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複素数と方程式|2つの数を解とする2次方程式の作成について

数学2

2つの数を解とする2次方程式の作成を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

2 次方程式2x2x+3=0の 2 つの解をα , βとするとき、2 数α2 , β2を解とする 2 次方程式を1 つ作れ。

問題文を注意深く読み、与えられた式や数の関係を理解しましょう。

問の解答・解説

α,βは、予め与えられた2次方程式の解です。α,βは、これから作る2次方程式の解ではありません。

これから作る2次方程式の解はα2,β2です。きちんと区別しましょう。

情報を整理して、対応関係を把握しよう

  • α,β :2次方程式2x2-x+3=0の解
  • α2,β2 : これから作る2次方程式の解

とりあえず、混乱を避けるために、求めたい2次方程式を作ってしまいます。

問の解答例 1⃣

α2 , β2 を解とする 2 次方程式の 1 つはx2(α2+β2)x+α2β2=0と表せる。

①式から、2次方程式を決定するには、1次の項の係数と定数項を求めれば良いことが分かります。これらを求めるには、α,βの値が必要です。しかし、α,βの値を個別に求める必要はありません。

和や積を見て気付くのは、解と係数の関係です。与えられた2次方程式を利用すると、α,βの値自体を知ることはできませんが、α,βの和と積を求めることができます。

問の解答例 2⃣

ここで、2 次方程式2x2x+3=0において、解と係数の関係よりα+β=12=12αβ=32

解と係数の関係から、α,βの和と積を求めることができました。これらを利用して、①式の係数や定数項を求めます。

問の解答例 3⃣

x2(α2+β2)x+α2β2=0α+β=12=12αβ=32①においてα2+β2=(α+β)22αβα2β2=(αβ)2となるので、②,③よりα2+β2=(12)2232=114α2β2=(32)2=94

これで①式の係数と定数項を求めることができました。これらを①式に代入します。

問の解答例 4⃣

x2(α2+β2)x+α2β2=0α2+β2=(12)2232=114α2β2=(32)2=94これらを①に代入するとx2(114)x+94=0すなわちx2+114x+94=0両辺に 4 を掛けると4x2+11x+9=0

問のように、作った2次方程式の係数や定数項が分数になることがあります。このような場合には、適当な数を両辺に掛けて、できるだけ簡単な整数にします。

「2数がどのような等式を満たすか」から2次方程式を作成する

問について別な視点から考えてみましょう。問において、α,βは、与えられた2次方程式の解です。ですから、方程式に解α,βを代入したとき、等式が成り立ちます。

問の別解例 1⃣

α , β は 2 次方程式2x2x+3=0の解であるので、等式2α2α+3=02β2β+3=0が成り立つ。

①,②式を一般化したものが、与えられた2次方程式です。①,②式を一般化すると、同じ2次方程式になります。ですから、α,βは、与えられた2次方程式の解となるわけです。

この考え方を利用して、α2,β2がどのような等式が成り立つのかを考えれば、求めたい2次方程式を得ることができます。

問の別解例 2⃣

2α2α+3=02β2β+3=0①を変形して2α2+3=α両辺を 2 乗して整理すると4α4+11α2+9=0これに α2=γ を代入すると4γ2+11γ2+9=0β2=δ についても同様に、②より4δ2+11δ2+9=0が成り立つ③,④から γ , δ を解とする2 次方程式は4x4+11x2+9=0

③,④式から分かるように、γ,δの部分は異なりますが、係数や定数項は同じ等式です。

このような③,④式を一般化すると、同じ2次方程式になります。このことから、γ,δは共通の2次方程式の解であると考えることができます。γ=α2,δ=β2なので、この方程式が2つの解α2,β2をもつ2次方程式になります。

方程式の解と成り立つ等式の関係を理解することが大切です。たとえば、グラフの式と座標もこの関係に相当します。

少し難しい考え方かもしれませんが、記述形式の問題では意外と出題されています。覚えておきたい事項です。

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さいごにもう一度まとめ

  • 2数を解とする2次方程式の作成では、2数の和と積を求めよう。
  • 和と積が与えられた2数は、2次方程式の解に等しいことを利用しよう。
  • 2数がどの2次方程式の解であるのかをしっかりと把握しよう。
  • どのような等式が成り立つのかを考えることで、2数を解とする2次方程式を作ることができる。