図形と方程式|平面上の2点間の距離について

数学2

図形と方程式 直線上の点、平面上の点

平面上の2点間の距離を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

\begin{align*} &\text{平面上の $2$ 点を} \\[ 5pt ] &\quad A \ (-3 \ , \ 2) \ , \ B \ (4 \ , \ 0) \\[ 7pt ] &\text{とする。距離 $AB$ を求めよ。} \\[ 10pt ] &\text{また、$x$ 軸上、$y$ 軸上にあって、$2$ 点 $A \ , \ B$ から} \\[ 5pt ] &\text{等距離にある点の座標をそれぞれ求めよ。} \end{align*}

問の解答・解説

平面上の2点間の距離を求めるために、公式に値を代入します。公式を利用するときには、文字に対応する値を正しく代入しましょう。

問の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad A \ (-3 \ , \ 2) \ , \ B \ (4 \ , \ 0) \\[ 7pt ] &\text{距離 $AB$ は} \\[ 5pt ] &\quad AB=\sqrt{\left\{4-(-3) \right\}^{\scriptsize{2}}+\left(0-2 \right)^{\scriptsize{2}}} \\[ 7pt ] &\quad \quad =\sqrt{49+4} \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad AB=\sqrt{53} \end{align*}

次に、軸上にあって、2点A,Bから等距離にある点を求めます。図示すると以下の通りです。

上手に作図できると、自分の解答が妥当かどうかを判断できます。これができると非常に有効なので、作図する習慣をつけましょう。

2点から等しい距離にある点
問の作図

先にx軸上の点を求めます。x軸上の点の座標を自分で定義します。x軸上にある点のy座標はつねに0なので、定義するのはx座標です。

座標が定義出来たら、2点間の距離を利用して方程式を導きます。

問の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad A \ (-3 \ , \ 2) \ , \ B \ (4 \ , \ 0) \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\text{$2$ 点 $A \ , \ B$ から等距離になる $x$ 軸上の} \\[ 5pt ] &\text{点を $P \ (x \ , \ 0)$ とする。} \\[ 5pt ] &\text{このとき} \\[ 5pt ] &\quad AP=BP \\[ 7pt ] &\text{すなわち} \\[ 5pt ] &\quad {AP}^{\scriptsize{2}}={BP}^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ] &\text{が成り立つので、} \\[ 5pt ] &\quad \left\{x-(-3) \right\}^{\scriptsize{2}} + \left(0-2 \right)^{\scriptsize{2}} = \left(x-4 \right)^{\scriptsize{2}}+\left(0-0 \right)^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ] &\text{これを整理すると} \\[ 5pt ] &\quad 14x=3 \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad x=\frac{3}{14} \\[ 7pt ] &\text{したがって、点 $P$ の座標は} \\[ 5pt ] &\quad \left(\frac{3}{14} \ , \ 0 \right) \end{align*}

2点間の距離を用いて方程式を導くとき、公式をそのまま用いると根号が出てきます。根号が邪魔になるので、先に両辺を2乗しておくとスムーズに方程式を扱えます。

2点間の距離(公式)から方程式を導くとき、距離を2乗して根号を外しておこう。

最後に2点A,Bから等距離にあるy軸上の点を求めます。x軸上の点のときと同じ要領で解きます。

y軸上にある点のx座標はつねに0なので、定義するのはy座標です。座標が定義出来たら、2点間の距離を利用して方程式を導きます。

問の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad A \ (-3 \ , \ 2) \ , \ B \ (4 \ , \ 0) \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\text{$2$ 点 $A \ , \ B$ から等距離になる $y$ 軸上の} \\[ 5pt ] &\text{点を $Q \ (0 \ , \ y)$ とする。} \\[ 5pt ] &\text{このとき} \\[ 5pt ] &\quad AQ=BQ \\[ 7pt ] &\text{すなわち} \\[ 5pt ] &\quad {AQ}^{\scriptsize{2}}={BQ}^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ] &\text{が成り立つので、} \\[ 5pt ] &\quad \left\{0-(-3) \right\}^{\scriptsize{2}}+\left(y-2 \right)^{\scriptsize{2}} = \left(0-4 \right)^{\scriptsize{2}}+\left(y-0 \right)^{\scriptsize{2}} \\[ 7pt ] &\text{これを整理すると} \\[ 5pt ] &\quad -4y=3 \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad y=-\frac{3}{4} \\[ 7pt ] &\text{したがって、点 $Q$ の座標は} \\[ 5pt ] &\quad \left(0 \ , \ -\frac{3}{4} \right) \end{align*}

公式に対応する値を正しく代入できれば、計算はそれほど難しくありません。ただ、符号ミスをしやすいので注意しましょう。符号ミスは習熟度が低いと起こりやすいので、たくさん演習をこなしておきましょう。

また、距離を2乗する解法は、軌跡やベクトルなどを扱った問題でもよく用いられます。しっかりマスターしておきましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 数直線上の2点間の距離は、座標の差を絶対値の記号で挟んでおこう。
  • 平面上の2点間の距離は、数直線上の2点間の距離と三平方の定理との組み合わせで得られる。
  • 座標の差は、大きい方から小さい方を引き算しよう。
  • 距離から方程式を導くときは、距離を2乗して根号を外しておこう。
  • 符号のミスに気を付けよう。