複素数と方程式|複素数の相等について

数学2

複素数の相等を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

次の等式または条件を満たす実数 x , y の値を求めよ。

(1)(1+2i)x(2i)y=3(2)(1+i)(x+yi)=13i(3)1+xi3+i が純虚数になる

複素数の相等では、実部と虚部が実数であることが条件です。忘れないようにしましょう。

問(1)の解答・解説

問(1)

次の等式または条件を満たす実数 x , y の値を求めよ。

(1+2i)x(2i)y=3

複素数の実部と虚部を区別できるように、与式の左辺を整理します。

問(1)の解答例 1⃣

(1+2i)x(2i)y=3与えられた等式を変形すると(x2y)+(2x+y)i=3

等式が成り立つのは、両辺の実部と虚部がそれぞれ等しくなるときです。両辺の実部と虚部をそれぞれ比較します。

問(1)の解答例 2⃣

(x2y)+(2x+y)i=3x , y は実数であるので、x2y , 2x+y も実数である。よってx2y=32x+y=0

両辺の実部と虚部の比較では、複素数の相等を利用します。そのためには、実部と虚部がともに実数であることが条件です。x,yは実数であるので、それらの和や差も実数となります。断りを忘れずに記述しましょう。

両辺を比較するときに注意したいのは、右辺には虚数単位がないことです。そのため、右辺には虚部がなく、実部だけがあります。

実部と虚部を比較すると、実数x,yについての方程式を2つ導くことができます。これらを連立して解きます。

問(1)の解答例 3⃣

x2y=32x+y=0これを解くとx=35 , y=65

右辺に虚部がないことに注意する以外、特に難しいところはありません。

問(2)の解答・解説

問(2)

次の等式または条件を満たす実数 x , y の値を求めよ。

(1+i)(x+yi)=13i

複素数の実部と虚部を区別できるように、等式を整理します。左辺を展開して整理する方法でも良いですが、ここでは異なる方法で整理します。

左辺を見ると、求めたい実数x,yは2つ目のカッコ内にすべてあることに気付きます。このことに注目して変形します。

問(2)の解答例 1⃣

(1+i)(x+yi)=13i等式の両辺を 1+i で割るとx+yi=13i1+i

右辺を整理します。分母を実数化します。このとき、共役な複素数を利用しましょう。

問(2)の解答例 2⃣

x+yi=13i1+iここで
13i1+i=(13i)(1i)(1+i)(1i)=1+2i+3i21i2=4+2i2=2+i
よってx+yi=2+i

等式が成り立つのは、両辺の実部と虚部がそれぞれ等しくなるときです。両辺の実部と虚部をそれぞれ比較します。

問(2)の解答例 3⃣

x+yi=2+ix , y は実数であるので、x=2 , y=1

両辺の実部と虚部の比較では、複素数の相等を利用します。そのためには、実部と虚部がともに実数であることが条件です。x,yが実数であることは問題文で与えられています。断りを忘れずに記述しましょう。

基本的な解法は左辺を展開するやり方ですが、やや煩雑になります。例題(2)や問(2)のような解法を知っていると便利です。

問(3)の解答・解説

問(3)

次の等式または条件を満たす実数 x , y の値を求めよ。

1+xi3+i が純虚数になる

複素数の実部と虚部を区別できるように、与式を整理します。

与えられた与式は分数です。その分母は虚部をもつ複素数です。分母を実数化します。

問(3)の解答例 1⃣

与式について
1+xi3+i=(1+xi)(3i)(3+i)(3i)=3+(3x1)ixi29i2=(x+3)+(3x1)i10=x+310+3x110i

与式を整理すると、実部と虚部を区別できるようになります。

次に、与えられた複素数が純虚数になるときの条件を考えます。複素数が純虚数になるのは、実部をもたないときです。ただし、この条件だけでは不十分です。

もう少し正確に言えば、実部が0であり、かつ虚部が0でない複素数が純虚数です。このことを利用して、実数xについての方程式を導きます。

問(3)の解答例 2⃣

=x+310+3x110iここで、x , y は実数であるので、x+310 , 3x110 も実数である。与式が純虚数となるための条件は、x+3=0 かつ 3x10

実部と虚部はそれぞれ分数で表されますが、分数が0となるのは分子が0であるときです。また、虚部の分数は0ではないので、これを満たすのは分子が0でないときです。

実数xについての方程式を2つ導くことができたので、これらを解きます。

問(3)の解答例 3⃣

x+3=0 かつ 3x10x+3=0 よりx=3これは、3x10 を満たす。よってx=3

実部だけでなく、虚部の条件も忘れずに考えることが大切です。

複素数が純虚数 =(実部=0かつ虚部≠0)

実数と虚数についてまとめると以下の通りです。実部や虚部の条件も併せて覚えましょう。

実数と虚数

a , b を実数、i を虚数単位とする。複素数 a+bi={実数 a(b=0)虚数 a+bi(b0)純虚数 bi(a=0 , b0)

問(3)の別解例

複素数の相等を利用すると、別解例のようになります。

問(3)の別解例

b0 である実数を用いて1+xi3+i=biとおく。等式を変形すると1+xi=bi(3+i)より1+xi=3bi+bi21+xi=b+3bix , b は実数であるので1=b , x=3bこれを解くとb=1 , x=3これは b0 を満たす。よってx=3

純虚数という条件から、与えられた複素数は実部をもたず、虚部だけをもつことが分かります。

このことを利用すると、複素数を定義することができるので、等式を導くことができます。あとは複素数の相等を利用して解きます。

複素数の相等を利用するので、実部や虚部が実数であることの断りも忘れずに記述しましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 複素数の相等では、実部と虚部はともに実数である。
  • 複素数が与えられたら、実部と虚部を区別できるように変形しよう。
  • 複素数が実数や純虚数になるときの条件を覚えよう。
  • 複素数が分数で与えられたら、分母の実数化を利用しよう。