複素数と方程式|1の3乗根の性質について
1の3乗根の性質を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
$x$ についての方程式 $x^{\scriptsize{3}}=1$ の虚数解の $1$ つを $\omega$ とする。
このとき、次の式の値を求めよ。
問(1)の解答・解説
問(1)
$x$ についての方程式 $x^{\scriptsize{3}}=1$ の虚数解の $1$ つを $\omega$ とする。
このとき、次の式の値を求めよ。
まずは、1の3乗根の性質を表す式を導出しておきましょう。
問(1)の解答例 1⃣
①,②式を利用して、式の値を求めます。
問(1)の与式を観察すると、最大次数が2次です。次数を下げることはできません。このままでは式の値を求めることができそうにありません。
与式は分数なので、通分して式変形してみましょう。何らかの変化がみられるはずです。
問(1)の解答例 2⃣
分子に注目すると、1の3乗根の性質(①式)を利用できます。
問(1)の解答例 3⃣
性質をいつでも導出できるようになっておきましょう。
問(2)の解答・解説
問(2)
$x$ についての方程式 $x^{\scriptsize{3}}=1$ の虚数解の $1$ つを $\omega$ とする。
このとき、次の式の値を求めよ。
問(2)の与式を観察すると、2項式で、2つとも3次以上の項です。次数を下げましょう。先ほどの「覚えておきたい式」を意識して、次数だけで考えてみましょう。
次数を3で割ったとき
次数の100は3で割ると1余る数で、50は3で割ると2余る数です。これをもとにそれぞれの項を分解し、②式を利用して次数を下げます。
問(2)の解答例 1⃣
次数が2次以下になるまで次数を下げましょう。次は①式を利用します。
問(2)の解答例 2⃣
1の3乗根の性質を扱った問題では「いかに次数を下げるか」がポイントです。ωの3乗がいくつできるかを考えて分解すると分かりやすいでしょう。また、指数法則を利用するので使いこなせるようにしておきましょう。
基本的にこのパターンの出題がほとんどなので、しっかりマスターしておきましょう。
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さいごにもう一度まとめ
- 1の3乗根は全部で3つ。
- 1の3乗根のうち、虚数はともに共役な複素数。
- 1の3乗根の虚数解のうち、一方をωとすると、他方はω2。
- 3つの1つの3乗根を3乗すると、どれも1になる。
- 1の3乗根の性質は主に次数下げに利用する。