データの分析|データの代表値について

データの代表値を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問1
問1の解答・解説
問1は、データの代表値を求める問題です。問1(3)で最頻値を求める必要があるので、問題を解く前に、度数分布表を作っておいても良いでしょう。
度数分布表は以下のようになります。
問1の度数分布表
問1(1)の解答・解説
この度数分布表も利用しながら問題を解きます。問1(1)は、平均値を求める問題です。平均値は公式を利用して求めます。
データの平均値
公式に値を代入して平均値を求めます。
問1(1)の解答例
データの値の総和を求めるとき、すべての値を足しましたが、度数分布表を利用すると負担を減らせます。
度数分布表に冊数と度数の積を追記すると、値の総和を求めやすくなります。
問1(1)の別解例
データの分析の単元では、図表を上手に利用しましょう。
問1(2)の解答・解説
問1(2)は、中央値を求める問題です。データを値の大きさの順に並べ替える必要がありますが、すでに度数分布表があるので、それを利用します。
データの大きさは12なので偶数です。ですから、6番目と7番目の値の平均値が中央値になります。
中央値を求めるとき、度数分布表に累積度数を追記しておくと求めやすくなります。
累積度数は、その名の通り、度数を累積したもので、データの値の小さい方から順に度数を足し算して求めます。累積度数の最後は必ず度数の合計と等しくなります。
度数分布表に累積度数を追記する
2冊までの累積度数が6で、3冊までの累積度数が8です。このことから6番目のデータは2、7番目のデータは3であることが分かります。中央の2つの値が分かったので、中央値を求めます。
問1(2)の解答例
問1(3)の解答・解説
問1(3)は、最頻値を求める問題です。度数分布表を利用すると、度数の大きい冊数が分かります。
問1(3)の解答例
度数分布表はデータを整理した表ですが、上手に利用できなければまとめた意味がありません。表の上手な使い方を自分なりにマスターしておきましょう。
同じ値が出てくるデータでは、度数分布表を上手に利用しよう。
次の問題を解いてみましょう。
問2
問2の解答・解説
問2も、データの代表値である平均値や中央値を求める問題ですが、少し難しく感じるかもしれません。特に、問2(2)のように思考力を必要とする問題は、出題されやすく、差が付きやすいので、しっかり解けるようにしておきましょう。
問2(1)の解答・解説
問2(1)は、平均値を扱った問題なので、公式を利用すれば解けそうだと予想できます。公式を利用すると、xについての方程式を導出することができます。
問2(1)の解答例
文字の値を求める問題では、公式や条件から求める文字についての方程式を導出しましょう。
問2(2)の解答・解説
問2(2)は、中央値を扱った問題です。データの大きさが6で偶数なので、中央の2つの自然数が中央値となります。中央の2つの自然数は、小さい方から数えて3番目と4番目の自然数です。
ここで注意したいのは、中央の2つの自然数がxの値によって変わることです。xの値を具体的に考えて、3番目と4番目の自然数が何になるのかを調べてみましょう。
中央値を調べる
調べた結果、中央の2つの自然数にxが含まれる場合とそうでない場合とがあることが分かります。整理すると以下のようになります。
- x=1,2,3のとき、中央の2つはともに3(x以外の自然数)
- x=4,5のとき、中央の2つは3とx
- x=6,7,…… のとき、中央の2つは3と6(x以外の自然数)
これをもとにxの値について場合分けして、中央値が4となるxの値を求めます。
問2(2)の解答例
問2(2)のような問題は、解ける人と解けない人がはっきりするので、入試でも出題されやすい問題です。
最初から上手く解こうと考えずに、具体的な数値を使って調べることから始めましょう。解くきっかけさえ得られれば、それほど難しくありません。
具体的な数値を使って規則性を調べよう。抽象的でイメージが湧かないときは、具体化して考えよう。
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データの分析を扱った問題は、測定値や観測値が多いと手際よく表やグラフを使って整理していく必要があります。また、表やグラフの目の付け所も知っておかなければなりません。こればかりは頭で分かっていても、実際に整理したり、表やグラフを扱ったりしたことがないと手際よくできません。
ただ、データを手早く扱うコツや表やグラフから読み取るコツを掴んでしまえば、得点源にできる単元です。単元別の問題集で集中的に取り組んでマスターしましょう。
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確率編の方が先です。
さいごにもう一度まとめ
- データの代表値を求めることができるようにしておこう。
- 中央値はデータの大きさによって求め方が異なることに注意しよう。
- 同じ値があるときは度数分布表を上手に利用しよう。
- 具体的な数値を代入してみて、規則性を調べよう。