図形と計量|三角比の相互関係について その2

05/20/2017数学1三角比,三角比の相互関係,鈍角,鋭角,図形と計量

三角比の相互関係についてその2

鋭角と鈍角に対する三角比の相互関係について

2つの角の差が90度のとき

2つの角の差が $90^{\circ}$ のときを考えてみましょう。このとき、一方が鋭角になれば、他方は鈍角になります。鈍角に対する三角比を扱うので、座標平面で考えます。

参考 図形と計量|三角比の拡張について

2つの角の差が90度のときの相互関係

一般に、2つの角について以下のようなことが言えます。

2つの角の差が $90^{\circ}$ のとき
一方の角の大きさを $\theta$ とすると、
他方の角の大きさは $(90^{\circ}+\theta)$ と表せる。

鋭角の大きさをθとすると、2つの角の差から鈍角の大きさは(90+θ)と表せます。このとき、鈍角を表す図から分かるように、$y$ 軸の正の部分と動径のなす角の大きさはθです。

また、鋭角のとき、動径と円周との交点Pの座標を $(x \ , \ y)$ とすると、鈍角のとき、動径と円周との交点Qの座標は、合同な直角三角形(向きに注意)を上手く利用すると $(-y \ , \ x)$ になります。

この座標と半径を利用してそれぞれの角に対する三角比を求めます。座標を利用して三角比を求めるので、符号に注意しましょう。

鋭角に対する三角比
半径 $r$、点P $(x \ , \ y)$ より、
\begin{align*}
&\sin \theta = \frac{y}{r} \\[ 10pt ]
&\cos \theta = \frac{x}{r} \\[ 10pt ]
&\tan \theta = \frac{y}{x}
\end{align*}
鈍角に対する三角比
半径 $r$、点Q $(-y \ , \ x)$ より、
\begin{align*}
&\sin \left( 90 + \theta \right) = \frac{x}{r} \\[ 10pt ]
&\cos \left( 90 + \theta \right) = – \frac{y}{r} \\[ 10pt ]
&\tan \left( 90 + \theta \right) = – \frac{x}{y}
\end{align*}

それぞれの三角比の右辺を見比べると、鋭角と鈍角に対する三角比の相互関係を式で表せます。

鋭角と鈍角に対する三角比の相互関係
\begin{align*}
&\sin \left( 90 + \theta \right) = \cos \theta \\[ 10pt ]
&\cos \left( 90 + \theta \right) = -\sin \theta \\[ 10pt ]
&\tan \left( 90 + \theta \right) = -\frac{1}{\tan \theta}
\end{align*}

2つの角の差が $90^{\circ}$ のとき、鈍角に対する三角比を、鋭角に対する三角比で表した式が相互関係を表す式です。これまでをまとめると以下のようになります。

2つの角の差が90度になるときの相互関係

この相互関係から、2つの角の差が $90^{\circ}$ のとき、$90^{\circ}$ を超える鈍角を使わず、鋭角に対する三角比を求めれば良いことが分かります。

2つの角の和が180度のとき

2つの角の和が $180^{\circ}$ のときを考えてみましょう。このとき、一方が鋭角であれば、他方は鈍角になります。鈍角に対する三角比を扱うので、先ほどと同じように座標平面で考えます。

2つの角の和が180度のとき

一般に、2つの角について以下のようなことが言えます。

2つの角の和が $180^{\circ}$ のとき
一方の角の大きさを $\theta$ とすると、
他方の角の大きさは $(180^{\circ} – \theta)$ と表せる。

鋭角の大きさをθとすると、2つの角の和から鈍角の大きさは(180-θ)と表せます。このとき、鈍角を表す図から分かるように、$x$ 軸の負の部分と動径のなす角の大きさはθです。

また、鋭角のとき、動径と円周との交点Pの座標を $(x \ , \ y)$ とすると、鈍角のとき、動径と円周との交点Qの座標は、合同な直角三角形を上手く利用すると $(-x \ , \ y)$ です。

この座標と半径を利用してそれぞれの角に対する三角比を求めます。座標を利用して三角比を求めるので、符号に注意しましょう。

鋭角に対する三角比
半径 $r$、点P $(x \ , \ y)$ より、
\begin{align*}
&\sin \theta = \frac{y}{r} \\[ 10pt ]
&\cos \theta = \frac{x}{r} \\[ 10pt ]
&\tan \theta = \frac{y}{x}
\end{align*}
鈍角に対する三角比
半径 $r$、点Q $(-x \ , \ y)$ より、
\begin{align*}
&\sin \left( 180 – \theta \right) = \frac{y}{r} \\[ 10pt ]
&\cos \left( 180 – \theta \right) = – \frac{x}{r} \\[ 10pt ]
&\tan \left( 180 – \theta \right) = – \frac{y}{x}
\end{align*}

それぞれの三角比の右辺を見比べると、鋭角と鈍角に対する三角比の相互関係を式で表せます。

鋭角と鈍角に対する三角比の相互関係
\begin{align*}
&\sin \left( 180 – \theta \right) = \sin \theta \\[ 10pt ]
&\cos \left( 180 – \theta \right) = -\cos \theta \\[ 10pt ]
&\tan \left( 180 – \theta \right) = -\tan \theta
\end{align*}

2つの角の和が $180^{\circ}$ のとき、鈍角に対する三角比を、鋭角に対する三角比で表した式が相互関係を表す式です。これまでをまとめると以下のようになります。

2つの角の和が180度のときの相互関係

2つの角の差が $90^{\circ}$ のときと間違えやすいので作図することをお勧めします。作図すれば間違うことはないでしょう。

三角比の相互関係を利用して鋭角に対する三角比に置き換えるのがポイント

2つの角について3つの場合について考えました。「2つの角の和が90度」「2つの角の差が90度」「2つの角の差が180度」などと条件はありますが、鈍角に対する三角比は、鋭角に対する三角比に置き換えて表すことができることが分かりました。

なぜこのようなことが必要かと言うと、三角比の拡張で学習したように、鈍角に対する三角比を求めると言っても、実際には鋭角に対する三角比を利用しているからです。

ですから、どの鋭角に対する三角比を利用したのかを、式でしっかり記述できた方が便利です。未知の角について考えることもあるでしょうから、記述できることは大切です。

相互関係を表す式がたくさんあって覚えるのが大変だと思う人がいるかもしれません。しかしこれらの式は、作図さえできれば導出するのは意外と簡単です。

暗記することに一生懸命になるよりも、作図して図形的な関係を理解して導出できる方が格段に良いです。実際に手を動かして導出することをお勧めします。

作図する際のポイントは、もとにする直角三角形(鋭角θ)が、鈍角(90+θや180-θなど)ではどの向きに配置されるかを把握することです。把握できれば、合同な直角三角形なので点の座標も分かります。

3つの場合を一覧にまとめると以下のようになります。どのような直角三角形ができているのかを把握しましょう。

鋭角と鈍角の相互関係の一覧

この後の単元では、三角比を使った方程式や不等式が出てきます。そのときに作図が必要になるので、今のうちに慣れておきましょう。

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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう

  • 鈍角に対する三角比は、鋭角に対する三角比で表すことができる。
  • 鋭角と鈍角に対する三角比の相互関係は、三角比の拡張を利用して導出できる。