場合の数|グループ分けについて
グループ分けを扱った問題を解いてみよう
次の問題を考えてみましょう。
問(i)の解答・解説
問(i)
$6$ 冊の異なる本を、次のように分けるとき、その分け方はそれぞれ何通りあるか。
$\quad 1$ 冊、$2$ 冊、$3$ 冊に分ける。
グループ分けをするときに確認することが2つありました。
グループ分けの問題では必ず確認しよう
- いくつかのグループに分ける人や物が区別できるかどうか
- 分けてできるグループが区別できるかどうか
本は6冊とも異なるので区別できます。また、3つのグループも冊数が異なるので区別できます。分け方は以下のようになります。
6冊の異なる本を1冊、2冊、3冊に分けるときの分け方
- 6冊から1冊を選ぶので、6C1通り
- 1冊の選び方のそれぞれについて、残った5冊から2冊を選ぶので、5C2通りずつ
- 2冊の選び方のそれぞれについて、残った3冊を選ぶので、3C3通りずつ
積の法則を使って計算します。
問(i)の解答例
$6$ 冊から $1$ 冊を選ぶ場合の数は ${}_6 \mathrm{ C }_1$ 通り。
そのそれぞれについて、残り $5$ 冊から $2$ 冊を選ぶ場合の数は ${}_5 \mathrm{ C }_2$ 通りずつ。
そのそれぞれについて、残り $3$ 冊から $3$ 冊を選ぶ場合の数は ${}_3 \mathrm{ C }_3$ 通りずつ。
求める分け方の総数は、積の法則より
\begin{align*} &{}_6 \mathrm{ C }_1 \times {}_5 \mathrm{ C }_2 \times {}_3 \mathrm{ C }_3 \\[ 7pt ] = \ &\frac{{}_6 \mathrm{ P }_1}{1!} \times \frac{{}_5 \mathrm{ P }_2}{2!} \times 1 \\[ 7pt ] = \ &6 \times \frac{5 \cdot 4}{2 \cdot 1} \\[ 7pt ] = \ &60 \ \text{(通り)} \end{align*}問(i)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
1冊、2冊、3冊の順に本を選びましたが、グループを区別できるので、どの冊数から選んでも計算結果は変わりません。ただ、一般に、分ける数が少ない方から処理していくと、計算がいくらか楽になります。
3冊、2冊、1冊の順のときと比べてみると、いくらか実感できると思います。
問(i)の別解例
\begin{align*} &{}_6 \mathrm{ C }_3 \times {}_3 \mathrm{ C }_2 \times {}_1 \mathrm{ C }_1 \\[ 7pt ] = \ &\frac{{}_6 \mathrm{ P }_3}{3!} \times \frac{{}_3 \mathrm{ P }_2}{2!} \times 1 \\[ 7pt ] = \ &\frac{6 \cdot 5 \cdot 4}{3 \cdot 2 \cdot 1} \times \frac{3 \cdot 2}{2 \cdot 1} \\[ 7pt ] = \ &60 \ \text{(通り)} \end{align*}小さなことですが、入試のようなシビアな時間制限のある状況では、計算のコツ1つが自分の身を助けてくれます。
問(ii)の解答・解説
問(ii)
$6$ 冊の異なる本を、次のように分けるとき、その分け方はそれぞれ何通りあるか。
$\quad 2$ 冊ずつ $3$ 人の子供 $A \ , \ B \ , \ C$ に分ける。
本は6冊とも異なるので区別できます。また、本を渡す子供が異なる(名称A,B,Cがついている)ので、3つのグループを区別できます。分け方は以下のようになります。
6冊の異なる本を2冊ずつ3人の子供A,B,Cに分けるときの分け方
- 6冊から2冊を選ぶので、6C2通り
- 2冊の選び方のそれぞれについて、残った4冊から2冊を選ぶので、4C2通りずつ
- 2冊の選び方のそれぞれについて、残った2冊を選ぶので、2C2通りずつ
問(i)と同じように、積の法則を使って計算します。
問(ii)の解答例
$6$ 冊から $2$ 冊を選ぶ場合の数は ${}_6 \mathrm{ C }_2$ 通り。
そのそれぞれについて、残り $4$ 冊から $2$ 冊を選ぶ場合の数は ${}_4 \mathrm{ C }_2$ 通りずつ。
そのそれぞれについて、残り $2$ 冊から $2$ 冊を選ぶ場合の数は ${}_2 \mathrm{ C }_2$ 通りずつ。
求める分け方の総数は、積の法則より
\begin{align*} &{}_6 \mathrm{ C }_2 \times {}_4 \mathrm{ C }_2 \times {}_2 \mathrm{ C }_2 \\[ 7pt ] = \ &\frac{{}_6 \mathrm{ P }_2}{2!} \times \frac{{}_4 \mathrm{ P }_2}{2!} \times 1 \\[ 7pt ] = \ &\frac{6 \cdot 5}{2 \cdot 1} \times \frac{4 \cdot 3}{2 \cdot 1} \\[ 7pt ] = \ &90 \ \text{(通り)} \end{align*}問(ii)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
同じ冊数に分けますが、子供が区別できるのでグループも区別できることに注意しましょう。この点に気付けば特に問題ないでしょう。
問(iii)の解答・解説
問(iii)
$6$ 冊の異なる本を、次のように分けるとき、その分け方はそれぞれ何通りあるか。
$\quad 2$ 冊ずつの $3$ 組に分ける。
本は6冊とも異なるので区別できます。しかし、3つのグループには名称がなく、冊数が同じで区別できません。問(iii)が問(ii)と異なるのは、3つのグループを区別できないところです。
分け方は以下のようになりますが、重複ぶんを含んでいることに注意しましょう。
6冊の異なる本を2冊ずつ3組に分けるときの分け方
- 6冊から2冊を選ぶので、6C2通り
- 2冊の選び方のそれぞれについて、残った4冊から2冊を選ぶので、4C2通りずつ
- 2冊の選び方のそれぞれについて、残った2冊を選ぶので、2C2通りずつ
- ただし、3組のグループに区別がないので、1つのグループ分けのそれぞれについて、重複ぶん3!通りずつが含まれる。
積の法則を使って計算します。グループの区別がないので、(ii)の結果を利用して重複ぶんを忘れずに除きます。
問(iii)の解答例
$6$ 冊から $2$ 冊を選ぶ場合の数は ${}_6 \mathrm{ C }_2$ 通り。
そのそれぞれについて、残り $4$ 冊から $2$ 冊を選ぶ場合の数は ${}_4 \mathrm{ C }_2$ 通りずつ。
そのそれぞれについて、残り $2$ 冊から $2$ 冊を選ぶ場合の数は ${}_2 \mathrm{ C }_2$ 通りずつ。
求める分け方の総数は、$(ii)$ で $A \ , \ B \ , \ C$ の区別をなくせばよいので
\begin{align*} &\frac{{}_6 \mathrm{ C }_2 \times {}_4 \mathrm{ C }_2 \times {}_2 \mathrm{ C }_2}{3!} \\[ 10pt ] = \ &\frac{90}{3!} \\[ 10pt ] = \ &\frac{90}{3 \cdot 2 \cdot 1} \\[ 10pt ] = \ &15 \ \text{(通り)} \end{align*}問(iii)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問(iii)では、問(ii)の分け方を利用して、グループを区別できないときの分け方を求めています。問(ii)と問(iii)をセットにして覚えておけば、グループ分けの問題でつまずくことはないでしょう。
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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう
- グループに分ける人や物が区別できるかどうかを確認しよう。
- グループが区別できるかどうかを確認しよう。
- 同じ数ずつ分ける場合、重複ぶんを取り除こう。
- グループ分けでは、選ぶ順番で中身の並びが区別されている。
- グループが区別できない場合の数は、グループが区別できる場合の数を利用する。
- グループに分ける数が少ない方から選んでいくと、簡単な計算になりやすい。