数と式|整式の言い方や表し方について

数学1

整式の呼び名や表し方をはじめから学びなおす

今回は、整式についてもう少し掘り下げます。

整式は特定の情報に着目すると、その言い方や表し方が変わってしまいます。ですから、着目の仕方によって他人よりも多くの情報を得ることができます。

整式の言い方は着目するもので異なる

整式は何に着目するかで、その言い方が異なります。

たとえば、に着目した場合、整式は単項式多項式などと言われます。また、整式の次数に着目した場合、単項式や多項式の区別なく「~次式」と言います。

同じ整式であっても、着目するものが変われば言い方も変わるので注意しましょう。

整式の次数や文字に着目

2つの単項式を考えます。

単項式の一例

\begin{align} &\frac{1}{5} a \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &5xy^{2} \quad \cdots \text{②} \end{align}

単項式は数や文字の積だけで表され、単項式を1つのかたまりとして扱います。

次数に注目したときの分かること・分からないこと

次数は、掛け合わされた文字の個数です。例に挙げた単項式(①,②式)の次数を調べると、以下の通りです。

単項式の次数

\begin{align} &\frac{1}{5} a \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &5xy^{2} \quad \cdots \text{②} \end{align}

①式の次数… $1$

②式の次数… $3$

次数に着目した場合、①式を1次式、②式を3次式と言います。

整式を実際に見なければ、文字が何種類あるのか不明です。また、単項式か多項式かの区別もつきません。「~次式」という言い方では次数に関する情報しか得られません。

次数に着目するとき、注意したいのは複数の文字を含む単項式や項があるときです。

複数の文字を含む単項式や項

\begin{align} &5xy^{2} \\[ 7pt ] = \ &5 \times x \times y \times y \end{align}

例に挙げた3次式には、3個の文字(xが1個とyが2個)があります。これらが掛け合わされて単項式ができています。

ただ単に次数だけを知りたいのであれば、3次式と言うだけで足ります。しかし、3個の文字が同じ種類なのか異なる種類なのかまでは分かりません。

つまり「~次式」という名称では、文字の種類までは判別できません

「~次式」の言い方で分かること・分からないこと

  • 文字の個数が分かる。多項式なら最高次数の項の文字の個数が分かる。
  • 文字が何種類あるのか分からない。
  • 多項式なら項の個数は分からない。

特定の文字に着目したときの分かること・分からないこと

そこで、特定の文字に着目した言い方があります。この言い方であれば、整式のより詳しい情報を知ることができます。

特定の文字に着目する

\begin{align} 5xy^{2} \quad \cdots \text{②} \end{align}

について、$x$ に着目すると

\begin{align} 5xy^{2}=5y^{2} \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} } \end{align}

より、②式を $x$ についての $1$ 次式と言う。

また、$y$ に着目すると

\begin{align} 5x \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{y^{2}}}} } \end{align}

より、②式を $y$ についての $2$ 次式と言う。

文字xに着目した場合、文字xは1個なので、この整式を「xについての1次式」と言います。それに対して、文字yに着目した場合、文字yは2個なので、この整式を「yについての2次式」と言います。

同じ3次式を見ていたはずですが、特定の文字に注目すると、整式の言い表し方が変わってしまいます。

単項式か多項式かを知ることはできませんが、注目した文字の個数を知ることができます

特定の文字に注目した言い表し方の分かること・分からないこと

  • 特定の文字の個数が分かる。多項式なら特定の文字の最高次数が分かる。
  • 文字が何種類あるかは分からない。
  • 多項式なら項の個数は分からない。

特定の文字に注目したことが分かるように、「xについての」や「yについての」という文言を忘れない。

着目しない文字の扱い

特定の文字に着目する場合、着目しない文字の扱いに注意する必要があります。この場合、着目しない文字を数と同じように扱います

たとえば、文字xについて着目していれば、yは数と同じ扱いをします。

このときに何が変わるかというと、係数が変わってきます。

特定の文字に着目すると、他の文字は数扱い

$5xy^{2}$ を $x$ についての整式と考えると

\begin{align} 5 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} } y^{2} = 5y^{2} \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} } \end{align}

より、係数は $5y^{2}$

また、$5xy^{2}$ を $y$ についての整式と考えると

\begin{align} 5x \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{y^{2}}}} } \end{align}

より、係数は $5x$

文字xに着目した場合、文字yを数と同じように扱います。このとき、着目した文字xを項の一番後ろに配置すると、係数である5y2が分かりやすくなります。

また、文字yに着目した場合、文字xを数と同じように扱います。このときの係数は5xです。

特定の文字に着目するメリットは、式の扱いやすさです。このことは、のちに学習する整式の展開や因数分解のときに分かります。

特定の文字に着目する場合、着目しない文字は係数の一部になる。慣れないうちは間違えやすいので、注目する文字に下線を引くなどして区別しよう。ミスを減らせる。

多項式のときは慎重に

整式が多項式のとき、単項式よりも慎重に扱う必要があります。たとえば、以下の整式を考えます。

多項式の一例

\begin{align} 4x^{2}+2xy-5x+3 \end{align}

この多項式には、文字を含む項が3つ、定数項が1つあります。最高次数は1,2番目の項の次数で、それぞれ2です。ですから、この整式は2次式です。

しかし、2次式と言われただけでは文字が2個あるのは分かっても、文字の種類や項の数までは分かりません。

多項式で特定の文字に着目する

この多項式でも特定の文字に着目して考えてみます。単項式のときよりも利点が分かるかもしれません。

文字xに着目した場合

文字xについて着目して、整式を整理します。

文字xに着目する

\begin{align} 4x^{2}+2xy-5x+3 \end{align}

を $x$ についての多項式と考えると

\begin{align} &4\textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x^{2}}}} }+2 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }y-5 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }+3 \\[ 7pt ] = \ &4\textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x^{2}}}} }+2y \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }-5 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }+3 \end{align}

1番目の項に文字xが2個あるので、この項の次数が最高次数です。与式はxについての2次式です。

他にx以外の文字があったとしても、多項式の最高次数の項にxが2個あることは確実です。

2番目の項には文字yが含まれますが、この項でもxだけが文字扱いで、yは数扱いです。xに着目したので、この項の係数は2yで、次数は1になります。

3番目の項も次数が1です。ですから、xに着目したとき、2番目と3番目の項は同類項になります。同類項であれば、1つの項にまとめることができます。

文字xに着目して同類項をまとめる

\begin{align} &4\textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x^{2}}}} }+2 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }y-5 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }+3 \\[ 7pt ] = \ &4\textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x^{2}}}} }+2y \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }-5 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }+3 \end{align}

$x$ に着目したとき、同類項があるので整理すると

\begin{align} &4\textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x^{2}}}} }+2 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }y-5 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }+3 \\[ 7pt ] = \ &4\textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x^{2}}}} }+2y \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }-5 \textcolor{red}{ \underline{{\textcolor{black}{x}}} }+3 \\[ 7pt ] = \ &4x^{2}+\left(2y-5 \right)x+3 \end{align}

同類項を1つの項にまとめるには分配法則の逆を利用します。展開ではなく、共通因数でくくります。

同類項を整理すると、項が4つから3つに減ります。おかげでもとの式よりもすっきり見えます。

特定の文字に着目すると項の数を減らせる

\begin{align} 4x^{2}+2xy-5x+3 \end{align}

与式を $x$ についての整式と考えると

\begin{align} &4x^{2}+2xy-5x+3 \\[ 7pt ] = \ &4x^{2}+\left(2y-5 \right) x+3 \end{align}

このとき、項の数は

\begin{align} 4x^{2} \ / \ +\left(2y-5 \right) x \ / \ +3 \end{align}

より、$3$ 個

多項式を扱うとき、項の数が少ないのは歓迎すべきことです。

また、注目した文字について降べきの順に並べると、多項式を見やすくなります。式の判読性が上がれば、扱いやすさも格段に変わります。

多項式において特定の文字に着目する利点

  • 特定の文字について、整理する(降べきの順に並べる)ことができる。
  • 同類項があれば、項の数を減らせる。

整式の表し方

今後、複数の種類の文字を含む整式を扱うことが多くなります。

その際に、特定の文字に着目し、同類項をまとめたり、降べきの順に並べたりして整式を整理します。少しでも扱いやすくするためです。

降べきの順に並べるのは、特定の文字に着目しなくても行うのが一般的。暗黙のルールなので習慣にしておこう。

ここで学習した内容は、高校数学では特に指示がなくても行います。教科書や参考書などでもこのような記載が一般的です。

特に、これから学習する展開や因数分解の単元では必修なので、ここでマスターしておくとスムーズに取り組めるでしょう。整式、特に多項式を見たら、とにかく特定の文字に着目して式を整理しましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 同じ整式でも言い表し方が変わる場合があるので注意しよう。
  • 着目する文字によって、次数や係数が異なる。
  • 着目しない文字は数と同じ扱いになり、係数の一部となる。
  • 特定の文字に着目すると、同類項が存在する場合がある。
  • 特定の文字に着目すると、項の数を減らせる場合がある。
  • 多項式では、降べきの順に並べる習慣をつけよう。