図形と方程式|2直線の交点を通る直線について

数学2

図形と方程式 直線

2直線の交点を通る直線を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

次の直線の方程式を求めよ。

$(1) \quad 2$ 直線 $x+y-4=0 \ , \ 2x-y+1=0$ の交点と点 $(-2 \ , \ 1)$ を通る直線

$(2) \quad 2$ 直線 $x-2y+2=0 \ , \ x+2y-3=0$ の交点を通り、直線 $5x+4y+7=0$ に垂直な直線

問(1)の解答・解説

問(1)

次の直線の方程式を求めよ。

$2$ 直線

\begin{align*} &\quad x+y-4=0 \\[ 7pt ] &\quad 2x-y+1=0 \end{align*}

の交点と点 $(-2 \ , \ 1)$ を通る直線

問(1)は、直線の方程式や点の座標が異なるだけで、例題とほとんど変わりません。例題と同じ要領で解くことができるでしょう。

まず、2直線の交点を通る直線の方程式を導きます。

問(1)の解答例 1⃣

$k$ を定数とすると

\begin{align*} \quad k \left(x+y-4 \right)+\left(2x-y+1 \right)=0 \quad \cdots \text{①} \end{align*}

は、$2$ 直線の交点を通る直線を表す。

まだ定数kの値が定まっていないので、2直線の交点を通る直線は特定されません。他の1点(-2,1)を通るので、この点の座標を利用して特定します。

点(-2,1)の座標を①式に代入します。代入した座標は、①式の解にならなければなりません。等式が成り立つことから、kの値を決定します。

問(1)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad k \left(x+y-4 \right)+\left(2x-y+1 \right)=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align*}

直線①が点 $(-2 \ , \ 1)$ を通るとすると、方程式①に $x=-2 \ , \ y=1$ を代入して

\begin{align*} &\quad k \left(-2+1-4 \right)+\left\{ 2 \cdot \left(-2 \right)-1+1 \right\}=0 \\[ 7pt ] &\quad -5k-4=0 \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} \quad k=-\frac{4}{5} \end{align*}

定数kの値が定まりました。求めたkの値を①式に代入します。整理した式が、交点と点(-2,1)を通る直線の方程式です。

問(1)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad k \left(x+y-4 \right)+\left(2x-y+1 \right)=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad k=-\frac{4}{5} \end{align*}

これを①に代入すると

\begin{align*} &\quad -\frac{4}{5} \left(x+y-4 \right)+\left(2x-y+1 \right)=0 \\[ 7pt ] &\quad -4 \left(x+y-4 \right)+5 \left(2x-y+1 \right)=0 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad 2x-3y+7=0 \end{align*}

kの値を代入した後、分数の処理を優先しましょう。分数を分配法則して展開するよりも、分母を払って展開した方が計算ミスしにくいでしょう。

問(1)の別解・解説

別解として、これまでの解法で解きます。2直線の交点の座標を求め、2点を通る直線の方程式(公式)を利用します。

問(1)の別解例

\begin{align*} &\quad x+y-4=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad 2x-y+1=0 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

$2$ 直線の交点の座標は①,②を連立して

①+②

\begin{align*} \quad x=1 \end{align*}

これと①から

\begin{align*} \quad y=3 \end{align*}

よって、$2$ 点 $(1 \ , \ 3) \ , \ (-2 \ , \ 1)$ を通る直線の方程式は

\begin{align*} &\quad \left(1-3 \right) \left(x-1 \right)-\left(-2-1 \right) \left(y-3 \right)=0 \\[ 7pt ] &\quad -2 \left(x-1 \right)+3 \left(y-3 \right)=0 \end{align*}

したがって

\begin{align*} \quad 2x-3y+7=0 \end{align*}

解法によって計算量が異なるので、ミスしにくい解法を採用しましょう。従来の解法の方で解き慣れているでしょうが、新しい解法もしっかりマスターしておきましょう。

共通テストなどの誘導形式の問題では、解法を選べません。ですから、模範的な解答を押さえておくことは必須です。

問(2)の解答・解説

問(2)

次の直線の方程式を求めよ。

$2$ 直線

\begin{align*} &\quad x-2y+2=0 \\[ 7pt ] &\quad x+2y-3=0 \end{align*}

の交点を通り、直線

\begin{align*} \quad 5x+4y+7=0 \end{align*}

に垂直な直線

問(2)では、例題と異なり、他の1点が与えらていません。その代わりに第3の直線が与えられています。

まずは、問(1)と同様に、2直線の交点を通る直線の方程式を導きます。

問(2)の解答例 1⃣

$k$ を定数とすると

\begin{align*} \quad k \left(x-2y+2 \right)+\left(x+2y-3 \right)=0 \quad \cdots \text{①} \end{align*}

は、$2$ 直線の交点を通る直線を表す。

問(2)では、第3の直線と垂直である条件が与えられています。2直線の垂直条件を使えます。

①式を一般形で表してから、2直線の垂直条件を利用します。

問(2)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad k \left(x-2y+2 \right)+\left(x+2y-3 \right)=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align*}

直線①の方程式を変形すると

\begin{align*} \quad \left(k+1 \right)x-2\left(k-1 \right)y+\left(2k-3 \right)=0 \quad \cdots \text{①’} \end{align*}

2直線の垂直条件は2通りあります。ここでは、傾きの積ではなく、一般形での垂直条件を利用します

問(2)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad \left(k+1 \right)x-2\left(k-1 \right)y+\left(2k-3 \right)=0 \quad \cdots \text{①’} \end{align*}

直線①’が直線 $5x+4y+7=0$ に垂直であるには

\begin{align*} \quad \left(k+1 \right) \cdot 5-2\left(k-1 \right) \cdot 4=0 \end{align*}

を満たせばよい。

これを解くと

\begin{align*} \quad k=\frac{13}{3} \end{align*}

定数kの値が定まりました。求めたkの値を直線①’の方程式に代入します。①式に代入するよりも、一般形になっている①’式に代入しましょう。

問(2)の解答例 4⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad \left(k+1 \right)x-2\left(k-1 \right)y+\left(2k-3 \right)=0 \quad \cdots \text{①’} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad k=\frac{13}{3} \end{align*}

これを①’に代入すると

\begin{align*} \quad \left(\frac{13}{3}+1 \right)x-2\left(\frac{13}{3}-1 \right)y+\left(2 \cdot \frac{13}{3}-3 \right)=0 \end{align*}

両辺に $3$ を掛けて

\begin{align*} \quad \left(13+3 \right)x-2\left(13-3 \right)y+\left(2 \cdot 13-9 \right)=0 \end{align*}

さらに整理すると

\begin{align*} \quad 16x-20y+17=0 \end{align*}

2直線の垂直条件は以下の通りです。傾きの積が一般的ですが、x軸に垂直な直線に関する吟味が必要になります。

2直線の垂直条件

$2$ 直線

\begin{align*} &\quad y=m_{1}x+n_{1} \\[ 7pt ] &\quad y=m_{2}x+n_{2} \end{align*}

が垂直であるとき、垂直条件は

\begin{align*} \quad m_{1} m_{2}=-1 \end{align*}

また、$2$ 直線

\begin{align*} &\quad a_{1}x+b_{1}y+c_{1}=0 \\[ 7pt ] &\quad a_{2}x+b_{2}y+c_{2}=0 \end{align*}

が垂直であるとき、垂直条件は

\begin{align*} \quad a_{1} a_{2}+b_{1} b_{2}=0 \end{align*}

問(2)の別解・解説

傾きの積を利用すると、解答例は以下の通りです。

問(2)の別解例

$k$ を定数とすると

\begin{align*} \quad k \left(x-2y+2 \right)+\left(x+2y-3 \right)=0 \quad \cdots \text{①} \end{align*}

は、$2$ 直線の交点を通る直線を表す。

このとき

\begin{align*} \quad \left(k+1 \right)x-2\left(k-1 \right)y+\left(2k-3 \right)=0 \quad \cdots \text{①’} \end{align*}

$k=1$ のとき、①’は

\begin{align*} \quad x=\frac{1}{2} \end{align*}

となり、これは直線 $5x+4y+7=0$ と垂直ではないので

\begin{align*} \quad k \neq 1 \end{align*}

$k \neq 1$ のとき、直線①’の傾きは

\begin{align*} \quad \frac{k+1}{2(k-1)} \end{align*}

また、直線 $5x+4y+7=0$ の傾きは

\begin{align*} \quad -\frac{5}{4} \end{align*}

直線①’が直線 $5x+4y+7=0$ と垂直であるためには

\begin{align*} \quad \frac{k+1}{2(k-1)} \cdot \left(-\frac{5}{4} \right)=-1 \end{align*}

を満たせばよい。これを解くと

\begin{align*} \quad k=\frac{13}{3} \end{align*}

これを①’に代入すると

\begin{align*} \quad \left(\frac{13}{3}+1 \right)x-2\left(\frac{13}{3}-1 \right)y+\left(2 \cdot \frac{13}{3}-3 \right)=0 \end{align*}

整理すると

\begin{align*} \quad 16x-20y+17=0 \end{align*}

傾きの積を利用する解法では、傾きの分母が0ではないことを示す必要があります。そのせいでかなり面倒な印象になります。

他の解法として、交点の座標を求めてから、傾きと1点の座標を用いる解法もあります。

問(2)の別解例

\begin{align*} &\quad x-2y+2=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad x+2y-3=0 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

$2$ 直線の交点の座標は①,②を連立して

①+②

\begin{align*} \quad x=\frac{1}{2} \end{align*}

これと①より

\begin{align*} \quad y=\frac{5}{4} \end{align*}

$2$ 直線①,②の交点の座標は

\begin{align*} \quad \left(\frac{1}{2} \ , \ \frac{5}{4} \right) \end{align*}

この点を通り、直線 $5x+4y+7=0$ に垂直な直線の方程式は

\begin{align*} \quad 4\left(x-\frac{1}{2} \right)-5 \left(y-\frac{5}{4} \right)=0 \end{align*}

両辺に $4$ を掛けて

\begin{align*} \quad 4 \left(4x-2 \right)-5 \left(4y-5 \right)=0 \end{align*}

整理すると

\begin{align*} \quad 16x-20y+17=0 \end{align*}

答案がすっきりしているので、この解法の方が分かりやすく、取り組みやすいかもしれません。

なお、直線の方程式を整理するときは工夫しましょう。分数を分配法則で展開するよりも、分母を払ってから展開した方が計算ミスを減らせます

また、解答例から分かるように、直線の方程式を一般形で求めることができると、かなり楽になります。

垂直な直線の方程式

点 $(x_{1} \ , \ y_{1})$ を通り、直線

\begin{align*} \quad \underline{a} x\underline{+b} y+c=0 \end{align*}

に垂直な直線の方程式は

\begin{align*} \quad \underline{\underline{b}} \left(x-x_{1} \right) \underline{\underline{-a}} \left(y-y_{1} \right)=0 \end{align*}

これは $a=0$ または $b=0$ の場合も成り立つ。

x,yの係数が入れ替わっていることに注目すると覚えやすいでしょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 2直線の交点を通る直線は、2直線の方程式で作ることができる。
  • 点の座標や傾きの情報から、求める直線を特定する。
  • 直線の方程式を一般形で求めることに慣れておこう。
  • 垂直条件や平行条件も一般形の係数を使った条件を利用しよう。
  • 要領よく式を整理しよう。