図形と方程式|垂線の長さの最小について
垂線の長さの最小を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
放物線 $y=-x^{2} \ \cdots$ ①と直線 $y=-2x+k \quad (k \gt 1) \ \cdots$ ②がある。
放物線①上の点と直線②の距離の最小値が $1$ となるように、定数 $k$ の値を定めよ。
問の解答・解説
問題文を読むと「放物線①上の点と~」となるので、例題よりも点と直線の距離をイメージしやすいかもしれません。
作図すると、以下のようになります。
放物線①上の点を定義して、点と直線の距離を利用します。
問の解答例 1⃣
放物線①上の点を $P (a \ , \ -a^{2})$ とする。
また、②より
\begin{align*} \quad 2x+y-k=0 \end{align*}点 $P$ と直線②の距離を $d$ とすると
\begin{align*} \quad d=\frac{| 2a-a^{2}-k |}{\sqrt{2^{2}+1^{2}}} \end{align*}よって
\begin{align*} \quad d=\frac{| a^{2}-2a+k |}{\sqrt{5}} \end{align*}放物線①上の点Pと直線②の距離dを導きました。これが放物線②上の点Pから下した垂線の長さです。
距離dの右辺を平方完成します。
問の解答例 2⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad d=\frac{| a^{2}-2a+k |}{\sqrt{5}} \end{align*}これの右辺を変形すると
\begin{align*} &\quad d =\frac{1}{\sqrt{5}} \left| \ a^{2}-2a+k \ \right| \\[ 7pt ] &\quad \ =\frac{1}{\sqrt{5}} \left| \ \left(a-1 \right)^{2}+k-1 \ \right| \end{align*}絶対値の中の式を確認します。
問の解答例 3⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad \ =\frac{1}{\sqrt{5}} \left| \ \left(a-1 \right)^{2}+k-1 \ \right| \end{align*}ここで
\begin{align*} \quad \left(a-1 \right)^{2} \geqq 0 \end{align*}また、$k \gt 1$ であるので $k-1 \gt 0$
よって
\begin{align*} \quad \left(a-1 \right)^{2}+k-1 \gt 0 \end{align*}これより $d$ は
\begin{align*} \quad d=\frac{1}{\sqrt{5}} \left\{ \left(a-1 \right)^{2}+k-1 \right\} \end{align*}よって
\begin{align*} \quad d=\frac{1}{\sqrt{5}} \left(a-1 \right)^{2}+\frac{k-1}{\sqrt{5}} \end{align*}絶対値の中の2次式を平方完成すると、式の値がつねに正であることが分かります。ですから、絶対値を外しても問題ありません。
距離dの最小値と、そのときのaの値を求めます。このときの点Pは、直線②に最も近い点となります。
問の解答例 4⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad d=\frac{1}{\sqrt{5}} \left(a-1 \right)^{2}+\frac{k-1}{\sqrt{5}} \end{align*}よって、$d$ は $a=1$ で最小値 $\frac{k-1}{\sqrt{5}}$をとる。
例題と異なるのはここからです。ここでは、距離の最小値が1になるときを考えます。
問の解答例 5⃣
\begin{align*} \quad \vdots \\[ 7pt ] \end{align*}よって、$d$ は $a=1$ で最小値 $\frac{k-1}{\sqrt{5}}$をとる。
最小値が $1$ になるための条件は
\begin{align*} \quad \frac{k-1}{\sqrt{5}}=1 \end{align*}であるので、これを解くと
\begin{align*} \quad k=\sqrt{5}+1 \end{align*}したがって、求める定数 $k$ の値は
\begin{align*} \quad k=\sqrt{5}+1 \end{align*}例題と問では、絶対値を外さずに解くことができます。ただ、入試では、絶対値を含む式が意外と登場します。絶対値の扱い方を一通り訓練しておいた方が良いでしょう。
絶対値の扱いに慣れてくると、計算を進めていくには絶対値が邪魔なものだと分かります。ですから、絶対値の外し方を知っておくことは大切です。特に、式の値の正負を調べることができるようにしておきましょう。
2次式の値の正負は、平方完成で調べよう。
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さいごにもう一度まとめ
- 垂線は、最短経路。
- 放物線上の点と直線上の点との間の距離は、放物線上の点と直線との距離に等しい。
- 放物線上の点の座標を定義しよう。
- 絶対値内の式の値は、平方完成してから吟味しよう。
- 最小値や最大値という用語を見たら、2次関数(2次式)をイメージしよう。