図形と方程式|折れ線の長さの最小について

数学2

図形と方程式 直線

折れ線の長さの最小を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

直線ℓ:$y=\frac{1}{2}x+1$ と $2$ 点 $A(1 \ , \ 4) \ , \ B(5 \ , \ 6)$ がある。

直線ℓ上の点 $P$ で、$AP+PB$ を最小にする点 $P$ の座標を求めよ。

問の解答・解説

例題のときと直線の方程式や点の座標が変わっているだけです。例題と同じ方針で取り組みましょう。

作図は以下の通りです。丁寧に作図すれば、点A’や点Pの位置が大まかに把握できます。

2点A,Bが直線に関して同じ側にあるので、点Aと線対称な点A’をとり、その座標を求めます。

このとき、2直線の垂直条件中点の座標を利用します。

また、直線AA’がx軸と垂直でないことに言及しておきましょう。

折れ線の長さの最小を考える図(問題)
問の作図

問の解答例 1⃣

直線ℓについて

\begin{align*} \quad y=\frac{1}{2}x+1 \ \cdots \text{①} \end{align*}

とする。

また、直線ℓに関して $A$ と対称な点を

\begin{align*} \quad A'(a \ , \ b) \end{align*}

とする。

直線 $AA’$ は $x$ 軸に垂直ではないので

\begin{align*} \quad a \neq 1 \end{align*}

$AA’ \perp$ ℓであるので

\begin{align*} \quad \frac{b-4}{a-1} \cdot \frac{1}{2}=-1 \end{align*}

整理すると

\begin{align*} \quad 2a+b=6 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

線分 $AA’$ の中点が直線ℓ上にあるので

\begin{align*} \quad \frac{b+4}{2}=\frac{1}{2} \cdot \frac{a+1}{2}+1 \end{align*}

整理すると

\begin{align*} \quad a-2b=3 \quad \cdots \text{③} \end{align*}

②,③を解くと

\begin{align*} \quad a=3 \ , \ b=0 \end{align*}

よって、点 $A’$ の座標は

\begin{align*} \quad A’ \ (3 \ , \ 0) \end{align*}

座標の計算結果と図とを見比べてみても問題なさそうです。点A’の座標が分かったので、点Pの位置を決めます。

点A’から点Pを経由して点Bへたどる経路を考えます。この経路が最短となるのは3点A’,P,Bが同じ直線上にあるときです。

このことから、点Pが直線A’B上にあるとき、折れ線の長さが最小となります。

問の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad A’ \ (3 \ , \ 0) \end{align*}

このとき

\begin{align*} \quad AP+PB=A’P+PB \geqq A’B \end{align*}

よって、$3$ 点 $A’ \ , \ P \ , \ B$ が同じ直線上にあるとき、$AP+PB$ は最小になる。

点Pは直線ℓ上にあるだけではなく、線分A’B上にもあります。ですから、点Pは線分A’Bと直線ℓの交点です。

直線A’Bの方程式を求め、交点の座標を求めます。

問の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad y=\frac{1}{2}x+1 \ \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align*}

直線 $A’B$ の方程式は、$2$ 点

\begin{align*} \quad A'(3 \ , \ 0) \ , \ B(5 \ , \ 6) \end{align*}

を通るので

\begin{align*} \quad \left(6-0 \right) \left(x-5 \right)-\left(5-3 \right) \left(y-6 \right)=0 \end{align*}

すなわち

\begin{align*} \quad 6\left(x-5 \right)-2\left(y-6 \right)=0 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad y=3x-9 \quad \cdots \text{④} \end{align*}

直線 $A’B$ と直線ℓの交点を $P_{0}$ とすると、その座標は①を④に代入して

\begin{align*} \quad \frac{1}{2}x+1=3x-9 \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} \quad x=4 \end{align*}

これと④より

\begin{align*} \quad y=3 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad P_{0} \ (4 \ , \ 3) \end{align*}

したがって、$AP+PB$ を最小にする点 $P$ の座標は

\begin{align*} \quad (4 \ , \ 3) \end{align*}

2点を通る直線の方程式には、2通りの表し方があります。できるだけ分数を使わない表し方に慣れておきましょう。

直線の方程式

$2$ 点 $(x_{1} \ , \ y_{1}) \ , \ (x_{2} \ , \ y_{2})$ を通る直線の方程式

\begin{align*} \quad y-y_{1}=\frac{y_{2}-y_{1}}{x_{2}-x_{1}} \left( x-x_{1} \right) \quad \cdots \text{①} \end{align*}

ただし

\begin{align*} \quad x_{2} \neq x_{1} \end{align*}

または

\begin{align*} \quad \left( y_{2}-y_{1} \right) \left( x-x_{1} \right)-\left( x_{2}-x_{1} \right) \left( y-y_{1} \right)=0 \quad \cdots \text{②} \end{align*}

これは

\begin{align*} \quad x_{2}=x_{1} \end{align*}

のときも含む。

②式は、①式と異なり、すべての直線を表せます。優先的に覚えるのであれば、②式にしましょう。

長さの最小を考えるので、折れ線から線分にすることがポイントです。このことが分かっていれば、求めたい点Pの位置はすぐに分かります。

ただし、点Pの座標を求めるには、直線について学習してきたことを適切に使い分ける必要があります。色々な事柄を組み合わせて解くので、1つ1つの事柄をしっかりマスターしておくことが大切です。

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さいごにもう一度まとめ

  • 折れ線の長さは、直線ℓに関して対称な点をとって線分で考えよう。
  • 2点の最短経路は、2点を結んだ線分。
  • 直線に関して対称な点は、2直線の垂直条件と中点の座標を利用しよう。
  • 中点は対称の軸となる直線上にあることを利用しよう。
  • 折れ線の長さが最小となるのは、点Pが2直線の交点となるとき。