確率|独立な試行の確率について

独立な試行を扱った問題を解いてみよう
次の問題を考えてみましょう。
問1の解答・解説
問1
1 個のサイコロと 1 枚の硬貨を投げるとき、サイコロは 2 以下の目が出て、硬貨は裏が出る確率を求めよ。
先ほどの例と同じ試行なので、同じようにして解きます。1個のサイコロと1枚の硬貨を投げる試行を2つの試行に分けて考えます。
1個のサイコロと1枚の硬貨を投げる試行
- 1個のサイコロを投げる試行
- 1枚の硬貨を投げる試行
小分けにした2つの試行は互いに独立な試行です。試行ごとに事象が起こる確率を求めます。
1個のサイコロを投げる試行において、1~6の目が出る事象が同じ程度に起こると期待できる根元事象です。全事象は6個の根元事象を要素にもつので、起こりうるすべての場合の数は6通りです。
また、2以下の目が出る事象は、1の目が出る根元事象と2の目が出る根元事象を要素にもちます。2以下の目が出る事象が起こる場合の数は2通りです。
以上をもとにして、2以下の目が出る確率を求めます。
問1の解答例 1⃣
1 個のサイコロを振ったとき、1 , 2 , ⋯ , 6 の目が出る。
これらは同様に確からしいので、起こりうるすべての場合の数は 6 通り。
そのうち、2 以下の目が出る場合の数は 2 通りなので、2 以下の目が出る確率は
261枚の硬貨を投げる試行において、表が出る事象と裏が出る事象が同じ程度に起こると期待できる根元事象です。全事象は2つの根元事象を要素にもつので、起こりうるすべての場合の数は2通りです。
また、裏が出る事象は、裏が出る根元事象そのものです。裏が出る事象が起こる場合の数は1通りです。
以上をもとにして裏が出る確率を求めます。
問1の解答例 2⃣
1 枚の硬貨を投げたとき、表または裏が出る。
これらは同様に確からしいので、起こりうるすべての場合の数は 2 通り。
そのうち、裏が出る場合の数は 1 通りなので、裏が出る確率は
122つの試行は互いに独立なので、2以下の目が出て、裏が出る確率は以下のようになります。
問1の解答例 3⃣
1 個のサイコロを振る試行と 1 枚の硬貨を振る試行とは互いに独立なので、2 以下の目が出て、硬貨の裏が出る確率は
26×12=16問1のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
なお、各試行で確率を求めるときに約分するよりも、乗算するときにまとめて約分した方が計算がラクです。計算は個別にするよりもまとめて行いましょう。
問1の別解
1個のサイコロと1枚の硬貨を投げる試行を1つの試行として扱っても確率を求めることができます。こちらは基本的な確率の求め方です。
サイコロの出目と硬貨の表裏の組合せの総数は、6×2通りで、これが起こりうるすべての場合の数になります。
また、2以下の目が出て、裏が出る事象が起こる場合の数は、2×1通りです。
以上をもとに確率を求めます。
問1の別解例
1 個のサイコロを振ったとき、目の出方は 6 通り。
この出目のそれぞれについて、1 枚の硬貨の出方は表と裏の 2 通りずつある。
よって、1 個のサイコロと 1 枚の硬貨を振ったときの出方の組合せの総数は
6×2 (通り)1 個のサイコロを振ったとき、2 以下の目の出方は 2 通り。
この出目のそれぞれについて、裏の出方は 1 通りずつある。
よって、2 以下の目かつ裏である組合せの総数は
2×1 (通り)したがって、サイコロは 3 以上の目が出て、硬貨は表が出る確率は
2×16×1=13基本的な確率の求め方でも対応できますが、いくつかの試行に小分けした方が、場合の数を求めやすいことが分かります。
問2の解答・解説
問2
1 個のさいころを続けて 3 回投げるとき、1 回目は 1、2 回目は偶数、3 回目は 5 以上の目が出る確率を求めよ。
1個のさいころを続けて3回投げる試行を小分けにします。
1個のサイコロを続けて3回投げる試行
- 1回目にサイコロを投げる試行
- 2回目にサイコロを投げる試行
- 3回目にサイコロを投げる試行
小分けにした3つの試行は互いに独立な試行です。試行ごとに事象が起こる確率を求めます。
1個のサイコロを投げる試行において、1~6の目が出る事象が同じ程度に起こると期待できる根元事象です。全事象は6個の根元事象を要素にもつので、起こりうるすべての場合の数は6通りです。このことは何回目でも変わりません。
試行ごとに事象が起こる場合の数を考えましょう。
各事象が起こる場合の数
- 1回目に1が出る事象:1が出る根元事象そのものなので、1通り
- 2回目に偶数が出る事象:2,4,6が出る根元事象を要素にもつので、3通り
- 3回目に5以上の目が出る事象:5,6が出る根元事象を要素にもつので、2通り
以上をもとにして、1回目に1、2回目に偶数、3回目に5以上の目が出る確率を求めます。
問2の解答例
1 個のサイコロを振ったとき、1 , 2 , ⋯ , 6 の目が出る。
これらは同様に確からしいので、起こりうるすべての場合の数は 6 通り。
1 の目が出る場合の数は 1 通りなので、1 の目が出る確率は
16偶数の目が出る場合の数は 3 通りなので、偶数の目が出る確率は
365 以上の目が出る場合の数は 2 通りなので、5 以上の目が出る確率は
263 回の試行は互いに独立なので、求める確率は
16×36×26=136問2のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問2の別解
1個のサイコロを続けて3回投げる試行を1つの試行として扱っても確率を求めることができます。
サイコロを続けて3回投げたときの出目の組合せの総数は、6×6×6=216通りで、これが起こりうるすべての場合の数になります。
また、1回目に1が出る場合の数は1通りです。そのそれぞれについて、2回目に偶数が出る場合の数は3通りずつあります。
さらにそのそれぞれについて、3回目に5以上の目が出る場合の数は2通りずつあります。これらから、求める場合の数は1×3×2通りです。
以上をもとに確率を求めます。
問2の別解例
1 個のサイコロを続けて 3 回振ったとき、出目の組合せの総数は 6×6×6 通り。
このうち、1 回目に 1 の目が出る場合の数は 1 通り。そのそれぞれについて、2 回目に偶数が出る場合の数は 3 通りずつある。さらに、3 回目に 5 以上の目が出る場合の数は 2 通りずつある。
したがって、求める確率は
1×3×26×6×6=136試行を小分けしないで解く場合、場合の数を丁寧に数え上げないと間違えやすいので注意しましょう。
また、場合の数が大きな値になるので、掛け算せずに後で約分するなどして計算の仕方を工夫しましょう。
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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう
- 独立は試行どうしの関係を表し、排反は事象どうしの関係を表す。
- 互いに独立な2つの試行の事象がともに起こる確率は、各試行の事象が起こる確率の積で表される。
- 独立な試行が3つであっても、2つのときと同じ要領で確率を求めることができる。