数学2
2点間の距離と三角形の形状を扱った問題を解いてみよう
次の問題を解いてみましょう。
問
\begin{align*}
&\text{$3$ 点 $A(1 \ , \ 1) \ , \ B(2 \ , \ 4) \ , \ C(a \ , \ 0)$ を頂点とする $\triangle {ABC}$ について} \\[ 5pt ]
&(1) \quad \text{$\triangle {ABC}$ が直角三角形となるとき、$a$ の値を求めよ。} \\[ 10pt ]
&(2) \quad \text{$\triangle {ABC}$ が二等辺三角形となるとき、$a$ の値を求めよ。}
\end{align*}
問(1)の解答・解説
問(1)
\begin{align*}
&\text{$3$ 点 $A(1 \ , \ 1) \ , \ B(2 \ , \ 4) \ , \ C(a \ , \ 0)$ を頂点とする $\triangle {ABC}$ について} \\[ 5pt ]
&\text{$\triangle {ABC}$ が直角三角形となるとき、$a$ の値を求めよ。}
\end{align*}
3つの頂点のうち、点Cのx座標が不明です。ただし、点Cのy座標が0なので、点Cはx軸上にあります。
また、△ABCが直角三角形であることが条件です。直角三角形であるための条件は、三平方の定理が成り立つことです。どの内角が直角であるかを考える必要があります。
まずは、3辺の長さを調べます。ただし、三平方の定理のことを考えて、長さを2乗しておきます。
問(1)の解答例 1⃣
\begin{align*}
&\quad A(1 \ , \ 1) \ , \ B(2 \ , \ 4) \ , \ C(a \ , \ 0) \\[ 7pt ]
&\text{$3$ 辺の長さについて} \\[ 5pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{2}}=\left(2-1 \right)^{\scriptsize{2}}+\left(4-1 \right)^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ]
&\quad BC^{\scriptsize{2}}=\left(a-2 \right)^{\scriptsize{2}}+\left(0-4 \right)^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ]
&\quad CA^{\scriptsize{2}}=\left(1-a \right)^{\scriptsize{2}}+\left(1-0 \right)^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{2}} = 10 \\[ 7pt ]
&\quad BC^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \\[ 7pt ]
&\quad CA^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-2a+2
\end{align*}
3つの内角のうち、どれが直角になるかを場合分けして方程式を導きます。まず、∠BAC(∠A)が直角であるときを考えます。
問(1)の解答例 2⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{2}} = 10 \\[ 7pt ]
&\quad BC^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \\[ 7pt ]
&\quad CA^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \\[ 7pt ]
&(i) \ \angle {BAC} \ \text{が直角のとき} \\[ 5pt ]
&\quad CA^{\scriptsize{2}}+AB^{\scriptsize{2}}=BC^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ]
&\text{が成り立つので} \\[ 5pt ]
&\quad \left(a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \right)+10=a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \\[ 7pt ]
&\text{整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad 2a=8 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad a=4
\end{align*}
次に、∠ABC(∠B)が直角であるときを考えます。
問(1)の解答例 3⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{2}} = 10 \\[ 7pt ]
&\quad BC^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \\[ 7pt ]
&\quad CA^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \\[ 7pt ]
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&(ii) \ \angle {ABC} \ \text{が直角のとき} \\[ 5pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{2}}+BC^{\scriptsize{2}}=CA^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ]
&\text{が成り立つので} \\[ 5pt ]
&\quad 10+\left(a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \right)=a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \\[ 7pt ]
&\text{整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad 2a=28 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad a=14
\end{align*}
さいごに、∠ACB(∠C)が直角であるときを考えます。
問(1)の解答例 4⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{2}} = 10 \\[ 7pt ]
&\quad BC^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \\[ 7pt ]
&\quad CA^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \\[ 7pt ]
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&(iii) \ \angle {ACB} \ \text{が直角のとき} \\[ 5pt ]
&\quad BC^{\scriptsize{2}}+CA^{\scriptsize{2}}=AB^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ]
&\text{が成り立つので} \\[ 5pt ]
&\quad \left(a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \right)+\left(a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \right)=10 \\[ 7pt ]
&\text{整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad a^{\scriptsize{2}}-3a+6=0 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ]
&\text{ここで} \\[ 5pt ]
&\quad a^{\scriptsize{2}}-3a+6=\left(a-\frac{3}{2} \right)^{\scriptsize{2}}+\frac{15}{4} \ \gt 0 \\[ 7pt ]
&\text{よって、①を満たす $a$ の値は存在しない。}
\end{align*}
場合分けが終わったので、3つの結果をまとめます。
問(1)の解答例 5⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&(i) \ , \ (ii) \ , \ (iii) \ \text{より} \\[ 5pt ]
&\quad a=4 \ , \ 14
\end{align*}
前もって作図をしていれば、頂点の位置関係が分かるので、考えられる直角三角形は2通りだろうと予想できます。
2次方程式から実数解を得られないときの扱い
解答例4⃣において、2次方程式(①式)を解いても実数解を得ることができません。
望ましいのは、①式を見て実数解が得られないことに気付くことです。いちいち解いてしまうと、二度手間になるからです。2次方程式を見て、因数分解できるかどうか、また、実数解をもつかどうかの判断が素早くできることが大切です。
2次方程式が実数解をもたないことを示すには、2次方程式の値がつねに0より大きくなることを示します。グラフで言えば、下に凸のグラフがx軸よりも上にある状態です。x軸と共有点をもたないので、2次方程式は実数解をもちません。
2次方程式の値が0より大きくなることを示すには、解答例のように平方完成します。実数の2乗が0以上になる性質と、定数項が正の数であることから、2次方程式の値はつねに正となります。判別式の値を求めても良いですが、こちらの方が一般的です。
因数分解できず、定数項が正の数であれば、2次方程式が実数解をもたない可能性を考えよう。暗算で判別式の値を考えても良い。
問(2)の解答・解説
問(2)
\begin{align*}
&\text{$3$ 点 $A(1 \ , \ 1) \ , \ B(2 \ , \ 4) \ , \ C(a \ , \ 0)$ を頂点とする $\triangle {ABC}$ について} \\[ 5pt ]
&\text{$\triangle {ABC}$ が二等辺三角形となるとき、$a$ の値を求めよ。}
\end{align*}
問(1)と異なるのは、△ABCが二等辺三角形になるということです。それ以外は同じ条件です。
3辺のうち2辺の長さが等しくなるので、その組合せを考えると3通りあります。3通りの場合分けで解きます。
3辺の長さは問(1)の結果を利用します。まず、2辺AB,BCの長さが等しいときを考えます。
問(2)の解答例 1⃣
\begin{align*}
&(1) \ \text{より} \\[ 5pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{2}} = 10 \\[ 7pt ]
&\quad BC^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \\[ 7pt ]
&\quad CA^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \\[ 7pt ]
&(i) \ AB=BC \ \text{のとき} \\[ 5pt ]
&\text{$AB^{\scriptsize{2}}=BC^{\scriptsize{2}}$ より} \\[ 5pt ]
&\quad 10=a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad a^{\scriptsize{2}}-4a+10=0 \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ]
&\text{ここで} \\[ 5pt ]
&\quad a^{\scriptsize{2}}-4a+10=\left(a-2 \right)^{\scriptsize{2}}+6 \ \gt 0 \\[ 7pt ]
&\text{よって、②を満たす $a$ の値は存在しない。}
\end{align*}
次に、2辺BC,CAの長さが等しいときを考えます。
問(2)の解答例 2⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{2}} = 10 \\[ 7pt ]
&\quad BC^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \\[ 7pt ]
&\quad CA^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \\[ 7pt ]
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&(ii) \ BC=CA \ \text{のとき} \\[ 5pt ]
&\text{$BC^{\scriptsize{2}}=CA^{\scriptsize{2}}$ より} \\[ 5pt ]
&\quad a^{\scriptsize{2}}-4a+20=a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \\[ 7pt ]
&\text{整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad 2a=18 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad a=9
\end{align*}
さいごに、2辺CA,ABの長さが等しいときを考えます。
問(2)の解答例 3⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{2}} = 10 \\[ 7pt ]
&\quad BC^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-4a+20 \\[ 7pt ]
&\quad CA^{\scriptsize{2}} = a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \\[ 7pt ]
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&(iii) \ CA=AB \ \text{のとき} \\[ 5pt ]
&\text{$CA^{\scriptsize{2}}=AB^{\scriptsize{2}}$ より} \\[ 5pt ]
&\quad a^{\scriptsize{2}}-2a+2=10 \\[ 7pt ]
&\text{整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad \left(a+2 \right)\left(a-4 \right)=0 \\[ 7pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad a=-2 \ , \ 4
\end{align*}
場合分けが終わったので、3つの結果をまとめます。
問(2)の解答例 4⃣
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&(i) \ , \ (ii) \ , \ (iii) \ \text{より} \\[ 5pt ]
&\quad a=-2 \ , \ 4 \ , \ 9
\end{align*}
前もって作図をしていれば、頂点の位置関係が分かるので、考えられる二等辺三角形は3通りだろうと予想できます。
条件によっては複数の解となる場合がありますが、作図をすれば取りこぼしを回避できます。イメージを膨らませて解への道筋を立てることは、問題を解く上で重要です。
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