式と証明|特徴のある文言を含む証明問題について

数学2

数学2 式と証明

今回は特徴のある文言を含む証明問題について学習しましょう。

証明問題に限りませんが、問題文の文言を、同値な表現や数式に言い換えできる力が必要です。この力を身に付けることが本質を理解することにつながります。このことを意識して取り組みましょう。

「少なくとも1つは…」という表現を数式に置き換えよう

ここで扱う特徴のある文言とは、「少なくとも1つは…」です。たとえば、以下の3つの数式について条件が与えられたとします。

「少なくとも1つは…」という表現に注目

x+y,y+z,z+xのうち少なくとも1つは0である。

少なくとも1つということなので、最小で1つ、最大で3つが0であるということです。この条件を別な表現で表します。

「少なくとも1つは…」という表現の言い換え

x+y,y+z,z+xのうち少なくとも1つは0である。

⇔ x+y=0またはy+z=0またはz+x=0

3つの数式がすべて0である必要はないので、「または」を用いて言い換えることができます。「または」は、数学1で学習した用語です。

さらに、別な表現に言い換えます。

「少なくとも1つは…」という表現の言い換え

x+y,y+z,z+xのうち少なくとも1つは0である。

⇔ x+y=0 または y+z=0 または z+x=0

⇔ (x+y)(y+z)(z+x)=0 … (※)

以上のことから、「3つの数式のうち少なくとも1つが0であること」は、(※)の等式が成り立つことと同値であることが分かります。

このように、問題文で与えられた条件や表現から、別の表現や数式に置き換えられないかを考えることが、問題を解くために有効な方法となります。

問題文を数式で表現できるようになろう。

特徴のある文言を扱った問題に慣れよう

次の例題を解いてみましょう。

例題

\begin{align*} &\quad \frac{1}{x} +\frac{1}{y} +\frac{1}{z} = \frac{1}{x+y+z} \\[ 7pt ] &\text{であるとき、$x+y \ , \ y+z \ , \ z+x$ のうち} \\[ 5pt ] &\text{少なくとも $1$ つは $0$ であることを証明せよ。} \end{align*}

特徴のある文言「少なくとも1つは…」があることに注目しましょう。

例題の解答・解説

結論を式で表す

結論は、問題文から分かるように「3つの数式のうち少なくとも1つは0である」です。この結論を式で表すことを考えます。

先ほどのプロセスを辿ると、結論を式で表すことができます。

結論を式で表す

$x+y \ , \ y+z \ , \ z+x$ のうち少なくとも $1$ つは $0$ である。

$\Leftrightarrow \ x+y=0$ または $y+z=0$ または $z+x=0$

$\Leftrightarrow \ (x+y)(y+z)(z+x)=0 \quad \cdots$ (※)

結論が成り立つには、(※)の等式が成り立つことを証明すれば良いことが分かります。

条件から結論が成り立つことを示す

次に、(※)の等式を導くことを考えます。条件として等式が与えられているので、これを変形して導きます。

与式を変形する

\begin{align*} &\quad \frac{1}{x} +\frac{1}{y} +\frac{1}{z} = \frac{1}{x+y+z} \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\text{とおく。①から} \\[ 5pt ] &\quad xyz(x+y+z) \neq 0 \\[ 7pt ] &\text{は明らか。} \\[ 5pt ] &\text{よって、①の両辺に} \\[ 5pt ] &\quad xyz \left(x+y+z \right) \\[ 7pt ] &\text{を掛けると} \end{align*} \begin{align*} \quad \left(\frac{1}{x} +\frac{1}{y} +\frac{1}{z} \right) \cdot xyz \left(x+y+z \right) &= \frac{1}{x+y+z} \cdot xyz \left(x+y+z \right) \\[ 10pt ] \frac{yz+zx+xy}{xyz} \cdot xyz \left(x+y+z \right) &= \frac{1}{x+y+z} \cdot xyz(x+y+z) \\[ 10pt ] \left(yz+zx+xy \right) \left(x+y+z \right) &= xyz \end{align*}

与式の分母を払うことができました。(※)の等式を意識してさらに変形します。

与式をさらに変形する

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad \left(yz+zx+xy \right) \left(x+y+z \right) = xyz \\[ 7pt ] &\text{$x$ についての式と考えて} \\[ 5pt ] &\quad \left\{ \left(y+z \right)x+yz \right\}\left\{x+ \left(y+z \right) \right\} – xyz = 0 \\[ 10pt ] &\quad \left(y+z \right)x^{\scriptsize{2}}+\left(y+z \right)^{\scriptsize{2}} x + xyz + yz \left(y+z \right) – xyz = 0 \\[ 10pt ] &\quad \left(y+z \right)x^{\scriptsize{2}}+\left(y+z \right)^{\scriptsize{2}} x + yz \left(y+z \right) = 0 \\[ 10pt ] &\quad \left(y+z \right) \left\{x^{\scriptsize{2}}+\left(y+z \right)x + yz \right\} = 0 \\[ 10pt ] &\quad \left(y+z \right) \left\{ \left(x+y \right) \left(x+z \right) \right\} = 0 \\[ 10pt ] &\quad \left(y+z \right) \left(x+y \right) \left(x+z \right) = 0 \end{align*}

ようやく(※)の等式を導くことができました。式変形が難しいと感じるかもしれませんが、目標となる式が予め分かっています。ミスがなければ必ず導けるので、焦らず確実に変形しましょう。

得られた等式について吟味します。結論となる条件が得られるはずです。

得られた等式について吟味する

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad \left(y+z \right) \left(x+y \right) \left(x+z \right) = 0 \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad x+y=0 \ \text{または} \ y+z=0 \ \text{または} \ z+x=0 \\[ 7pt ] &\text{したがって、$x+y \ , \ y+z \ , \ z+x$ のうち} \\[ 5pt ] &\text{少なくとも $1$ つは $0$ である。} \end{align*}

例題では、条件から式を導くことができましたが、問題によっては導くことが難しい場合があります。

そのような場合には、結論が成り立つ式が分かっているので、直接、その式が成り立つことを示します。条件となる与式は、結論を導くために変形するのではなく、その式を証明するための条件としてそのまま用います。

数学では逆算するのが有効

例題を通して分かるのは、「結論から解決の方針を立てる」という逆算の発想が大切であることです。

証明問題を苦手にする人は多いようですが、意外とこの考え方を知らないのかもしれません。この考え方は、証明問題に限らず、数学全般で有効な思考法なので、演習をこなしてマスターしておきましょう。

逆算の発想は、たとえば、入試や資格・検定の対策にも役立ちます。入試や資格・検定では、締め切りとなる試験日(=結論)が予め決まっています。

締切日が決まっているということは、それまでの日数が決まっています。ですから、その期間にできる準備の量も自ずと決まります。このようなことに気付けるので、全体を把握するのにも役立ちます。

締切日から逆算して、取り組み方を考えるのが入試や資格・検定の準備です。受験で成功する人の多くは、意識的か無意識的かは別として、たいてい逆算しながら準備しています。

それに対して、締切日から逆算せずに計画を立てると、物理的に無理な計画が多くなります。全体を把握できていないからです。

準備が中途半端になったり、計画通りに進まなかったりするのはたいていこのパターンです。計画を上手く実行出来ない人は、締切日から逆算して、全体を把握してから計画を立てると良いでしょう。

結論から解決の方針を立てる逆算の発想は、数学以外にも色々なことに利用できる思考法。

次は、特徴のある文言を含む証明問題を実際に解いてみましょう。