数と式|整式について

ここでは、整式について学習します。整式は数学1の最初の単元で学習します。
整式はつねに関わる式なので、しっかりと理解しておきましょう。定義をはじめ、分類や扱い方なども合わせて覚えましょう。
整式
整式とは、単項式や多項式で表される式のことです。数学で扱う式全般をまとめて指します。
中学では、文字を含むので文字式と呼んでいたかもしれません。文字式の方が慣れているかもしれませんが、「整式」という用語を積極的に使って慣れましょう。
整式は2種類に分類されます。
- 単項式
- 多項式
単項式
単項式とは、数や文字が積の形で表される式のことです。単項式の一例は以下の通りです。
単項式の一例
これらは、数や文字が積の形で表されるのが特徴です。ただし、文字を含まない定数も単項式に含まれるので注意しましょう。
単項式かどうかは、乗算の計算記号を省略する前の式に戻せば判断できます。乗算の計算記号を省略する表記ルールは、中学時に学習済みです。
先ほどの例で乗算の計算記号を補うと以下の通りです。
単項式は数や文字が積の形で表される式
このような単項式は、名前の通り、1つ(単)のかたまり(項)として扱われます。ですから、単項式のことを整式の部品と捉えると、多項式のことを理解しやすくなるでしょう。
多項式
多項式とは、複数の単項式の和で表される式のことです。多項式の一例は以下の通りです。
多項式の一例
多項式の見分け方は簡単です。「文字と文字の間に+(プラス)や-(マイナス)の記号があるかどうか」です。一見してすぐに分かります。
多項式の-(マイナス)は減算か?
多項式の定義によれば「複数の単項式の和」となっています。「和」ですから加算(足し算)をイメージします。
しかし、式の中に-(マイナス)の記号が含まれることもあります。こんなとき、どう解釈すれば良いか分からない人もいるかもしれません。これは以下のような解釈をします。
多項式は複数の単項式の和で表される式
中学で学習した、正負の数の加減算を思い出しましょう。
正負の数の加減算でのカッコ外し
正負の数の加減算では、単項式の減算が混じっていたとしても、単項式の加算(①式)に統一してからカッコを外します。ですから、②式であっても、減算が混じっているのではなく、加算だけの式と解釈します。
カッコを外す前の①式と、カッコを外した後の②式とをよく見比べてみましょう。②式では、加算の計算記号やカッコが省略されて、先頭の単項式やカッコ内にあった単項式が順に並んでいます。
多項式は、単項式を順に並べた②式の形をしています。-(マイナス)の記号があったとしても、①式の形から②式の形になった、と解釈しなければなりません。
このことを知らないことが勘違いの原因かもしれません。「加算だけ」という前提で、加算の計算記号やカッコを省略していることは、これから整式を扱っていく上で絶対に覚えておくべきことです。この前提があるから、交換法則や結合法則を利用することもできます。
多項式の見た目は、単項式をただ並べただけ
なお、正負の数の学習以降では、「-」のことを「引く」と言わずに「マイナス」と言うのが一般的です。式の「-」を見るたびに減算と捉えてしまうのは、「-」を「引く」と呼ぶ癖が抜けないからかもしれません。プラスやマイナスといった呼び方に早く慣れましょう。
数学1と数学Aは中学数学と高校数学をつなぐ分野
整式の定義に単項式や多項式などの用語が出てきました。これから分かるように、この単元は中学数学と高校数学をつなぐ単元になります。
この単元だけに限らず、数学1や数学Aは、基本的に中学数学から高校数学への橋渡しになる分野です。いきなり高校数学を学習するには無理があるからです。
ですから、数学1や数学Aでは、中学で扱った題材をより詳しく学習していくのが中心です。そして、数学2や数学Bでは、より高度な内容、つまり高校数学を学習します。数学2や数学Bが高校数学の本番です。
数学1の内容が、いくら中学数学の延長であっても、学習していくうちに躓いたり、理解に苦しんだりする箇所が必ず出てきます。そんなときは、中学数学の教科書を開いてみましょう。中学時の学習内容への理解が足りないことが意外と多いです。中学で学習した内容を確認しながら進めていきましょう。
さいごにもう一度まとめ
- 整式とは、単項式や多項式で表される式で、単項式や多項式の総称。
- 単項式とは、数や文字が積の形で表される式。
- 多項式とは、複数の単項式の和の形で表される式。
- 多項式は、単項式の和であるが、単項式だけを順に並べた式。
- 整式を扱うときは、つねに和と積を意識しよう。