数と式|整式の因数分解に関する問題を解いてみよう

整式の因数分解を扱った問題を解いてみましょう。問題を解くことでどこが理解できていないかが分かるので、ある程度学習したら、どんどん演習しましょう。
基礎レベルから応用レベルまでたくさん演習をこなして計算力を付けておきましょう。
式を見て解き方を判断できるレベルを目指そう
教科書を熟読したり、問題をたくさん解いたりしていくと、学習したことの意味や相互関係が徐々に分かってきます。そこまで演習をこなせば、式を見ただけで方針が立つようになります。
展開や因数分解は数学Iの最初の単元で登場しますが、この後に学習する色んな単元で関わってきます。式を扱うときの基本的な知識になるので、誰よりも演習をこなして自信を付けておきましょう。
参考
数と式|整式について
参考
数と式|整式の展開と乗法公式について
参考
数と式|整式の因数分解について
整式の因数分解に関する演習問題
第1問の解答・解説
1.\quad 2ax-6ay
\end{equation*}
式をよく観察すると、以下のことが分かります。
- $2ax$ と $-6ay$ の2項からなる多項式。
- 2次の項がない。
- 同じ文字 $a$ がある。
同じ文字、つまり共通因数 $a$ があるので、分配法則の逆で因数分解すれば良いことが分かります。
なお、数が共通因数になるときは注意が必要です。本問では、$6=2 \times 3$ と因数分解できるので、$2$ と $6$ は共通因数 $2$ をもちます。つまり、与式は $2a$ を共通因数をもつので、$a$ でなく $2a$ でくくって因数分解しなければなりません。
共通因数 $2a$ でくくった後のカッコ内では、共通因数もなく乗法公式にも当てはまらないので因数分解できません。これで与式の因数分解は終了です。解答例は以下のようになります。
第2問の解答・解説
2.\quad { x }^{ 2 }-8x+16
\end{equation*}
式をよく観察すると、以下のことが分かります。
- ${ x }^{ 2 } \ , \ -8x \ , \ +16$ の3項からなる多項式。
- 文字 $x$ についての2次式。
- 2次の項の係数は $1$。
- 共通因数は見当たらない。
与式を見た時点で気づくと思いますが、本問は中学の因数分解に出てくる問題です。文字 $x$ についての1次式どうしの積で表される乗法公式があったので、それを利用して因数分解します。
定数項 $+16$ (積)の因数の組み合わせを考え、その組み合わせが正しいかを1次の項 $-8x$ の係数 $-8$ (和)で確かめます。積が $+16$ で和が $-8$ になる数の組み合わせは、$-4$ と $-4$ です。
第3問の解答・解説
3.\quad { x }^{ 2 }+8x+15
\end{equation*}
式をよく観察すると、以下のことが分かります。
- ${ x }^{ 2 } \ , \ +8x \ , \ +15$ の3項からなる多項式。
- 文字 $x$ についての2次式。
- 2次の項の係数は $1$。
- 共通因数は見当たらない。
与式は第2問と同じ形の式です。ですから、第2問と同じ流れで因数分解します。なお、別解では、たすき掛けを利用して因数分解しています。
第4問の解答・解説
4.\quad 3{ x }^{ 2 }+5x-2
\end{equation*}
式をよく観察すると、以下のことが分かります。
- $3{ x }^{ 2 } \ , \ +5x \ , \ -2$ の3項からなる多項式。
- 文字 $x$ についての2次式。
- 2次の項の係数は $3$。
- 共通因数は見当たらない。
このような多項式であれば、たすき掛けによる因数分解です。基本的に3項からなる2次式であれば、たすき掛けによる因数分解を考えましょう。
たすき掛けによる因数分解は、2次の項の係数と定数項のそれぞれで因数を考えるのがポイントです。定数項の方は、1次の項を参考にしながら符号も考慮に入れます。
因数の組み合わせが複数組ある場合、思いつく組み合わせから順にたすき掛けをします。1次の項の係数と比較して同じになれば、正しい因数の組み合わせです。解答例は以下のようになります。
なお、図解の方で解説していますが、展開と因数分解の関係がよく分かってくると、たすき掛けなしで因数分解できるようになります。コツを掴んでしまえば暗算でできるようになるので、ぜひ、挑戦してみましょう。
第5問の解答・解説
5.\quad { \left( x+y \right) }^{ 2 }+4\left( x+y \right) +3
\end{equation*}
式をよく観察すると、以下のことが分かります。
- ${ \left( x+y \right) }^{ 2 } \ , \ +4\left( x+y \right) \ , \ +3$ の3項からなる多項式。
- 1,2番目の項に共通の多項式 $x+y$ がある。
- 多項式 $x+y$ を1つのかたまりと考えると、$x+y$ についての2次式になる。
本問は、多項式 $x+y$ を1つのかたまり(1つの文字)と捉えられるかがポイントです。多項式 $x+y$ を1つの文字に置き換えてみると、与式が全く違った式に見えてきます。
たとえば文字 $X$ に置き換えてみると、文字 $X$ についての2次式になります。この形であれば、第2,3問と同じようにして因数分解できます。
因数分解した後、もとの多項式 $x+y$ に戻すのを忘れないようにしましょう。少し工夫の必要な因数分解でした。解答例は以下のようになります。
与式に使われている文字で、因数分解の方針が分かるかも
演習をこなしていくと、与式の形はもちろんですが、与式で使われている文字でも、因数分解の方針をある程度予測できるようになってきます。
たとえば文字 $x \ , \ y$ を使っていれば、ほとんどが乗法公式による因数分解か、たすき掛けによる因数分解のどちらかです。また、文字 $a \ , \ b \ , \ c$ を使っていれば、ほとんどが分配法則の逆による因数分解(輪環の順に整理するタイプ)です。
絶対ではありませんが、使っている文字に注目しながら演習してみてみると、ここで言ってることがそれほど外れていないことが分かると思います。
さいごに、もう一度まとめ
- 因数分解のパターンは、分配法則の逆による因数分解と、乗法公式による因数分解の2パターン。
- 分配法則の逆による因数分解では、共通因数を見つける。
- 乗法公式を利用した因数分解では、どの乗法公式に当てはまるかを考える。
- 3項からなる2次式であれば、基本的にたすき掛けを利用した因数分解。