整数の性質|ユークリッドの互除法について

数学A

数学A 整数の性質

ユークリッドの互除法を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

$270$ と $42$ の最大公約数をユークリッドの互除法を用いて求めよ。

問の解答・解説

最大公約数の求め方には、2つの数をそれぞれ素因数分解して求める方法があります。この方法はすでに学習しています。しかし、問では解法が指定されているので注意しましょう。

素因数分解せずに、ユークリッドの互除法を用いて解きます。

問の解答例

\begin{align*} &\quad 270 \div \underline{42} = 6 \quad \text{余り} \ \underline{\underline{18}} \\[ 7pt ] &\quad \underline{42} \div \underline{\underline{18}} = 2 \quad \text{余り} \ \underline{6} \\[ 7pt ] &\quad \underline{\underline{18}} \div \underline{6} = 3 \quad \text{余り} \ \underline{\underline{0}} \end{align*}

よって、$270$ と $42$ の最大公約数は $6$

割る数(除数)を次の割り算の割られる数(被除数)に、余りを次の割り算の割る数(除数)にして割り算を繰り返します。余りが0になったときの割る数(除数)が270と42の最大公約数です。

解答例から分かるように、270と42の最大公約数を直接求めるのではなく、18と6の最大公約数から間接的に求めています。

270と42の最大公約数は、18と6の最大公約数を求めれば良い。

27042の最大公約数)

=(4218の最大公約数)

=(18の最大公約数)

また、筆算で解くと以下のようになります。

余りが次の割り算の割る数(除数)となります。

左側に追記していくので、最初の割り算をできるだけ右側に記述しましょう。

数題解けば要領を掴めるので、集中的に演習をこなしましょう。

ユークリッドの互除法を扱った問題の別解例
270と42の最大公約数を筆算で求める

最大公約数の求め方としては、素因数分解を利用する解法が一般的かもしれません。ただ、整数問題では余りに注目する問題が意外と多いので、余りに関わる解法の1つとしてユークリッドの互除法も使えるようにしておきましょう。

発展の内容になりますが、余りに注目したものに合同式もあります。

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さいごにもう一度まとめ

  • 整数を商と余りを使って表せるようになろう。
  • 2つの自然数の最大公約数と、割る数(除数)と余りの最大公約数に等しいことを理解しよう。
  • ユークリッドの互除法は、できるだけ小さな2数を使って最大公約数を求めるための方法。
  • ユークリッドの互除法は、1次不定方程式にも応用されるので、手順をマスターしておこう。