図形と方程式|2つの円の交点を通る円や直線について
2つの円の交点を通る円や直線を扱った問題を実際に解いてみよう
問
$2$ つの円
\begin{align*} &\quad x^{2}+y^{2}=10 \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+y^{2}-2x+6y+2=0 \end{align*}の $2$ つの交点の座標を求めよ。また、$2$ つの交点と原点を通る円の中心と半径を求めよ。
問は、小問形式ではありませんが、「2つの円の交点の座標を求める問題」と「2つの交点と原点を通る円の中心と半径を求める問題」の2問からなる構成になっています。
ここでは、「2つの円の交点の座標を求める問題」を問前半とし、「2つの交点と原点を通る円の中心と半径を求める問題」を問後半とします。
問前半の解答・解説
問前半
$2$ つの円
\begin{align*} &\quad x^{2}+y^{2}=10 \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+y^{2}-2x+6y+2=0 \end{align*}の $2$ つの交点の座標を求めよ。
問を解く前に作図しておきます。
与えられた円の方程式の一方は、平方完成しないと中心や半径を知ることができません。必要に応じて式変形しましょう。
2つの円の位置関係や交点の大まかな位置を把握しておきましょう。
2つの円の交点の座標を求めるには、2つの円の交点を通る直線の方程式を準備する必要があります。
定数kを用いて、2つの方程式を1つにまとめます。
問前半の解答例 1⃣
\begin{align*} &\quad x^{2}+y^{2}=10 \ \cdots \ \text{①} \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+y^{2}-2x+6y+2=0 \ \cdots \ \text{②} \end{align*}$k$ を定数とすると、①,②から
\begin{align*} \quad k \left(x^{2}+y^{2}-10 \right)+x^{2}+y^{2}-2x+6y+2 = 0 \ \cdots \ \text{③} \end{align*}③は $2$ つの円①,②の交点を通る円、または直線を表す。
2つの円の交点を通る直線は、③式においてK=-1のときの方程式です。③式にK=-1を代入して整理します。
問前半の解答例 2⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &k \left(x^{2}+y^{2}-10 \right)+x^{2}+y^{2}-2x+6y+2 = 0 \ \cdots \ \text{③} \end{align*}③に $k=-1$ を代入すると
\begin{align*} \quad – \left(x^{2}+y^{2}-10 \right)+x^{2}+y^{2}-2x+6y+2 = 0 \end{align*}これを整理すると
\begin{align*} &\quad 10-2x+6y+2 = 0 \\[ 7pt ] &\quad -2x+6y+12 = 0 \\[ 7pt ] &\quad x-3y-6= 0 \\[ 7pt ] &\quad x = 3y+6 \ \cdots \ \text{④} \end{align*}これは $x \ , \ y$ の $1$ 次式であるので直線を表す。
円の方程式に代入しやすいように、直線の方程式を④式のように変形しておきましょう。
円と直線の方程式を連立して解きます。
問前半の解答例 3⃣
\begin{align*} &\quad x^{2}+y^{2}=10 \ \cdots \ \text{①} \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+y^{2}-2x+6y+2=0 \ \cdots \ \text{②} \end{align*} \begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &k \left(x^{2}+y^{2}-10 \right)+x^{2}+y^{2}-2x+6y+2 = 0 \ \cdots \ \text{③} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &x = 3y+6 \ \cdots \ \text{④} \end{align*}④を①に代入して整理すると
\begin{align*} &\quad \left(3y+6 \right)^{2}+y^{2}=10 \\[ 7pt ] &\quad 10y^{2}+36y+36 = 10 \\[ 7pt ] &\quad 10y^{2}+36y+26 = 0 \\[ 7pt ] &\quad 5y^{2}+18y+13 = 0 \\[ 7pt ] &\quad \left(y+1 \right) \left(5y+13 \right) = 0 \end{align*}よって
\begin{align*} \quad y = -\frac{13}{5} \ , \ -1 \end{align*}$y=-\frac{13}{5}$ を④に代入すると
\begin{align*} \quad x &= 3 \cdot \left(-\frac{13}{5} \right)+6 \\[ 7pt ] &= -\frac{39}{5}+6 \\[ 7pt ] &= -\frac{9}{5} \end{align*}$y=-1$ を④に代入すると
\begin{align*} \quad x &= 3 \cdot \left(-1 \right)+6 \\[ 7pt ] &= -3+6 \\[ 7pt ] &= 3 \end{align*}よって、求める交点の座標は
\begin{align*} \quad \left(-\frac{9}{5} \ , \ -\frac{13}{5} \right) \ , \ \left(3 \ , \ -1 \right) \end{align*}例題の解法に合わせて解きましたが、K=-1を代入する代わりに②式から①式を引き算して解いても構いません。
問前半の別解例
問前半の別解例
\begin{align*} &\quad x^{2}+y^{2}=10 \ \cdots \ \text{①} \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+y^{2}-2x+6y+2=0 \ \cdots \ \text{②} \end{align*}②-①より
\begin{align*} &\quad -2x+6y+2 = -10 \\[ 7pt ] &\quad -2x+6y+12 = 0 \\[ 7pt ] &\quad x-3y-6 = 0 \\[ 7pt ] &\quad x = 3y+6 \ \cdots \ \text{③} \end{align*}③を①に代入して解くと
\begin{align*} &\quad \left(3y+6 \right)^{2}+y^{2}=10 \\[ 7pt ] &\quad 10y^{2}+36y+36 = 10 \\[ 7pt ] &\quad 10y^{2}+36y+26 = 0 \\[ 7pt ] &\quad 5y^{2}+18y+13 = 0 \\[ 7pt ] &\quad \left(y+1 \right) \left(5y+13 \right) = 0 \end{align*}よって
\begin{align*} \quad y = -\frac{13}{5} \ , \ -1 \end{align*}$y=-\frac{13}{5}$ を③に代入すると
\begin{align*} \quad x &= 3 \cdot \left(-\frac{13}{5} \right)+6 \\[ 7pt ] &= -\frac{39}{5}+6 \\[ 7pt ] &= -\frac{9}{5} \end{align*}$y=-1$ を③に代入すると
\begin{align*} \quad x &= 3 \cdot \left(-1 \right)+6 \\[ 7pt ] &= -3+6 \\[ 7pt ] &= 3 \end{align*}よって、求める交点の座標は
\begin{align*} \quad \left(-\frac{9}{5} \ , \ -\frac{13}{5} \right) \ , \ \left(3 \ , \ -1 \right) \end{align*}2つの円の交点の座標を求める問題であれば、別解例の解法で構いません。
ただ、問後半のことを考えると、模範解答例のように、2つの円の交点を通る円や直線を表す式を導出しておいた方が良いでしょう。
問後半の解答・解説
問後半
$2$ つの円
\begin{align*} &\quad x^{2}+y^{2}=10 \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+y^{2}-2x+6y+2=0 \end{align*}また、$2$ つの交点と原点を通る円の中心と半径を求めよ。
2つの円の交点の他に、原点も通る円は図のようになります。
求める円の中心や半径を大まかに予想できます。
中心の座標は、x座標が正で、y座標が負になりそうです。
また、半径は、与えられた円の半径とそれほど変わらないようです。
問前半で導出した③式に原点の座標を代入して、kについての方程式を導出します。
問後半の解答例 1⃣
\begin{align*} &\quad x^{2}+y^{2}=10 \ \cdots \ \text{①} \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+y^{2}-2x+6y+2=0 \ \cdots \ \text{②} \end{align*} \begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &k \left(x^{2}+y^{2}-10 \right)+x^{2}+y^{2}-2x+6y+2 = 0 \ \cdots \ \text{③} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \end{align*}③が原点を通る円であるためには、③に $x=0 \ , \ y=0$ を代入したときに等式が成り立てばよい。
よって
\begin{align*} &\quad k \left(0^{2}+0^{2}-10 \right)+0^{2}+0^{2}-2 \cdot 0+6 \cdot 0+2 = 0 \\[ 7pt ] &\quad -10k+2 = 0 \\[ 7pt ] &\quad k = \frac{1}{5} \end{align*}kの値が決まったので、これを③式に代入します。
問後半の解答例 2⃣
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &k \left(x^{2}+y^{2}-10 \right)+x^{2}+y^{2}-2x+6y+2 = 0 \ \cdots \ \text{③} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &k = \frac{1}{5} \end{align*}これを③に代入すると
\begin{align*} &\quad \frac{1}{5} \left(x^{2}+y^{2}-10 \right)+x^{2}+y^{2}-2x+6y+2 = 0 \\[ 7pt ] &\quad x^{2}+y^{2}-10+5x^{2}+5y^{2}-10x+30y+10 = 0 \\[ 7pt ] &\quad 6x^{2}-10x+6y^{2}+30y = 0 \\[ 7pt ] &\quad x^{2}-\frac{5}{3}x+y^{2}+5y = 0 \\[ 7pt ] &\quad \left(x-\frac{5}{6} \right)^{2}+\left(y+\frac{5}{2} \right)^{2}-\frac{25}{36}-\frac{25}{4} = 0 \\[ 7pt ] &\quad \left(x-\frac{5}{6} \right)^{2}+\left(y+\frac{5}{2} \right)^{2} = \frac{250}{36} \\[ 7pt ] &\quad \left(x-\frac{5}{6} \right)^{2}+\left(y+\frac{5}{2} \right)^{2} = \left(\frac{5\sqrt{10}}{6} \right)^{2} \end{align*}よって、求める円の中心は
\begin{align*} \quad \left(\frac{5}{6} \ , \ -\frac{5}{2} \right) \end{align*}また、円の半径は
\begin{align*} \quad \frac{5\sqrt{10}}{6} \end{align*}解法としてはそれほど難しくありませんが、計算ミスを誘うような値が出てくる問題が多く出題されます。計算ミスのないように気を付けましょう。
なお、円の方程式を求めるとき、2つの円の交点と原点の3点の座標がすでに分かっています。このことを利用すれば、一般形を用いた解法でも解くことができます。
問後半の別解例
\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] \quad &\left(-\frac{9}{5} \ , \ -\frac{13}{5} \right) \ , \ \left(3 \ , \ -1 \right) \end{align*}求める円の方程式を
\begin{align*} \quad x^{2}+y^{2}+lx+my+n=0 \ \cdots \ \text{⑤} \end{align*}とおくと、円⑤は円①,②の交点と原点を通る。
⑤に $x=0 \ , \ y=0$ を代入すると
\begin{align*} &\quad 0^{2}+0^{2}+l \cdot 0+m \cdot 0+n=0 \\[ 7pt ] &\quad n=0 \ \cdots \ \text{⑥} \end{align*}⑥より⑤は
\begin{align*} \quad x^{2}+y^{2}+lx+my=0 \ \cdots \ \text{⑤’} \end{align*}⑤’に $x=-\frac{9}{5} \ , \ y=-\frac{13}{5}$ を代入すると
\begin{align*} &\quad \left(-\frac{9}{5} \right)^{2}+\left(-\frac{13}{5} \right)^{2}+l \cdot \left(-\frac{9}{5} \right)+m \cdot \left(-\frac{13}{5} \right)=0 \\[ 7pt ] &\quad \frac{81}{25}+\frac{169}{25} -\frac{9}{5} l-\frac{13}{5} m=0 \\[ 7pt ] &\quad 10 -\frac{9}{5} l-\frac{13}{5} m=0 \\[ 7pt ] &\quad 9l+13m-50=0 \ \cdots \ \text{⑦} \end{align*}⑤’に $x=3 \ , \ y=-1$ を代入すると
\begin{align*} &\quad 3^{2}+\left(-1 \right)^{2}+l \cdot 3+m \cdot \left(-1 \right)=0 \\[ 7pt ] &\quad 9+1+3l-m=0 \\[ 7pt ] &\quad 3l-m+10=0 \ \cdots \ \text{⑧} \end{align*}⑦+⑧×$13$
\begin{align*} &\quad 48l+80=0 \\[ 7pt ] &\quad l=-\frac{5}{3} \end{align*}これを⑧に代入すると
\begin{align*} &\quad 3 \cdot \left(-\frac{5}{3} \right)-m+10=0 \\[ 7pt ] &\quad -5-m+10=0 \\[ 7pt ] &\quad m=5 \end{align*}よって
\begin{align*} \quad l=-\frac{5}{3} \ , \ m=5 \end{align*}これらを⑤’に代入して整理すると
\begin{align*} &\quad x^{2}+y^{2}-\frac{5}{3}x+5y=0 \\[ 7pt ] &\quad \left(x-\frac{5}{6} \right)^{2}+\left(y+\frac{5}{2} \right)^{2} = \left(\frac{5\sqrt{10}}{6} \right)^{2} \end{align*}よって、求める円の中心は
\begin{align*} \quad \left(\frac{5}{6} \ , \ -\frac{5}{2} \right) \end{align*}また、円の半径は
\begin{align*} \quad \frac{5\sqrt{10}}{6} \end{align*}一般に、3点の座標を一般形に代入する解法では計算が煩雑になります。計算ミスを考慮すれば、上述の解法の方が無難でしょう。
別解例では利用していませんが、原点を通る円の一般形は以下のように表せます。これを利用すれば、3つの方程式を連立せずに済むので、もう少しすっきりした記述にすることができます。
原点を通る円の一般形
円が原点を通るとき、その一般形は
\begin{align*} \quad x^{2}+y^{2}+lx+my=0 \end{align*}と表せる。
【確認】一般形に $x=0 \ , \ y=0$ を代入すると
\begin{align*} &\quad 0^{2}+0^{2}+l \cdot 0+m \cdot 0+n=0 \\[ 7pt ] &\quad n=0 \end{align*}Recommended books
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さいごにもう一度まとめ
- 2つの円の交点を通る円や直線は、2つの円の方程式を用いて表すことができる。
- 与えられた円の方程式の右辺が0であることを確認してから1つの式にまとめる。
- 円の方程式ならk≠-1のとき、直線の方程式ならk=-1
- 2つの円の交点を通る円の方程式を求めるには、与えられた点の座標からkの値を決定する。
- 計算が煩雑になりやすいので、計算ミスに気を付ける。