整数の性質|最大公約数と最小公倍数について

数学A

数学A 整数の性質

最大公約数や最小公倍数を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

問(1)

$75$ と $135$ の最大公約数と最小公倍数を求めよ。

問(1)の解答・解説

問(1)は、最大公約数と最小公倍数を扱った問題です。75と135をそれぞれ素因数分解して、素因数を調べます。

問(1)の解答例

$75$ と $135$ をそれぞれ素因数分解すると

\begin{align*} &\quad \ \ 75 = 3 \times 25 = 3 \times 5^{2} \\[ 7pt ] &\quad 135 = 9 \times 15 = 3^{3} \times 5 \end{align*}

となる。よって、最大公約数は

\begin{align*} \quad 3 \times 5 = 15 \end{align*}

また、最小公倍数は

\begin{align*} \quad 3^{3} \times 5^{2} = 675 \end{align*}

したがって、$75$ と $135$ の最大公約数は $15$、最小公倍数は $675$

素因数分解するとき、因数でざっくり分解してから細かく素因数に分解すると簡単です。4,9,16,25などの平方数を上手に活用しましょう。

たとえば、135は各位の数の和が9の倍数になるので、9で割り切れます。もちろん、135が5の倍数であることから、27×5と因数分解しても構いません。

筆算に頼って解くのではなく、新しい解き方をどんどん使って習熟度を上げておきましょう。

最大公約数…指数の小さい方の累乗の積

最小公倍数…指数の大きい方の累乗の積

問(2)の解答・解説

問(2)

$56$ と $98$ の最小公倍数が $392$ であることを用いて、$56$ と $98$ の最大公約数を求めよ。

問(2)は、2つの整数の積と、最大公約数・最小公倍数との関係を扱った問題です。2つの整数の積は、以下のように表されます。

2つの整数の積

$2$ つの整数 $a \ , \ b$ の積は

\begin{align*} \quad ab = gl \end{align*}

と表せる。

ただし

$\quad g$ … 最大公約数

$\quad l$ … 最小公倍数

この関係式を利用して、最大公約数を求めます。

問(2)の解答例

最大公約数を $g$ とすると

\begin{align*} \quad 56 \times 98 = g \times 392 \end{align*}

が成り立つので

\begin{align*} \quad g = \frac{56 \times 98}{392} \end{align*}

これを整理すると

\begin{align*} \quad g = 14 \end{align*}

よって、最大公約数は $14$

問(2)は入試でも頻出なので、関係式をしっかり使いこなせるようにしておきましょう。

2つの整数の積は、最大公約数と最小公倍数の積に等しい。

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少し難易度の高い教材ですが、難関大を目指す理系志望者なら候補に入れて良いでしょう。

さいごにもう一度まとめ

  • 約数と倍数の関係を覚えよう。
  • 倍数の判定法は約数の判定法でもある。
  • 1は素数でないことに注意しよう。
  • 素因数分解ではまず因数分解してみよう。