2次関数|関数について
1次関数の式とグラフ
変数x,yが、y=ax+bという式で表される関係のとき、1次関数の関係にあると言います。
文字a,bは定数です。aのことを「傾き」、bのことを「切片」と言います。なお、1次関数でのaも比例定数と言うことがありますが、傾きと言う方が多いです。
また、1次関数の関係では、変数yは定数項をもちますが、比例と同じく変数xの1次式で表されます。
比例の式は、1次関数においてb=0のときの式になるので、1次関数の具体例の1つと考えることができます。
1次関数の関係にあるとき、グラフの概形や特徴をまとめると以下のようになります。
1次関数のグラフの概形と特徴
- 比例のグラフを上下に平行移動したような直線
- 比例定数aの正負で右上がりか右下がりかが決まる
- a>0のとき、右上がりの直線
- a<0のとき、右下がりの直線
- グラフはy軸と点(0,b)で交わる
1次関数の式では「傾き」や「切片」のように独特の用語がいくつか出てきます。グラフと対応した用語なので、式とグラフを関連付けながら覚えましょう。
変化の割合
変化の割合は、変数xの値が1だけ変化するとき、変数yがどれだけ変化するのかを表す量で、以下のような式で表されます。
1次関数の変化の割合
\begin{align*} \quad \text{変化の割合} = \frac{\text{$y$ の増加量}}{\text{$x$ の増加量}} \end{align*}xの増加量やyの増加量は、2組の変数x,yの値、言い換えると2点の座標を用いて求めます。具体例を挙げると以下の通りです。
変化の割合を求める
$1$ 次関数のグラフが
\begin{align*} \quad (1 \ , \ 2) \ , \ (3 \ , \ 5) \end{align*}を通るときの変化の割合を求める。
\begin{align*} &\begin{array}{c|ccc} x & 1 & \longrightarrow & 3 \\ \hline y & 2 & \longrightarrow & 5 \\ \end{array} \end{align*}$x$ の増加量は
\begin{align*} \quad 3-1=2 \end{align*}$y$ の増加量は
\begin{align*} \quad 5-2=3 \end{align*}よって、変化の割合は
\begin{align*} \quad \frac{5-2}{3-1}=\frac{3}{2} \end{align*}これは $1$ 次関数のグラフの傾きに等しい。
2点の座標は(1,2),(3,5)です。xの値が1から3に変化するとき、yの値は2から5に変化します。このときの増加量から、変化の割合を求めることができます。
このようにして得られる変化の割合は、傾きaの値に等しくなります。
xの増加量やyの増加量のように「増加量」という言葉を用いているが、必ずしも増加するわけではない。増加というよりも「変化」と捉えておこう。
傾き
傾きは、1次関数や比例などの直線のグラフで用いられる用語で、直線がx軸に対してどのくらいの勾配(傾き具合)があるかを表します。
直線のx軸に対する勾配は、xの増加量1に対するyの増加量で表されます。これは変化の割合のことです。ですから、傾きは変化の割合に等しくなります。
なお、1次関数の傾きはつねに一定で変化しません。また、どの2点の座標を用いても変化の割合は一定です。このような関係から、傾きが分かれば変化の割合が分かり、変化の割合が分かれば傾きが分かります。
1次関数のグラフを図示するには、傾きの情報が必要ですが、変化の割合から傾きを求めます。
1次関数では、比例定数a=(変化の割合)=(傾き)の関係がある。変数x,yの値の変化を考えていれば変化の割合、グラフの勾配を考えているときは傾きを指すが、ほとんど区別せずに使っていることが多い。
1次関数の変化の割合と傾きの関係をまとめると以下のようになります。
切片
1次関数の式において、bのことを切片と言います(y切片と言うときもある)。x=0のときのyの値です。
また、グラフでは、切片bはグラフとy軸との交点のy座標を表します。
定数a,bの値は、傾きと切片に対応している。これらを上手に利用してグラフを手早く描くことができる。
1次関数のグラフを描くコツは以下のようになります。
1次関数のグラフを描くコツ
- y軸上に、切片bがy座標となる点を作る。
- 変化の割合aを分数に戻す。整数のときは分母が1の分数で良い。負の数のときは分子にマイナスを移動。
- 1で作った点から、分母(xの増加量)のぶんだけ右に移動し、分子(yの増加量)のぶんだけ上(または下)に移動し、そこに点を作る。上下の移動は分子の符号で決まる。
- 作った2点を通る直線を引く。
直線のグラフを図示するには2点あれば十分です。傾きと切片の情報から2点を作りましょう。
2乗に比例する関数の式とグラフ
変数x,yが、y=ax2という式で表される関係のとき、2乗に比例する関係にあると言います。文字aは、変数ではなく定数で、比例定数と言います。
2乗に比例する関係では、変数yは変数xの2次式で表されます。
なお、2乗に比例する関数のことを、高校数学では2次関数と言います。
2乗に比例する関係にあるとき、グラフの概形や特徴は以下のようになります(図も参考にして下さい)。
2乗に比例するグラフの概形と特徴
- 原点を通る曲線(放物線と言う)
- y軸に関して線対称なグラフ
- a>0のとき、下に凸の放物線
- a<0のとき、上に凸の放物線
中学数学では、「下に凸」のことを「上に開く」、「上に凸」のことを「下に開く」と表現します。最初のうちは混乱するでしょうが、少しずつ慣れていきましょう。
2乗に比例する関数の変化の割合
比例定数aは、1次関数と同じく「変化の割合」と呼ばれますが、少し様子が異なります。
2乗に比例する関数では、変化の割合は基本的に一定になりません。グラフが直線でなく、曲線であることを考えれば、つねに一定でないことが分かります。グラフが曲線なのは、変化の割合が一定ではなく変化するからです。
2乗に比例する関数では、基本的に(変化の割合)≠(比例定数a)となる。変化の割合は、変数x,yの増加量から求めよう。
グラフの軸・頂点・凸
2乗に比例する関数は、高校では「2次関数」と言います。2次関数では、軸・頂点・凸の向きの情報を式から読み取り、それをもとにグラフを描きます。
2次関数を扱うとき、グラフの軸・頂点・凸の向きが式の何と対応するのかをしっかり把握できるようにしましょう。
関数では変数x,yをセットで扱う
関数は2つの変数x,yの関係を表すので、変数x,yをつねにセットにして扱うことが大切です。
関数の式から、変数xとそれに対応する変数yを1組にして、点の座標とします。その座標をもとに点を作っていくと、関数のグラフになります。ですから、グラフを図示するには、変数x,yの値が組になっていなければなりません。
また、グラフ上の点であれば、関数の式を満たすことが分かります。グラフ上の点の座標は、関数の式から得られるからです。これはとても大切な性質なので忘れないようにしましょう。
(グラフ上の点である)⇔(関数の式に座標を代入すると、等式が成り立つ)
色々な関数とグラフがありますが、式だけでは足りないし、グラフだけでも足りないので、お互いに補完し合う関係にあると言えます。
関数を上手に扱うために、式とグラフの両方を意識しながら考える習慣をつけましょう。
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参考書や問題集を上手に利用しましょう。その他にも以下のような教材があります。
大事なことは、自分に合った教材を徹底的に活用することです。どの教材を選ぶにしても、自分の目で中身を確認し、納得してから購入することが大切です。
さいごに、もう一度まとめ
- 関数とは、2つの変数x,yの関係、またはそれを表す式のこと。
- 関数では、変数xの値を決めると、変数yの値がただ1つに定まる。
- 変数xの値とそれに対応する変数yの値を1組にして点の座標とする。
- グラフの概形は関数の式で決まる。
- 変化の割合は、変数x,yの変化量で得られる。
- 傾きは、直線の勾配を表し、比例や1次関数では比例定数aに等しい。
- 1次関数では、比例定数aは変化の割合や傾きに等しい。
- 2次関数では、比例定数aと変化の割合が等しくなるとは限らない。