式と証明|多項定理について

01/31/2019数学2展開,式と証明,多項定理,一般項

多項定理を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

問1
\begin{align*}
&\text{次の展開式における[ ]内に示した項の係数を求めよ。} \\[ 5pt ]
&(1) \quad (a+b+c)^{\scriptsize{5}} \quad \bigl[ \ ab^{\scriptsize{2}}c^{\scriptsize{2}} \ \bigr] \\[ 5pt ]
&(2) \quad (x+2y+3z)^{\scriptsize{4}} \quad \bigl[ \ x^{\scriptsize{3}}z \ \bigr]
\end{align*}

問1は、カッコの中の式が三項式であり、4次式以上の展開なので、多項定理を利用する問題です。また、特定の項の係数を考えるので、一般項を利用します。

問1(1)の解答・解説

問1(1)
\begin{align*}
&\text{次の展開式における[ ]内に示した項の係数を求めよ。} \\[ 5pt ]
&(1) \quad (a+b+c)^{\scriptsize{5}} \quad \bigl[ \ ab^{\scriptsize{2}}c^{\scriptsize{2}} \ \bigr]
\end{align*}

問1(1)では、三項式の各項の係数が1であるので、そこまで難しくありません。一般項と求めたい項を比べて、対応関係を調べます。

問1(1)の解答例
\begin{align*}
&(a+b+c)^{\scriptsize{n}} \quad \text{の一般項} \quad \frac{n!}{p!q!r!} a^{\scriptsize{p}} \ b^{\scriptsize{q}} \ c^{\scriptsize{r}} \\[ 10pt ]
&(a+b+c)^{\scriptsize{5}} \quad \text{の項 $ab^{\scriptsize{2}}c^{\scriptsize{2}}$} \\[ 5pt ]
&\text{より、} \\[ 5pt ]
&\quad n=5 \ , \ p=1 \ , \ q=2 \ , \ r=2
\end{align*}

これをもとに求めたい項を表します。

問1(1)の解答例つづき
\begin{align*}
&\text{$ab^{\scriptsize{2}}c^{\scriptsize{2}}$ の項の係数は} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{5!}{1!2!2!} = \frac{5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2!}{1 \cdot 2! \cdot 2 \cdot 1} = 30 \\[ 10pt ]
&\text{よって、求める係数は $30$}
\end{align*}

別解として、二項定理を利用して解くこともできます。

問1(1)の別解例
\begin{align*}
&\text{$\{ (a+b)+c \}^{\scriptsize{5}}$ において、$c^{\scriptsize{2}}$ を含む項は} \\[ 5pt ]
&\quad {}_5 \mathrm{ C }_2 (a+b)^{\scriptsize{3}} \ c^{\scriptsize{2}} \\[ 5pt ]
&\text{また、$(a+b)^{\scriptsize{3}}$ において、$ab^{\scriptsize{2}}$ の項の係数は} \\[ 5pt ]
&\quad {}_3 \mathrm{ C }_2 \\[ 5pt ]
&\text{よって、求める項の係数は} \\[ 5pt ]
&\quad {}_5 \mathrm{ C }_2 \times {}_3 \mathrm{ C }_2 = 10 \cdot 3 = 30
\end{align*}

三項式を二項式に変形して、二項定理を利用するのがポイントです。

自分が解ける形に変形しよう。

問1(2)の解答・解説

問1(2)
\begin{align*}
&\text{次の展開式における[ ]内に示した項の係数を求めよ。} \\[ 5pt ]
&(2) \quad (x+2y+3z)^{\scriptsize{4}} \quad \bigl[ \ x^{\scriptsize{3}}z \ \bigr]
\end{align*}

問(2)も多項定理を利用して係数を求める問題です。問(1)と異なり、係数が1ではないので、一般項全体を書き出して考える必要があります。まずは一般項と求めたい項を比べて、対応関係を調べます。

問1(2)の解答例
\begin{align*}
&(a+b+c)^{\scriptsize{n}} \quad \text{の一般項} \quad \frac{n!}{p!q!r!} a^{\scriptsize{p}} \ b^{\scriptsize{q}} \ c^{\scriptsize{r}} \\[ 10pt ]
&(x+2y+3z)^{\scriptsize{4}} \quad \text{の項 $x^{\scriptsize{3}}z$} \\[ 5pt ]
&\text{より、} \\[ 5pt ]
&\quad n=4 \ , \ p=3 \ , \ q=0 \ , \ r=1
\end{align*}

これをもとに求めたい項を表します。

問1(2)の解答例つづき
\begin{align*}
&\text{与式において $x^{\scriptsize{3}}z$ の項は} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{4!}{3!0!1!} x^{\scriptsize{3}} \ (2y)^{\scriptsize{0}} \ (3z)^{\scriptsize{1}} = \frac{4 \cdot 3!}{3! \cdot 1 \cdot 1} \cdot 3^{\scriptsize{1}} x^{\scriptsize{3}} \ z \\[ 10pt ]
&\text{よって、$x^{\scriptsize{3}}z$ の項の係数は} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{4 \cdot 3!}{3! \cdot 1 \cdot 1} \cdot 3^{\scriptsize{1}} = 12
\end{align*}

このように与式の各項の係数が1でないときは、組合せの総数だけで係数とはなりません。各項の係数も影響するので、項全体を書き出して考えるようにしましょう。

次の問題を解いてみましょう。

問2
\begin{align*}
&\text{次の展開式における[ ]内に示した項の係数を求めよ。} \\[ 5pt ]
&\quad (x^{\scriptsize{2}}+x+1)^{\scriptsize{7}} \quad \bigl[ \ x^{\scriptsize{3}} \ \bigr]
\end{align*}

問2も多項定理を扱った問題ですが、問1よりも難易度の高い問題です。実際に求めたい項を抜き出してみると違いが分かります。

問2の解答・解説

一般項と求めたい項を比べて、対応関係を調べます。

問2の解答例
\begin{align*}
&(a+b+c)^{\scriptsize{n}} \quad \text{の一般項} \quad \frac{n!}{p!q!r!} a^{\scriptsize{p}} \ b^{\scriptsize{q}} \ c^{\scriptsize{r}} \\[ 10pt ]
&(x^{\scriptsize{2}}+x+1)^{\scriptsize{7}} \quad \text{の項 $x^{\scriptsize{3}}$} \\[ 5pt ]
&\text{より、} \\[ 5pt ]
&\quad n=7
\end{align*}

対応関係から分かるように、三項式の1番目と2番目の項にxが入っているので、各項をそれぞれ何乗すれば良いのか分かりません。とりあえず、何乗するのかは考えず、一般項の式を利用して、求めたい項を表します。

問2の解答例つづき
\begin{align*}
&\text{与式において $x^{\scriptsize{3}}$ の項は} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{7!}{p!q!r!} \bigl( x^{\scriptsize{2}} \bigr)^{\scriptsize{p}} \ x^{\scriptsize{q}} \ 1^{\scriptsize{r}} = \frac{7!}{p!q!r!} x^{\scriptsize{2p+q}} \\[ 10pt ]
&\text{と表せる。}
\end{align*}

一般項を使って表しましたが、指数を比較してもpqの値が定まらないので、問1と同じように係数を求めることができません。問2は、単に多項定理の式を用いただけでは解けない問題です。pqの値を定める必要がありますが、ここで思い出したいのがpqに関する条件です。

多項定理における一般項
\begin{align*}
&\text{$( a+b+c )^{\scriptsize{n}}$ の一般項は} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{n!}{p!q!r!} a^{\scriptsize{p}} \ b^{\scriptsize{q}} \ c^{\scriptsize{r}} \\[ 10pt ]
&\text{ただし、$p \ , \ q \ , \ r$ は整数で、} \\[ 5pt ]
&\quad p \geqq 0 \ , \ q \geqq 0 \ , \ r \geqq 0 \ , \ p + q + r = n
\end{align*}

pqに関する条件を利用して、pqの値を定めます。

問2の解答例つづき
\begin{align*}
&\quad \frac{7!}{p!q!r!} x^{\scriptsize{2p+q}} \\[ 5pt ]
&\text{が、$x^{\scriptsize{3}}$ の項となるのは} \\[ 5pt ]
&\quad 2p+q=3 \quad \text{すなわち} \quad q=3-2p \\[ 5pt ]
&\text{のときである。} \\[ 10pt ]
&\text{$q \geqq 0$ より、} \\[ 5pt ]
&\quad 3-2p \geqq 0 \quad \text{すなわち} \quad p \leqq \frac{3}{2} \\[ 5pt ]
&\text{これと $p \geqq 0$ より、} \\[ 5pt ]
&\quad 0 \leqq p \leqq \frac{3}{2} \\[ 5pt ]
&\text{$p$ は整数であるので、} \\[ 5pt ]
&\quad p = 0 \ , \ 1 \\[ 10pt ]
&\text{また、$q=3-2p \ , \ r=7-p-q$ より、} \\[ 5pt ]
&\quad p=0 \quad \text{のとき} \quad q=3 \ , \ r=4 \\[ 5pt ]
&\quad p=1 \quad \text{のとき} \quad q=1 \ , \ r=5 \\[ 5pt ]
&\text{よって、} \\[ 5pt ]
&\quad (p \ , \ q \ , \ r) = (0 \ , \ 3 \ , \ 4) \ , \ (1 \ , \ 1 \ , \ 5)
\end{align*}

少し長くなりましたが、やっとpqの値が定まりました。pqの組が複数あるのは、三項式の1番目と2番目の項に、同じ文字xが使われているからです。多項定理を扱った問題では、問2のような問題の方が多く出題されるので、pqの組が1通りに定まらない場合もあると覚えておきましょう。

それぞれの組について係数を求めます。また、それぞれの組で得られる項は同類項であるので、和を取ります。

問2の解答例つづき
\begin{align*}
&\quad (p \ , \ q \ , \ r) = (0 \ , \ 3 \ , \ 4) \ , \ (1 \ , \ 1 \ , \ 5) \\[ 5pt ]
&\text{$(p \ , \ q \ , \ r) = (0 \ , \ 3 \ , \ 4)$ のとき} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{7!}{0!3!4!} \bigl( x^{\scriptsize{2}} \bigr)^{\scriptsize{0}} \cdot x^{\scriptsize{3}} \cdot 1^{\scriptsize{4}} = \frac{7 \cdot 6 \cdot 5 \cdot 4!}{6 \cdot 4!} x^{\scriptsize{3}} = 35x^{\scriptsize{3}} \\[ 5pt ]
&\text{$(p \ , \ q \ , \ r) = (1 \ , \ 1 \ , \ 5)$ のとき} \\[ 5pt ]
&\quad \frac{7!}{1!1!5!} \bigl( x^{\scriptsize{2}} \bigr)^{\scriptsize{1}} \cdot x^{\scriptsize{1}} \cdot 1^{\scriptsize{5}} = \frac{7 \cdot 6 \cdot 5!}{5!} x^{\scriptsize{3}} = 42x^{\scriptsize{3}} \\[ 5pt ]
&\text{より、$x^{\scriptsize{3}}$ の項の係数は} \\[ 5pt ]
&\quad 35 + 42 = 77
\end{align*}

多項定理を扱った問題は、特定の項の係数を求める問題が基本です。展開式を求める問題はまず出題されないので、一般項を利用した係数の求め方をしっかりマスターしておきましょう。

また、一般項を利用する問題では、指数法則の知識が必要です。指数法則は、どの単元でもよく使われる法則なので、しっかり使えるようにしておきましょう。

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さいごにもう一度まとめ

  • 多項定理では、一般項の式を利用する。
  • 多項定理では、特定の項についての問題がよく出題される。
  • 多項式の各項に同じ文字が用いられているときは要注意。
  • 指数の条件を利用して、整数の組を求めよう。