図形の性質|円に内接する四角形について

今回は円に内接する四角形について学習しましょう。円に内接する図形では三角形を扱う方が多いですが、高校では四角形も扱うようになります。
また、この単元では証明問題もよく出題されるので、積極的に取り組んで記述の能力を向上させましょう。
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円に内接する四角形
円に内接する四角形は、いくつか性質をもちます。
- 対角の和は $180^{\circ}$ である。
- 1つの内角とその対角の外角は等しい。
また、四角形が円に内接するためには、いくつか条件があります。どちらかを満たせば、四角形は円に内接します。
- 対角の和が $180^{\circ}$ であること。
- 1つの内角とその対角の外角が等しいこと。
証明問題では、主に四角形が円に内接していることを証明します。このとき、四角形が円に内接するための条件を満たしていることを示します。
また、円周角の定理の逆を利用することもあるので、これまでに学習した内容もしっかりと復習しておくことが大切です。
次は円に内接する四角形の性質を導出してみましょう。
円に内接する四角形の性質を導出しよう
円に内接する四角形の性質を実際に導出してみましょう。自力で導出できるか、力試しにチャレンジしてみましょう。
対角の和は180°であることの証明
図のような点Oを中心とする円に内接する四角形ABCDがあるとします。
点Cを含む $\stackrel{ \Large \frown }{ BD }$ において、∠BADと∠BODは1つの弧に対してできた円周角と中心角です。これより、円周角の定理が成り立つので、以下のように表せます。
\begin{align*}
&\text{円周角の定理より} \\[ 5pt ]
&\quad \angle BOD = 2 \angle BAD \quad \text{…①}
\end{align*}
また、点Aを含む $\stackrel{ \Large \frown }{ BD }$ においても円周角の定理が成り立つので、以下のように表せます。
\begin{align*}
&\text{円周角の定理より} \\[ 5pt ]
&\quad \angle BOD = 2 \angle BCD \quad \text{…②}
\end{align*}
2つの中心角∠BODの和は $360^{\circ}$ になることを利用すると、①,②式から対角の関係を導くことができます。
\begin{align*}
2 \angle BAD + 2 \angle BCD &= 360^{\circ} \quad \text{(①,②より)} \\[ 5pt ]
\angle BAD + \angle BCD &= 180^{\circ} \quad \text{…③}
\end{align*}
四角形の対角である∠BADと∠BCDの関係は③式のように表せます。これより、円に内接する四角形の対角の和が $180^{\circ}$ であることを示すことができました。
1つの内角とその対角の外角は等しいことの証明
1つの内角とその対角の外角は等しいことの証明は、円に内接する四角形の対角の和が180°であることを利用します。
図のように、四角形ABCDが円に内接するとき、辺BCの延長線上に点Eをとります。
内接する四角形の対角の和を利用します。
\begin{equation*}
\angle BAD + \angle BCD = 180^{\circ} \quad \text{…①}
\end{equation*}
また、∠DCEが∠BCDの外角であることを利用します。
①,②式より、∠BADと∠BCDの関係が分かります。
\begin{align*}
&\quad \angle BAD + \angle BCD = 180^{\circ} \quad \text{…①} \\[ 5pt ]
&\quad \angle BCD + \angle DCE = 180^{\circ} \quad \text{…②} \\[ 5pt ]
&\text{①,②より} \\[ 5pt ]
&\quad \angle BAD + \angle BCD = \angle BCD + \angle DCE \\[ 5pt ]
&\quad \therefore \ \angle BAD = \angle BCD \quad \text{…③}
\end{align*}
∠BADは円に内接する四角形の1つの内角です。また、∠BCDは∠BADの対角の外角です。この∠BADと∠DCEの関係は③式のように表せます。これより、1つの内角とその対角の外角が等しいことを示すことができました。
性質の証明は意外と易しく感じるかもしれませんが、他の図形の性質が絡んできて複雑になるときもあります。演習して慣れておきましょう。
次は円に内接する四角形を扱った問題を実際に解いてみましょう。