複素数と方程式|複素数の相等について
複素数の相等を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
次の等式または条件を満たす実数 $x \ , \ y$ の値を求めよ。
複素数の相等では、実部と虚部が実数であることが条件です。忘れないようにしましょう。
問(1)の解答・解説
問(1)
次の等式または条件を満たす実数 $x \ , \ y$ の値を求めよ。
複素数の実部と虚部を区別できるように、与式の左辺を整理します。
問(1)の解答例 1⃣
等式が成り立つのは、両辺の実部と虚部がそれぞれ等しくなるときです。両辺の実部と虚部をそれぞれ比較します。
問(1)の解答例 2⃣
両辺の実部と虚部の比較では、複素数の相等を利用します。そのためには、実部と虚部がともに実数であることが条件です。x,yは実数であるので、それらの和や差も実数となります。断りを忘れずに記述しましょう。
両辺を比較するときに注意したいのは、右辺には虚数単位がないことです。そのため、右辺には虚部がなく、実部だけがあります。
実部と虚部を比較すると、実数x,yについての方程式を2つ導くことができます。これらを連立して解きます。
問(1)の解答例 3⃣
右辺に虚部がないことに注意する以外、特に難しいところはありません。
問(2)の解答・解説
問(2)
次の等式または条件を満たす実数 $x \ , \ y$ の値を求めよ。
複素数の実部と虚部を区別できるように、等式を整理します。左辺を展開して整理する方法でも良いですが、ここでは異なる方法で整理します。
左辺を見ると、求めたい実数x,yは2つ目のカッコ内にすべてあることに気付きます。このことに注目して変形します。
問(2)の解答例 1⃣
右辺を整理します。分母を実数化します。このとき、共役な複素数を利用しましょう。
問(2)の解答例 2⃣
等式が成り立つのは、両辺の実部と虚部がそれぞれ等しくなるときです。両辺の実部と虚部をそれぞれ比較します。
問(2)の解答例 3⃣
両辺の実部と虚部の比較では、複素数の相等を利用します。そのためには、実部と虚部がともに実数であることが条件です。x,yが実数であることは問題文で与えられています。断りを忘れずに記述しましょう。
基本的な解法は左辺を展開するやり方ですが、やや煩雑になります。例題(2)や問(2)のような解法を知っていると便利です。
問(3)の解答・解説
問(3)
次の等式または条件を満たす実数 $x \ , \ y$ の値を求めよ。
複素数の実部と虚部を区別できるように、与式を整理します。
与えられた与式は分数です。その分母は虚部をもつ複素数です。分母を実数化します。
問(3)の解答例 1⃣
与式を整理すると、実部と虚部を区別できるようになります。
次に、与えられた複素数が純虚数になるときの条件を考えます。複素数が純虚数になるのは、実部をもたないときです。ただし、この条件だけでは不十分です。
もう少し正確に言えば、実部が0であり、かつ虚部が0でない複素数が純虚数です。このことを利用して、実数xについての方程式を導きます。
問(3)の解答例 2⃣
実部と虚部はそれぞれ分数で表されますが、分数が0となるのは分子が0であるときです。また、虚部の分数は0ではないので、これを満たすのは分子が0でないときです。
実数xについての方程式を2つ導くことができたので、これらを解きます。
問(3)の解答例 3⃣
実部だけでなく、虚部の条件も忘れずに考えることが大切です。
複素数が純虚数 =(実部=0かつ虚部≠0)
実数と虚数についてまとめると以下の通りです。実部や虚部の条件も併せて覚えましょう。
実数と虚数
問(3)の別解例
複素数の相等を利用すると、別解例のようになります。
問(3)の別解例
純虚数という条件から、与えられた複素数は実部をもたず、虚部だけをもつことが分かります。
このことを利用すると、複素数を定義することができるので、等式を導くことができます。あとは複素数の相等を利用して解きます。
複素数の相等を利用するので、実部や虚部が実数であることの断りも忘れずに記述しましょう。
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さいごにもう一度まとめ
- 複素数の相等では、実部と虚部はともに実数である。
- 複素数が与えられたら、実部と虚部を区別できるように変形しよう。
- 複素数が実数や純虚数になるときの条件を覚えよう。
- 複素数が分数で与えられたら、分母の実数化を利用しよう。