2+6c2)①よりa2+b2+6c2=15(2AB2+3AC2)②よりa2+b2+6c2=13(3AD2+2BD2)よって15(2AB2+3AC2)=13(3AD2+2BD2)したがって3(2AB2+3AC2)=5(3AD2+2BD2)

左辺と右辺の計算では、素直に展開するだけではなく、共通因数でくくるなどして要領よく計算しましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 等式の証明では、座標を利用すると簡単な場合がある。
  • 座標軸の定め方に注意しよう。
  • 中点や内分点が原点と重なるようにしよう。
  • 三角形の底辺がx軸と重なるようにしよう。
  • 対称性を利用するなどして、変数をできるだけ少なくして座標を決めよう。