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複素数と方程式|高次方程式の解法(因数定理の利用)について

数学2

高次方程式の解法(因数定理の利用)を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

次の方程式を解け。(1)2x3x28x+4=0(2)x4x33x2+x+2=0(3)4x44x39x2+x+2=0

問(1)の解答・解説

問(1)

次の方程式を解け。2x3x28x+4=0

与式は3次方程式です。左辺の3次式を見ると、公式に当てはまる式ではありません。因数定理を利用して、左辺を因数分解します。

与式の左辺を抜き出し、因数定理が成り立つxの値を探します。候補の中から計算しやすいものを選んで代入しましょう。

問(1)の解答例 1⃣

2x3x28x+4=0P(x)=2x3x28x+4とすると、P(2)=2232282+4=0よって、P(x) は x2 を因数にもつ。

因数となる1次式が分かったら、組立除法で割り算します。因数で割り算するので、必ず割り切れて余りが0になります。組立除法の結果は以下の通りです。

問(1)の組立除法
問(1)の組立除法

3次式を1次式で割ると、商は2次式になります。この結果をもとに整式を因数分解します。

問(1)の解答例 2⃣

よって、P(x) は x2 を因数にもつ。したがってP(x)=(x2)(2x2+3x2)さらに因数分解するとP(x)=(x2)(x+2)(2x1)

商が2次以上の整式であれば、因数分解できるかどうかを必ず確認しましょう。ここでは、たすき掛けで因数分解できます。

整式を因数分解できたら、もとの方程式に戻ります。因数分解後の方程式を解いて解を求めます。

問(1)の解答例 3⃣

P(x)=(x2)(x+2)(2x1)P(x)=0 であるのでx2=0 または x+2=0 または 2x1=0したがってx=±2 , 12

因数分解の結果から、左辺の3次式は3つの1次式を因数にもつことが分かります。ですから、解答例で見つけた因数x-2と違っても、同じように解くことができます。

問(2)の解答・解説

問(2)

次の方程式を解け。x4x33x2+x+2=0

与式は4次方程式です。左辺の4次式を因数分解するには、因数定理を利用します。

与式の左辺を抜き出し、因数定理が成り立つxの値を探します。候補の中から計算しやすいものを選んで代入します。

問(2)の解答例 1⃣

x4x33x2+x+2=0P(x)=x4x33x2+x+2とすると、P(1)=1413312+1+2=0よって、P(x) は x1 を因数にもつ。

因数となる1次式が分かったので、組立除法で割り算します。因数で割り算すると、余りが0になることに注意しましょう。組立除法の結果は以下の通りです。

問(2)の組立除法
問(2)の組立除法

4次式を1次式で割ると、商は3次式になります。この結果をもとに整式を因数分解します。

問(2)の解答例 2⃣

よって、P(x) は x1 を因数にもつ。したがってP(x)=(x1)(x33x2)

商が3次式なので、この商だけを別途に抜き出します。因数定理を利用して3次式を因数分解します。

問(2)の解答例 3⃣

P(x)=(x1)(x33x2)ここでQ(x)=x33x2とするとQ(1)=(1)33(1)2=0より、Q(x) は x+1 を因数にもつのでQ(x)=(x+1)(x2x2)

2度目の組立除法の結果は以下の通りです。2度目の組立除法は、1度目の結果の下に続けて記述します。

問(2)の組立除法つづき
問(2)の組立除法つづき

因数分解した後も2次式が残るので、たすき掛けでさらに因数分解します。

問(2)の解答例 4⃣

P(x)=(x1)(x33x2)Q(x)=(x+1)(x2x2)さらに因数分解するとQ(x)=(x+1)(x+1)(x2)これよりP(x)=(x1)(x+1)2(x2)

抜き出した整式を因数分解した後は、もとの方程式に戻ります。因数分解後の方程式を解いて解を求めます。

問(2)の解答例 5⃣

P(x)=(x1)(x+1)2(x2)P(x)=0 であるのでx1=0 または x+1=0 または x2=0したがってx=1 (重解) , 1 , 2

因数分解した結果を見ると、整式が因数x+1を2つもつことが分かります。このことから、4次方程式は2重解(x=-1)を解にもつことが分かります。

一般に、4次以上の方程式では、因数定理を何度か利用することになります。

問(3)の解答・解説

問(3)

次の方程式を解け。4x44x39x2+x+2=0

与式は4次方程式です。問(2)と同じ要領で解いていきましょう。

与式の左辺を抜き出し、因数定理が成り立つxの値を探します。候補の見つけ方については上述していますが、難しいようであれば、±1,±2を順に代入してみましょう。

問(3)の解答例 1⃣

4x44x39x2+x+2=0P(x)=4x44x39x2+x+2とすると、P(1)=4(1)44(1)39(1)2+(1)+2=0よって、P(x) は x+1 を因数にもつ。

因数となる1次式が分かったら、組立除法で割り算します。因数で割り算するので、必ず余りが0になることを確認しましょう。組立除法の結果は以下の通りです。

問(3)の組立除法
問(3)の組立除法

4次式を1次式で割ると、商は3次式になります。この結果をもとに整式を因数分解します。

問(3)の解答例 2⃣

よって、P(x) は x+1 を因数にもつ。したがってP(x)=(x+1)(4x38x2x+2)

商が3次式なので、因数定理を利用して3次式を因数分解します。

問(3)の解答例 3⃣

P(x)=(x+1)(4x38x2x+2)ここでQ(x)=4x38x2x+2とするとQ(2)=4238222+2=0より、Q(x) は x2 を因数にもつのでQ(x)=(x2)(4x21)

2度目の組立除法の結果は以下の通りです。2度目の組立除法は、1度目の結果の下に続けて記述します。

問(3)の組立除法つづき
問(3)の組立除法つづき

2度目の組立除法では、余り以外にも0が出てきています。これは商である2次式において、1次の項の係数が0という意味です。注意しましょう。

組立除法後に出てきた2次式は、乗法公式に当てはまる式です。公式に当てはめてさらに因数分解します。

問(3)の解答例 4⃣

P(x)=(x+1)(4x38x2x+2)Q(x)=(x2)(4x21)よってQ(x)=(x2)(2x+1)(2x1)これよりP(x)=(x+1)(x2)(2x+1)(2x1)

整式を因数分解した後は、もとの方程式に戻ります。因数分解後の方程式を解いて解を求めます。

問(3)の解答例 5⃣

P(x)=(x+1)(x2)(2x+1)(2x1)P(x)=0 であるのでx+1=0 または x2=0 または2x+1=0 または 2x1=0したがってx=1 , 2 , ±12

4次方程式なので、重解があれば別ですが、解は基本的に4つあると考えておきましょう。

方程式の解は、基本的に次数のぶんだけある。2次方程式なら2個、3次方程式なら3個。

これまでは方程式と言えば、公式に当てはめて因数分解できるものがほとんどでした。しかし、3次以上の高次方程式になると、公式による因数分解はほとんど望めません。

このような方程式では、整式がいくつかの1次式や2次式などによってできていると考えて、高次式の因数に注目します。

因数は高次式を作る部品です。この因数を見つけるために、因数定理を利用します。高次式の因数が見つかれば、それをもとに割り算して分解することができます。

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さいごにもう一度まとめ

  • 高次方程式を解くとき、因数を見つけて因数分解できる。
  • 高次式を公式で因数分解できないときは、因数定理を利用した解法で解く。
  • 因数定理を利用した解法では、組立除法で割り算する。
  • 割り算したあとで、商が3次以上の整式であれば、さらに因数定理を利用して因数分解する。
  • 方程式の次数によっては、組立除法を何度か利用して割り算することがある。