2次関数|2次方程式の解の判別について
判別式を扱った問題を解いてみよう
判別式を扱った問題では、解の判別に始まり、実数解の個数を調べたり、係数や定数項を求めたり、など多岐にわたります。
まずは基本となる解の判別や実数解の個数に関する問題を解けるようになりましょう。
解を判別してみよう
次の問題を解いてみましょう。判別式の入門レベルです。
問1の解答・解説
2次方程式の解を判別する問題です。係数や定数項をD=b2-4acの右辺に代入し、Dの値を求めます。
問1
次の2次方程式の解を判別せよ。
\begin{align*} 1. \quad 3x^{2}+2x-1=0 \end{align*}与式と判別式の対応関係を把握して、対応する値を判別式に代入します。
問1の解答例
\begin{align*} \quad 3x^{2}+2x-1=0 \end{align*}与式の判別式を $D$ とおくと
\begin{align*} \quad D &=2^{2}-4 \cdot 3 \cdot \left( -1 \right) \\[ 7pt ] &=4+12 \\[ 7pt ] &=16 \gt 0 \end{align*}$D \gt 0$ より、与式は異なる $2$ つの実数解をもつ。
一般に、判別式と言えば文字Dを使いますが、「判別式をDとすると」などと一言断ってからにしましょう。
判別式Dの値が正の数になったのでD>0です。このことから、2次方程式は異なる2つの実数解をもつと言えます。
問1のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問2の解答・解説
問2
次の2次方程式の解を判別せよ。
\begin{align*} 2. \quad 9x^{2}-12x+4=0 \end{align*}問2も同じ要領で解きます。
問2の解答例
\begin{align*} \quad 9x^{2}-12x+4=0 \end{align*}与式の判別式を $D$ とおくと
\begin{align*} \quad D &=\left( -12 \right)^{2}-4 \cdot 9 \cdot 4 \\[ 7pt ] &=144-144 \\[ 7pt ] &= 0 \end{align*}$D = 0$ より、与式は重解をもつ。
判別式Dの値が0になったのでD=0です。このことから、2次方程式は重解をもつと言えます。
問2のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問1,2では、2次方程式から対応する数を抜き出し、四則計算ができれば解ける問題です。「判別式を使ってみよう」という意味合いが強いので、入試レベルではほとんど見かけなくなります。
解の条件から係数や定数項を決めよう
次の問題を解いてみましょう。入試でも見かけるレベルですので、ぜひ解けるようにしておきましょう。
問3の解答・解説
問3は、判別式の条件から解を判別するのではなく、解の条件から係数を決定する問題です。
解の判別ができれば、判別式の値の条件が分かります。互いに等価な条件を理解しているかどうかが問われています。
互いに等価な条件を覚えよう
- (2次方程式の解)=(係数や定数項の関係)
- (異なる2つの実数解をもつ)=(D>0すなわちb2-4ac>0)
- (重解をもつ)=(D=0すなわちb2-4ac=0)
- (実数解をもたない)=(D<0すなわちb2-4ac<0)
2次方程式の解と判別式の値との関係を正しく理解しましょう。
これらを踏まえて、2次方程式が重解をもつときの定数kの値を求めます。
2次方程式が重解をもつためには、判別式b2-4acの値が0でなければ成り立ちません。この関係を利用すると、定数kについての方程式を導出できます。
問3の解答例 1⃣
\begin{align*} \quad x^{2}+kx+4=0 \end{align*}与式の判別式を $D$ とおくと
\begin{align*} \quad D &= k^{2}-4 \cdot 1 \cdot 4 \\[ 7pt ] &= k^{2}-16 \end{align*}与式が重解をもつのは、$D = 0$ のときあるので
\begin{align*} \quad k^{2}-16 =0 \end{align*}これを解くと
\begin{align*} \quad k = \pm 4 \end{align*}定数kの値を求めたいので、定数kについての方程式を導出します。そのために、問題で指定された解の条件を利用します。
判別式b2-4acは、2次方程式の係数や定数項で表されます。このことが分かっていれば、定数kについての方程式を導出できることに気付けたかもしれません。
2次方程式の解を求めるには、係数や定数項が決まっていなければなりません。定数kの値が分かると、2次方程式が決まるので、解を求めることができるようになります。
問3の解答例 2⃣
\begin{align*} \quad k = \pm 4 \end{align*}より、与式は
\begin{align*} \quad x^{2}+4x+4=0 \end{align*}または
\begin{align*} \quad x^{2}-4x+4=0 \end{align*}$k = 4$ のとき
\begin{align*} \quad x^{2}+4x+4 &=0 \\[ 7pt ] \left( x+2 \right)^{2} &= 0 \\[ 7pt ] \therefore x &=-2 \end{align*}$k = -4$ のとき
\begin{align*} \quad x^{2}-4x+4 &=0 \\[ 7pt ] \left( x-2 \right)^{2} &= 0 \\[ 7pt ] \therefore x &=2 \end{align*}よって
$k =4$ のとき、重解は $-2$
$k =-4$ のとき、重解は $2$
2次方程式の解は重解になることが分かっているので、方程式を解くと必ず重解が得られます。計算ミスがないようにしましょう。
問1,2と問3との比較
問1,2と問3とを比較してみましょう。ちょうど逆の関係になっていることが分かります。
問1,2の流れ
2次方程式が決まっている
⇒係数や定数項で表される判別式の値が決まる
⇒解の判別ができる
問3の流れ
解の判別ができる
⇒係数や定数項で表される判別式の値が決まる
⇒2次方程式の係数や定数項が決まる
応用の部類に入る問題は、問3のように逆側からアプローチする問題が多いのが特徴です。
学習する際のコツとしては、対応関係を一方向から眺めるだけでなく、逆方向からも眺めることが必要です。そのような視点を身に付けるのはなかなか難しいので、応用問題を積極的に解くと良いでしょう。
また、過程を疎かにせず、答えまでの流れを意識して学習することも大切です。
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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう
- 判別式は、2次方程式の解を判別するための式。
- 判別式は、解の公式から得られる式。
- 判別式は、2次方程式の係数や定数項によって表される。
- 判別式の値は3通り。
- 判別式の値が正の数のとき、2次方程式は異なる2つの実数解をもつ。
- 判別式の値が $0$ のとき、2次方程式はただ1つの実数解(重解)をもつ。
- 判別式の値が負の数のとき、2次方程式は実数解をもたない。
- 解の条件から、判別式の条件も決まる。