図形と計量|三角比の相互関係について その1

05/20/2017数学1三角比,三角比の相互関係,三角比の拡張,図形と計量

三角比の相互関係について

三角比の相互関係を導出しよう

三角比の相互関係を表す式を導出してみましょう。

既習内容を確認できたり、式変形のコツを知ることができたりします。ぜひともチャレンジして下さい。

正弦と余弦の相互関係を導出しよう

正弦と余弦の相互関係
\begin{equation*}
\sin ^{ 2 }{ \theta } +\cos ^{ 2 }{ \theta } =1
\end{equation*}

座標平面において、中心を原点 $O$ とする半径 $r$ の円と、その円周上の点P $(x \ , \ y)$ を考えます。

座標平面での三角比

点Pから $x$ 軸に垂線を下ろすと、OPを斜辺とする直角三角形ができます。この直角三角形において三平方の定理が成り立つので、以下の式を得ることができます。

\begin{equation*}
{x}^{2}+{y}^{2} = {r}^{2}
\end{equation*}

ここから腕の見せ所になります。得られた等式を変形をしていきます。まず、両辺を半径 $r$ の2乗で割ります。

\begin{align*}
&{x}^{2}+{y}^{2} = {r}^{2} \\[ 5pt ]
&\text{両辺を} \ {r}^{2} \ \text{で割ると} \\[ 5pt ]
&\frac{{x}^{2}}{{r}^{2}} +\frac{{y}^{2}}{{r}^{2}} = 1
\end{align*}

次は指数法則を利用して、左辺の各項を変形します。

\begin{align*}
&\vdots \\[ 5pt ]
&\text{指数法則より} \\[ 5pt ]
&{ \left(\frac{x}{r} \right) }^{2} + { \left(\frac{y}{r} \right) }^{2} =1
\end{align*}

左辺の各項を三角比に置き換えて整理します。

\begin{align*}
&\vdots \\[ 5pt ]
&\cos \theta = \frac{x}{r} \ , \ \sin \theta = \frac{y}{r} \ \text{より} \\[ 5pt ]
&{ \left(\cos \theta \right) }^{2} + { \left(\sin \theta \right) }^{2} =1 \\[ 5pt ]
&\cos ^{ 2 }{ \theta } + \sin ^{ 2 }{ \theta } =1 \\[ 5pt ]
&\therefore \ \sin ^{ 2 }{ \theta } +\cos ^{ 2 }{ \theta } =1
\end{align*}

余弦の相互関係を導出するために、三平方の定理、等式の性質、指数法則を利用しています。

指数法則を利用した変形は意外とできない人が多い。累乗を扱う機会が多いのでしっかりマスターしておこう。

正弦と余弦の相互関係の導出をまとめると以下のようになります。

正弦と余弦の相互関係

要注意 $\sin ^{ 2 }{ \theta }$ と $\sin { \theta }^{ 2 }$ は別物!?

定義に無頓着な人ほど $\sin ^{ 2 }{ \theta }$ と $\sin { \theta }^{ 2 }$ の扱いを一緒にしてしまいます。

角θに対する正弦は $\sin \theta$ と表します。この正弦の値を2乗するとき、どのように表せば良いでしょうか?

三角比の累乗の表し方
正しい表し方:${ \left(\sin \theta \right) }^{2}$ または $\sin ^{ 2 }{ \theta }$
誤った表し方:$\sin { \theta }^{ 2 }$

角θに対する正弦は $\sin \theta$ と定義されているので、$\sin \theta$ だけで1つの記号として扱います。

ですから、角θに対する正弦 $\sin \theta$ の2乗は、丁寧に表せば ${ \left(\sin \theta \right) }^{2}$ となります。また、カッコを外して簡略化した表し方が $\sin ^{ 2 }{ \theta }$ です。

それに対して誤った表し方の $\sin { \theta }^{ 2 }$ は、角 ${\theta}^{2}$ に対する正弦を表します。たとえば、30度に対する正弦と900度に対する正弦が異なることは明らかです。このように、${ \left(\sin \theta \right) }^{2}$ と $\sin { \theta }^{ 2 }$ は全くの別物です。

カッコの有無で式の意味が変わってしまう。

このような誤解が生じたのは角θに指数が付いてしまうからです。これを防ぐため、三角比の累乗では、正弦や余弦の値を累乗していることが分かるように、sinやcosの直後に指数を書くようにします。

三角比の累乗を表す場合、これまでとは違う独特の表記なので早く慣れよう。

正弦・余弦・正接の相互関係を導出しよう

正弦・余弦・正接の相互関係
\begin{equation*}
\tan { \theta } =\frac { \sin { \theta } }{ \cos { \theta } }
\end{equation*}

三角比の拡張で得られた3つの式を利用して導出します。まず正弦と余弦の式を変形します。

\begin{align*}
\sin \theta &= \frac{y}{r} \ \text{より} \\[ 5pt ]
y &= r \sin \theta \\[ 5pt ]
\cos \theta &= \frac{x}{r} \ \text{より} \\[ 5pt ]
x &= r \cos \theta
\end{align*}

変形した2式を正接の式に代入して整理します。

\begin{align*}
&\vdots \\[ 5pt ]
\tan \theta &= \frac{y}{x} \\[ 5pt ]
\tan \theta &= \frac{r \sin \theta}{r \cos \theta} \\[ 5pt ]
\therefore \ \tan \theta &= \frac{ \sin \theta}{ \cos \theta}
\end{align*}

別の導出例は以下のようになります。「辺々割る」という耳慣れない用語がありますが、左辺どうし、右辺どうしを割ることです。

正弦・余弦・正接の相互関係を導出しよう

見た目は異なるが等しい値で両辺を割る。等式の性質の応用的な使い方。等しい関係であれば、必ず同じ数や式で乗除算しなくても良いということ。等比数列の一般項を求めるときにも使われる。

余弦と正接の相互関係を導出しよう

余弦と正接の相互関係
\begin{equation*}
1 + \tan ^{ 2 }{ \theta } =\frac { 1 }{ \cos ^{ 2 }{ \theta }}
\end{equation*}

余弦と正接の相互関係は、正弦と余弦の相互関係から導出されます。この相互関係は等式の証明や微積の単元(特に数3)などでよくお世話になります。

正弦と余弦の相互関係を表す式を変形します。

\begin{align*}
&\sin ^{ 2 }{ \theta } +\cos ^{ 2 }{ \theta } =1 \\[ 5pt ]
&\text{両辺を} \ \cos ^{ 2 }{ \theta } \ \text{で割ると} \\[ 5pt ]
&\frac{\sin ^{ 2 }{ \theta }}{\cos ^{ 2 }{ \theta }} + 1 = \frac{1}{\cos ^{ 2 }{ \theta }} \\[ 5pt ]
&{\left( \frac{ \sin \theta }{\cos \theta } \right)}^{2} + 1 = \frac{1}{\cos ^{ 2 }{ \theta }}
\end{align*}

次は正弦・余弦・正接の相互関係を利用します。

\begin{align*}
&\vdots \\[ 5pt ]
&\tan { \theta } =\frac { \sin { \theta } }{ \cos { \theta } } \ \text{より} \\[ 10pt ]
&{\left( \tan \theta \right)}^{2} + 1 = \frac{1}{\cos ^{ 2 }{ \theta }} \\[ 5pt ]
&\tan ^{ 2 }{ \theta } + 1 = \frac{1}{\cos ^{ 2 }{ \theta }} \\[ 5pt ]
&\therefore \ 1 + \tan ^{ 2 }{ \theta } =\frac { 1 }{ \cos ^{ 2 }{ \theta }}
\end{align*}

指数法則を上手に利用して変形しています。また累乗の表し方にも注意が必要です。

余弦と正接の相互関係を導出しよう

次は実際に三角比の相互関係を扱った問題を解いてみましょう。