式と証明|3次式の展開について

数学2

数学2 式と証明

3次式の展開を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

\begin{align*} &\text{次の式を展開せよ。} \\[ 5pt ] &(1) \quad (x-2)^{\scriptsize{3}} \\[ 7pt ] &(2) \quad (a+3b)^{\scriptsize{3}} \\[ 7pt ] &(3) \quad (x+1)(x^{\scriptsize{2}} -x +1) \end{align*}

最初のうちは公式を見ながらで良いので、対応関係を考えながら公式を使ってみましょう。

問(1)の解答・解説

問(1)

\begin{align*} &\text{次の式を展開せよ。} \\[ 5pt ] &\quad (x-2)^{\scriptsize{3}} \end{align*}

公式を使うときのコツは、式の形に注目することです。与式をよく観察しましょう。問(1)であれば、乗法公式の②式(差の立方)と同じ形です。

それぞれの式で使われる文字が異なるので、与式との対応関係を確認します。

問(1)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad (a \ – b)^{\scriptsize{3}} = a^{\scriptsize{3}} -3a^{\scriptsize{2}}b +3ab^{\scriptsize{2}} -b^{\scriptsize{3}} \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\text{②式の左辺と与式 $(x-2)^{\scriptsize{3}}$ を比べる。} \\[ 5pt ] &\text{$2$ 式から、$a$ を $x$、$b$ を $2$ に置き換えれば良い。} \end{align*}

対応関係が分かったら、公式のaをxに、bを2に置き換え、各項を整理します。

問(1)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad (a \ – b)^{\scriptsize{3}} = a^{\scriptsize{3}} -3a^{\scriptsize{2}}b +3ab^{\scriptsize{2}} -b^{\scriptsize{3}} \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\text{よって、②式に} \\[ 5pt ] &\quad a=x \ , \ b=2 \\[ 7pt ] &\text{を代入すると} \end{align*} \begin{align*} \quad (x-2)^{\scriptsize{3}} &= x^{\scriptsize{3}} -3x^{\scriptsize{2}} \cdot 2 +3x \cdot 2^{\scriptsize{2}} -2^{\scriptsize{3}} \\[ 7pt ] &= x^{\scriptsize{3}} -6x^{\scriptsize{2}} +12x -8 \\[ 7pt ] \therefore \ (x-2)^{\scriptsize{3}}& = x^{\scriptsize{3}} -6x^{\scriptsize{2}} +12x -8 \end{align*}

ここでは丁寧に記述しましたが、解答例1⃣を記述せずに頭の中で済ませ、与式を展開している過程を記述します。慣れれば暗算できるようになるので、最終的には一行で済むでしょう。

問(1)の解答例(実際の記述)

\begin{align*} \quad (x-2)^{\scriptsize{3}} &= x^{\scriptsize{3}} -3x^{\scriptsize{2}} \cdot 2 +3x \cdot 2^{\scriptsize{2}} -2^{\scriptsize{3}} \\[ 7pt ] &= x^{\scriptsize{3}} -6x^{\scriptsize{2}} +12x -8 \end{align*}

問(2)の解答・解説

問(2)

\begin{align*} &\text{次の式を展開せよ。} \\[ 5pt ] &\quad (a+3b)^{\scriptsize{3}} \end{align*}

問(2)は、乗法公式の①式(和の立方)と同じ形です。公式と与式の対応関係を確認します。

問(2)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad (a \ + b)^{\scriptsize{3}} = a^{\scriptsize{3}} +3a^{\scriptsize{2}}b +3ab^{\scriptsize{2}} +b^{\scriptsize{3}} \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\text{①式の左辺と与式 $(a+3b)^{\scriptsize{3}}$ を比べる。} \\[ 5pt ] &\text{$2$ 式から、$b$ を $3b$ に置き換えれば良い。} \end{align*}

文字は同じですが、係数が異なることに注意しましょう。

対応関係が分かったら、公式のaはそのままで、bを3bに置き換え、各項を整理します。

問(2)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad (a \ + b)^{\scriptsize{3}} = a^{\scriptsize{3}} +3a^{\scriptsize{2}}b +3ab^{\scriptsize{2}} +b^{\scriptsize{3}} \quad \text{…①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\text{よって、①式に} \\[ 5pt ] &\quad b=3b \\[ 7pt ] &\text{を代入すると} \end{align*} \begin{align*} \quad (a+3b)^{\scriptsize{3}} &= a^{\scriptsize{3}} +3a^{\scriptsize{2}} \cdot (3b) +3a \cdot (3b)^{\scriptsize{2}} +(3b)^{\scriptsize{3}} \\[ 7pt ] &= a^{\scriptsize{3}} +9a^{\scriptsize{2}}b +27ab^{\scriptsize{2}} +27b^{\scriptsize{3}} \\[ 7pt ] \therefore \ (a+3b)^{\scriptsize{3}}& = a^{\scriptsize{3}} +9a^{\scriptsize{2}}b +27ab^{\scriptsize{2}} +27b^{\scriptsize{3}} \end{align*}

よく間違えるのが、係数が1以外の数になったときの展開です。文字だけでなく、係数も2乗したり、3乗したりしなければなりません。最初のうちは忘れやすいので気をつけましょう。

問(2)の解答例(実際の記述)

\begin{align*} \quad (a+3b)^{\scriptsize{3}} &= a^{\scriptsize{3}} +3a^{\scriptsize{2}} \cdot (3b) +3a \cdot (3b)^{\scriptsize{2}} +(3b)^{\scriptsize{3}} \\[ 7pt ] &= a^{\scriptsize{3}} +9a^{\scriptsize{2}}b +27ab^{\scriptsize{2}} +27b^{\scriptsize{3}} \end{align*}

問(3)の解答・解説

問(3)

\begin{align*} &\text{次の式を展開せよ。} \\[ 5pt ] &\quad (x+1)(x^{\scriptsize{2}} -x +1) \end{align*}

問(3)は、乗法公式の③式(立方の和)と同じ形です。③,④式に当てはまるかどうかの判断は、慣れるまで難しいかもしれません。何となく似ていると感じたら、公式と照らし合わせてみると良いでしょう。

公式と与式の対応関係を確認します。

問(3)の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad (a + b)(a^{\scriptsize{2}} -ab +b^{\scriptsize{2}} \ ) = a^{\scriptsize{3}} +b^{\scriptsize{3}} \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ] &\text{③式の左辺と与式 $(x+1)(x^{\scriptsize{2}} -x +1)$ を比べる。} \\[ 5pt ] &\text{$2$ 式から、$a$ を $x$、$b$ を $1$ に置き換えれば良い。} \end{align*}

対応関係が分かったら、公式のaをxに、bを1に置き換え、各項を整理します。

問(3)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad (a + b)(a^{\scriptsize{2}} -ab +b^{\scriptsize{2}} \ ) = a^{\scriptsize{3}} +b^{\scriptsize{3}} \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\text{よって、③式に} \\[ 5pt ] &\quad a=x \ , \ b=1 \\[ 7pt ] &\text{を代入すると} \end{align*} \begin{align*} \quad (x+1)(x^{\scriptsize{2}} -x +1) &= x^{\scriptsize{3}} +1^{\scriptsize{3}} \\[ 7pt ] &= x^{\scriptsize{3}} +1 \\[ 7pt ] \therefore \ (x+1)(x^{\scriptsize{2}} -x +1)& = x^{\scriptsize{3}} +1 \end{align*}

実際の記述例です。

問(3)の解答例(実際の記述)

\begin{align*} \quad (x+1)(x^{\scriptsize{2}} -x +1) &= x^{\scriptsize{3}} +1^{\scriptsize{3}} \\[ 7pt ] &= x^{\scriptsize{3}} +1 \end{align*}

ところで、公式③(立方の和)や公式④(立方の差)に慣れるのは、意外と時間が掛かります。公式内の2次式が曲者だからです。

3次式の乗法公式③,④

\begin{align*} &\text{立方の和} \\[ 5pt ] &\quad (a + b)(a^{\scriptsize{2}} -ab +b^{\scriptsize{2}} \ ) = a^{\scriptsize{3}} +b^{\scriptsize{3}} \quad \cdots \text{③} \\[ 7pt ] &\text{立方の差} \\[ 5pt ] &\quad (a \ – b)(a^{\scriptsize{2}} +ab +b^{\scriptsize{2}} \ ) = a^{\scriptsize{3}} -b^{\scriptsize{3}} \quad \cdots \text{④} \\[ 7pt ] &\text{公式③,④は $2$ 次式の乗法公式と勘違いしやすい。} \\[ 5pt ] &\text{$2$ 次式の乗法公式} \\[ 5pt ] &\quad (a + b)^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}} +\underline{2}ab+b^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ] &\quad (a \ – b)^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}} -\underline{2}ab+b^{\scriptsize{2}} \end{align*}

3次式の乗法公式③,④では、2次式の2項目の係数は±1です。2次式の乗法公式に似ているので、係数を2にしてしまいがちです。

公式との対応関係を見抜き、公式にはめて解こう

例題のような簡単な式であれば、暗算するのも容易いでしょう。簡単なので計算過程を省略したくなります。しかし、学習したての頃であればあまりおすすめしません。

学習したての段階で最も意識しておきたいのは、解けることではなく、公式との対応関係を正しく見抜くことです。これが不十分だと、複雑な式になった途端に手が出せなくなり、公式を利用できることにも気づけなくなります。

また、公式はいわゆる型なので、公式にきちんと嵌めて解くことがとても大切です。これができるようになると、公式を使いこなせるようになります。

公式に慣れるためにも与式の上に並べて書きましょう。毎回書いていれば、自然と覚えてしまいます。公式を覚えようと思って覚えるのではなく、公式を使っていくうちに自然と覚えるのが最良です。

初めのうちは過程を省略せず、丁寧に進めていきましょう。少々面倒だと感じるかもしれませんが演習量が適切になると、いつでも過程を省略することができるようになります。

公式との対応関係を正しく見抜こう。また、公式を使うとき、型に嵌めるイメージを持とう。「初めは丁寧に、次は速く、最後は丁寧に速く」を目指そう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 3次式の展開は、乗法公式を利用しよう。
  • 3次式の乗法公式は符号の違いに注意して覚えよう。
  • 係数の累乗に気をつけよう。
  • まずは対応する箇所を置き換えて公式を使ってみよう。