場合の数|組合せについて
組合せを扱った問題を解いてみよう
次の問題を考えてみましょう。
問1の解答・解説
問1
次の値を求めよ。
\begin{align*} &(i) \quad {}_6 \mathrm{ C }_2 \\[ 7pt ] &(ii) \quad {}_8 \mathrm{ C }_6 \end{align*}問1は、組合せの記号Cの意味を読み取り、計算する問題です。定義の式に対応する数を代入して計算します。式を使いながら覚えていきましょう。
6C2は、異なる6個から2個を選ぶ組合せの総数のことです。定義の式にn=6,r=2を代入して計算します。
問1(i)の解答例
\begin{align*} \quad {}_6 \mathrm{ C }_2 &= \frac{{}_6 \mathrm{ P }_2}{2!} \\[ 7pt ] &= \frac{6 \cdot 5}{2 \cdot 1} \\[ 7pt ] &= 15 \end{align*}計算するとき、約分を優先して数をできるだけ小さくしましょう。
8C6は、異なる8個から6個を選ぶ組合せの総数のことです。定義の式にn=8,r=6を代入しても良いのですが、先に組合せの総数の性質(その2)を利用します。
「異なる8個から6個を選ぶ」ことで、結果的に「異なる8個から2個を残す」ことになります。ですから「異なる8個から残す2個を選ぶ」と言い換えることができます。
問1(ii)の解答例
\begin{align*} \quad {}_8 \mathrm{ C }_6 &= {}_8 \mathrm{ C }_2 \\[ 7pt ] &= \frac{{}_8 \mathrm{ P }_2}{2!} \\[ 7pt ] &= \frac{8 \cdot 7}{2 \cdot 1} \\[ 7pt ] &= 28 \end{align*}なお、性質を使わずに解くと以下のようになります。
問1(ii)の別解例
\begin{align*} \quad {}_8 \mathrm{ C }_6 &= \frac{{}_8 \mathrm{ P }_6}{6!} \\[ 7pt ] &= \frac{8 \cdot 7 \cdot 6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3}{6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1} \\[ 7pt ] &= \frac{8 \cdot 7}{2 \cdot 1} \\[ 7pt ] &= 28 \end{align*}別解例の計算過程を見ると、余分な計算をしていることが分かります。計算ミスを防ぐために、性質を上手に利用して易しい計算ができるようにしましょう。
nCrにおいて、rの値が小さければ小さいほど計算はラクになる。
問1のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問2の解答・解説
問2
男子 $7$ 人と女子 $5$ 人の男女 $12$ 人から $3$ 人を選ぶとき、次の選び方は何通りあるか。
$(i) \quad 3$ 人の選び方の総数
$(ii) \quad$ 男子 $2$ 人と女子 $1$ 人をそれぞれ選ぶ
$(ii) \quad$ 少なくとも女子を $1$ 人を選ぶ
問2は、色々な場合の組合せの総数を求める問題です。上手な数え方を考えましょう。
問2(i)では、男女に関わりなく3人を選べばよいので、12人から3人を選ぶ組合せの総数を求めます。
問2(i)の解答例
男女 $12$ 人から $3$ 人を選ぶ組合せの総数は
\begin{align*} \quad {}_{12} \mathrm{ C }_3 &= \frac{{}_{12} \mathrm{ P }_3}{3!} \\[ 7pt ] &= \frac{12 \cdot 11 \cdot 10}{3 \cdot 2 \cdot 1} \\[ 7pt ] &= 220 \ \text{(通り)} \end{align*}問2(i)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問2(ii)では、男子2人と女子1人を選びます。男子を選ぶとき、女子の組合せは関係ありませんし、その逆も同じです。ですから、男子と女子の選び方を別々に考えることが大切です。
男子2人の選び方は、7人から2人を選ぶときの組合せの総数です。女子1人の選び方は、5人から1人を選ぶときの組合せの総数です。
男子2人の選び方それぞれについて、女子1人の選び方があるので、積の法則を使って、男子2人、女子1人を選ぶ組合せの総数を求めます。
問2(ii)の解答例
男子 $2$ 人の選び方のそれぞれについて、女子 $1$ 人の選び方がある。
求める組合せの総数は、積の法則より
\begin{align*} \quad {}_7 \mathrm{ C }_2 \times {}_5 \mathrm{ C }_1 &= \frac{{}_7 \mathrm{ P }_2}{2!} \times \frac{{}_5 \mathrm{ P }_1}{1!} \\[ 7pt ] &= \frac{7 \cdot 6}{2 \cdot 1} \times \frac{5}{1} \\[ 7pt ] &= 105 \ \text{(通り)} \end{align*}男子と女子の選び方を別々に考える。
問2(ii)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問2(iii)では、少なくとも女子を1人を選びます。「少なくとも」という文言から、女子の人数は最低でも1人いれば何人いても良いということです。
この場合、男女の選び方は以下の3通りが考えられます。
少なくとも女子1人を選ぶ組合せ
- 男子2人と女子1人(問2(ii))
- 男子1人と女子2人
- 男子0人と女子3人
この3種類の組合せは同時に起こらない組合せです。このとき、少なくとも女子1人を選ぶ組合せの総数は、3種類の組合せの和になります。
このように「少なくとも~」という文言がある場合、それぞれの場合ごとに場合の数を求める必要があり、煩雑になりやすくなります。その手間を省くために、集合で学習した補集合の考え方を利用します。
「少なくとも女子1人を選ぶ組合せ」の補集合に相当するのは、「女子を1人も選ばない組合せ」言い換えると「男子3人を選ぶ組合せ」です。男子3人の選び方は7C3通りです。
男女に関わりなく3人を選ぶ選び方は、問2(i)の結果から12C3通りでした。この選び方から男子3人の選び方を除けば、女子が必ず含まれる組合せだけが残ります。
問2(iii)の解答例
少なくとも女子 $1$ 人を選ぶには、すべての組合せから $3$ 人とも男子になる組合せを除けば良い。
$3$ 人とも男子になる選び方の総数は ${}_7 \mathrm{ C }_3$ 通りであり、これと $(i)$ から
\begin{align*} \quad {}_{12} \mathrm{ C }_3 – {}_7 \mathrm{ C }_3 &= 220- \frac{{}_7 \mathrm{ P }_3}{3!} \\[ 7pt ] &= 220- \frac{7 \cdot 6 \cdot 5}{3 \cdot 2 \cdot 1} \\[ 7pt ] &= 220- 35 \\[ 7pt ] &= 185 \ \text{(通り)} \end{align*}問2(iii)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
なお、3つの場合ごとに選び方を考えて計算すると以下のようになります。
少なくとも女子1人を選ぶ組合せ
- 男子2人と女子1人 … 7C2×5C1通り
- 男子1人と女子2人… 7C1×5C2通り
- 男子0人と女子3人… 5C3(=5C2)通り
問2(iii)の別解例
少なくとも女子 $1$ 人を選ぶ組合せは、男子 $2$ 人と女子 $1$ 人、男子 $1$ 人と女子 $2$ 人、$3$ 人とも女子の $3$ 通りある。
これらの組合せは同時に起こらないので、求める組合せの総数は
\begin{align*} \quad &{}_7 \mathrm{ C }_2 \times {}_5 \mathrm{ C }_1 + {}_7 \mathrm{ C }_1 \times {}_5 \mathrm{ C }_2 + \underline{{}_5 \mathrm{ C }_3} \\[ 10pt ] = \ &{}_7 \mathrm{ C }_2 \times {}_5 \mathrm{ C }_1 + {}_7 \mathrm{ C }_1 \times {}_5 \mathrm{ C }_2 + {}_5 \mathrm{ C }_2 \\[ 10pt ] = \ &\frac{{}_7 \mathrm{ P }_2}{2!} \times \frac{{}_5 \mathrm{ P }_1}{1!} + \frac{{}_7 \mathrm{ P }_1}{1!} \times \frac{{}_5 \mathrm{ P }_2}{2!} + \frac{{}_5 \mathrm{ P }_2}{2!} \\[ 10pt ] = \ &\frac{7 \cdot 6}{2 \cdot 1} \times \frac{5}{1}+\frac{7}{1} \times \frac{5 \cdot 4}{2 \cdot 1}+\frac{5 \cdot 4}{2 \cdot 1} \\[ 10pt ] = \ &105+70+10 \\[ 7pt ] = \ &185 \ \text{(通り)} \end{align*}それほど難しい計算ではありませんが、それでも面倒なのは確かです。
「少なくとも~」と言う表現が出てきたら、補集合(余事象)を使って求めよう。
順列や組合せを表す記号P,Cにはちゃんと意味があります。意味を理解するには、ことばに置き換えて考えることが大切です。
記号や式をことばに置き換える習慣は、一般化された公式や定理を扱う場合に効力を発揮します。
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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう
- 組合せでは、順番を考慮しない。
- 組合せの総数は、順列の総数から組合せごとの重複ぶんを除いた場合の数。
- 組合せの樹形図では、重複を防ぐためにアルファベット順に注意しよう。
- 組合せの総数の性質を利用して、計算をできるだけ簡単にしよう。
- 「少なくとも」は複数の場合を含むことばなので、補集合の考え方を利用しよう。