数学A|整数の問題で合同式を使ってみよう

数学A

整数の合同

連続する整数の性質について

一般に「連続するn個の整数にはnの倍数が含まれる」ことが分かっています。この整数の性質は特に証明なしで利用できます。

もしイメージが湧かないようであれば、1,2,3,4,5,……と書き並べてみると良いでしょう。

連続する3つの整数を1から順に取ってみると、3つの整数の中に必ず3,6,9,……などの3の倍数が含まれるはずです。

連続するn個の整数のうち、いずれかはnの倍数。

また、連続する3つの整数には、2の倍数(偶数)と3の倍数が含まれる。nに奇数または偶数などの条件がないとき、連続する3つの整数の積は、2かつ3の倍数、すなわち6の倍数。

連続する3つの整数の積は6の倍数であることを証明する問題や、6の倍数であることを利用する問題がよく出題されます。覚えておくと良いでしょう。

話が逸れましたが、例題の続きに戻りましょう。

例題(3)の解答・解説

例題(3)

$n$ が奇数であるとき、$n^{5}-n$ が $120$ の倍数であることを証明せよ。

例題(3)でも合同式を利用しますが、120で割ったときの余りを考えるのはかなり大変です。ですから、少し工夫して解きます。

例題(3)の解答例

\begin{align*} n^5-n &= n \left(n^4-1 \right) \\[ 7pt ] &= n \left(n^2-1 \right) \left(n^2+1 \right) \end{align*}

$(1) \ , \ (2)$ より、$n$ が奇数であるとき、$n^5-n$ は $8$ かつ $3$ の倍数である。

\begin{align*} \quad 120 = 2^3 \times 3 \times 5 \end{align*}

であるので、$n$ が奇数であるとき、$n^5-n$ は $5$ の倍数であることを示せばよい。

$n$ が奇数であるので、$n$ を $5$ で割ったときの余りは

\begin{align*} &\quad 0 \ , \ 1 \ , \ 2 , \ 3 , \ 4 \\[ 7pt ] &\text{である。} \\[ 5pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad n \equiv 0 \ , \ 1 \ , \ 2 , \ 3 , \ 4 \pmod 5 \\[ 7pt ] &\text{ここで} \\[ 5pt ] &\begin{array}{c|ccccc} n & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 \\ \hline n^5 & 0 & 1^5 \equiv 1 & 2^5 \equiv 2 & 3^5 \equiv 3 & 4^5 \equiv 4 \\ \hline n^{5}-n & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \\[ 10pt ] &\text{表より} \\[ 5pt ] &\quad n^5-n \equiv 0 \pmod 5 \\[ 7pt ] \end{align*}

よって、$n$ が奇数のとき、$n^{5}-n$ は $8$ かつ $3$ かつ $5$ の倍数、すなわち $120$ の倍数である。

例題(1)~(3)を合同式で解いてみましたが、意外と簡単に解けると分かったのではないでしょうか。

例題(3)の別解例

例題(3)についても指導要領内の知識で解きます。

例題(1),(2)はそれほど難易度の高い問題ではありませんが、例題(3)はそうでもありません。例題(3)の難易度は、例題(1),(2)の結果を上手に活かせるかどうかで変わってきます。

特定の数を因数にもつ(特定の数の倍数である)ことを示す場合

「n5-nが120の倍数である」ことを示すには、「5-nが120を因数にもつ」ことを示す必要があります。

例題(1),(2)の結果から「n5-nが8,3を因数にもつ(8かつ3の倍数である)」ことが分かります。また、120を因数分解すると、120=8×3×5です。これらから「5-nが5を因数にもつ(5の倍数である)」ことだけを示せば良いことが分かります。

例題(1),(2)を利用して、「120を因数にもつ」から「5を因数にもつ」ことの証明に置き換える。

別解例1では、5を因数にもつ(5の倍数である)ことを示すために、連続する5つの整数の積を導出しています。この式変形が難しいと思われます。

例題(3)の別解例1

\begin{align*} &n^5-n \\[ 7pt ] = \ &\left(n-1 \right) n\left(n+1 \right) \left(n^2+1 \right) \\[ 7pt ] = \ &\left(n-1 \right) n\left(n+1 \right) \left\{ \left(n+2 \right) \left(n+3 \right) -5\left(n+1 \right) \right\} \\[ 7pt ] = \ &\left(n-1 \right) n\left(n+1 \right) \left(n+2 \right) \left(n+3 \right) -5\left(n-1 \right) n \left(n+1 \right)^2 \end{align*} \begin{align*} &\text{ここで} \\[ 5pt ] &\quad (n-1) \ , \ n \ , \ (n+1) \ , \ (n+2) \ , \ (n+3) \end{align*}

は連続する $5$ つの整数であるので、この中には $5$ の倍数が含まれる。

\begin{align*} &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad \left(n-1 \right) \ n \ \left(n+1 \right) \left(n+2 \right) \left(n+3 \right) \\[ 7pt ] &\text{は $5$ の倍数である。} \\[ 5pt ] &\text{また} \\[ 5pt ] &\quad 5\left(n-1 \right) n \left( n+1 \right)^2 \\[ 7pt ] &\text{は $5$ を因数にもつので $5$ の倍数である。} \\[ 5pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad \left(n-1 \right) n\left(n+1 \right) \left(n+2 \right) \left(n+3 \right) -5\left(n-1 \right) n \left( n+1 \right)^2 \\[ 7pt ] &\text{は、$5$ の倍数である。} \\[ 5pt ] &\text{これと $(1) \ , \ (2)$ より} \\[ 5pt ] &\quad \left(n-1 \right) n \left(n+1 \right) \left(n+2 \right) \left(n+3 \right) -5\left(n-1 \right) n \left( n+1 \right)^2 \\[ 7pt ] &\text{は $8$ かつ $3$ かつ $5$ の倍数、すなわち $120$ の倍数となる。} \end{align*}

したがって、$n$ が奇数であるとき、$n^5-n$ は $120$ の倍数である。

連続するn個の整数にはnの倍数が含まれる。

因数を考える場合、基本的に式全体が積の形(単項式)となるように式を変形します。しかし、本問では和の形(多項式)に変形しなければなりません。

この式変形はかなり難易度が高く、初見で解くことは難しいでしょう。解けなくてもあまり気にしないようにしましょう。

また、多項式の形に変形したので、各項ごとに因数を吟味しなければならない点にも注意しましょう。

余りに注目して解く場合

別解例1のような式変形を思いつかなければ、余りに着目した方が解きやすいかもしれません。

次の別解例2では、nを5で割ったときの余りで分類し、それぞれの場合で吟味しています。余りに着目して解く問題は指導要領内でも出題されるので覚えておきましょう。

例題(3)の別解例2

\begin{align*} \quad n^5-n = \left(n-1 \right) n \left(n+1 \right) \left(n^2+1 \right) \end{align*}

$(1) \ , \ (2)$ より、$n$ が奇数であるとき、$n^5-n$ は $8$ かつ $3$ の倍数である。

\begin{align*} \quad 120 = 2^3 \times 3 \times 5 \end{align*}

であるので、$n$ が奇数であるとき、$n^5-n$ は $5$ の倍数であることを示せばよい。

\begin{align*} &\text{$n$ を $5$ で割ったときの余りに着目すると} \\[ 5pt ] &\quad n=5k \ , \ 5k+1 \ , \ 5k+2\ , \ 5k+3 \ , \ 5k+4 \\[ 7pt ] &\quad \text{($k$ は整数)} \\[ 5pt ] &\text{とおける。} \\[ 7pt ] &(i) \ n=5k \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad n=5k \\[ 7pt ] &\text{より、$n^5-n$ は $5$ の倍数である。} \\[ 7pt ] &(ii) \ n=5k+1 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad n-1=5k \\[ 7pt ] &\text{より、$n^5-n$ は $5$ の倍数である。} \\[ 7pt ] &(iii) \ n=5k+2 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad n^2+1= \left(5k+2 \right)^2+1 = 5 \left(5k^2 + 4k + 1 \right) \\[ 7pt ] &\text{より、$n^5-n$ は $5$ の倍数である。} \\[ 7pt ] &(iv) \ n=5k+3 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad n^2+1= \left(5k+3 \right)^2+1 = 5 \left(5k^2+6k+2 \right) \\[ 7pt ] &\text{より、$n^5-n$ は $5$ の倍数である。} \\[ 7pt ] &(v) \ n=5k+4 \ \text{のとき} \\[ 5pt ] &\quad n+1=5\left(k+1 \right) \\[ 7pt ] &\text{より、$n^5-n$ は $5$ の倍数である。} \\[ 5pt ] \end{align*}

$(i)$ ~ $(v)$ より、$n$ が奇数であるとき、$n^5-n$ は $5$ の倍数である。

したがって、$n^5-n$ は $8$ かつ $3$ かつ $5$ の倍数、すなわち $120$ の倍数である。

余りに着目して数を分類することで、場合分けして吟味できる。たとえば、偶数と奇数は2で割ったときの余りで分類したもの。

場合分けでの吟味は、n5-nよりも因数分解後の式を利用した方が簡単です。式変形が最小限で済む別解例2の方が、別解例1よりも解きやすいかもしれません。

次の別解例3では、nを5で割ったときの余りと、5を5で割ったときの余りにそれぞれ注目して、n5-nが 5の倍数であることを示しています。

この別解例の利点は、nをn=5k,5k+1,5k+2,5k+3,5k+4と表さなくて良いことです。ただ、数式を極力使わないかどうかの違いだけで、別解例2や合同式の考え方と実質的に同じです。

答案としては微妙かもしれませんが、合同式の性質にもあったように、整数の性質として覚えておくと良いでしょう。

例題(3)の別解例3

$(1) \ , \ (2)$ より、$n$ が奇数であるとき、$n^5-n$ は $8$ かつ $3$ の倍数である。

\begin{align*} \quad 120 = 2^3 \times 3 \times 5 \end{align*}

であるので、$n$ が奇数であるとき、$n^5-n$ は $5$ の倍数であることを示せばよい。

\begin{align*} &\text{$n$ を $5$ で割ったときの余りは} \\[ 5pt ] &\quad 0 \ , \ 1 \ , \ 2 \ , \ 3 \ , \ 4 \\[ 7pt ] &\text{のいずれかになる。} \\[ 7pt ] &\text{$(i) \ n$ を $5$ で割ったときの余りが $0$ であるとき} \\[ 5pt ] &\quad \text{$n^5$ を $5$ で割ったときの余りは $0$} \\[ 7pt ] &\text{$(ii) \ n$ を $5$ で割ったときの余りが $1$ であるとき} \\[ 5pt ] &\quad \text{$n^5$ を $5$ で割ったときの余りは $1$} \\[ 7pt ] &\text{$(iii) \ n$ を $5$ で割ったときの余りが $2$ であるとき} \\[ 5pt ] &\quad \text{$n^5$ を $5$ で割ったときの余りは $2$} \\[ 7pt ] &\text{$(iv) \ n$ を $5$ で割ったときの余りが $3$ であるとき} \\[ 5pt ] &\quad \text{$n^5$ を $5$ で割ったときの余りは $3$} \\[ 7pt ] &\text{$(v) \ n$ を $5$ で割ったときの余りが $4$ であるとき} \\[ 5pt ] &\quad \text{$n^5$ を $5$ で割ったときの余りは $4$} \end{align*}

$(i)$ ~ $(v)$ より、$n$ を $5$ で割ったときの余りと $n^5$ を $5$ で割ったときの余りは等しくなるので、$n^5-n$ を $5$ で割ったときの余りは $0$ となる。

よって、$n$ が奇数であるとき、$n^5-n$ は $5$ の倍数である。

したがって、$n^5-n$ は $8$ かつ $3$ かつ $5$ の倍数、すなわち $120$ の倍数である。

別解例3であれば、因数分解による式変形を必要としません。自分なりに書けそうな答案を考えてみると良いでしょう。

ある整数aの倍数であることを証明する問題について

方針1 … ある整数aを因数にもつことを示す

⇒ 式の因数分解、連続する整数の性質などをマスターしておこう

方針2 … ある整数aで割ったときの余りに着目

⇒ 式の因数分解、余りによる整数の分類、場合によっては合同式などをマスターしておこう

Recommended books

整数の性質を扱った問題は、難関大なら必修でしたが、センター試験でも扱われるようになりました。

難しく感じる人もいるかもしれませんが、複雑な公式や図形を扱うことがないので、その気になれば得点源にできる単元です。単元別の問題集で集中的に取り組んでマスターしましょう。

これから紹介する教材で気になるものがあれば、ぜひ一読してみて下さい。気に入ったら最後まで徹底的にこなしましょう。

オススメその1

2週間で完成!整数問題 入試対策編』は、教科書レベルから始めて大学入試の実戦レベルまで、最大効率で習得できる問題集です。新課程の整数問題に対応しています。問題数が47題なので、短期間でこなしたいなら候補に入れて良いでしょう。

【教科書編】
問題数16題。新課程版教科書「整数の性質」の項目に沿って配置。
教科書編項目:約数と倍数/約数の個数と総和/最大公約数と最小公倍数/剰余による分類/ユークリッドの互除法とディオファントス方程式/p進法/循環小数/合同式/部屋割り論法

【実戦問題のレベル別編】
初級編20題、中級編5題、上級編6題。
難関大学の整数問題に十分対処できるようにすることを目標として作成。
できる限り数学1・数学Aの範囲にとどめるように問題を選択。
ただし、二項定理・高次の多項式の因数分解・数列の問題あり。

数学1・Aの範囲内にとどめるように配慮されているおかげで、数学1・Aの学習直後から取り組めます。学習したてなら苦手意識がつく前なので、スムーズに取り組めるでしょう。

オススメその2

教科書だけでは足りない大学入試攻略 整数』では、入試の整数問題1000題から選ばれた問題が収録されています。例題、類題、力試し問題と3ステップで進めていけるので、自分の学力に合わせて周回できます。解答例や解説は、高校までに学んだ知識だけで理解できるように配慮されているので、数学が苦手な人にも取り組みやすくなっています。

整数問題は、難関大入試では頻出で、しかも教科書の問題と入試とではそのレベルの差が激しい分野のひとつです。また、経験値がものをいう問題が多いことも確かです。そこで、ここ数十年の大学入試の整数問題約1000題の中からぜひやっておきたい問題を例題、類題、力だめし問題として計81題セレクトしました。

高校までに学んだ知識だけで理解できる解説、解答例を作成しています。

定石を身に付けつつ、入試を想定した問題を解いてみたいのなら候補に入れて良いでしょう。

オススメその3

改訂第2版 佐々木隆宏の整数問題が面白いほどとける本』は、教科書レベルから難関大学対策までに対応した参考書兼問題集です。基本事項では、具体例をあげながら解説されているので、イメージしやすいでしょう。文系で数学を必要とする人にも向いています。

また、大学入試レベルの問題では、実際に解くときの考察手順が詳細に記載されているので、自分のアプローチのやり方と比較することができます。整数についての知識が足りなくて、問題を解くには早いと考えているのなら候補に入れて良いでしょう。

オススメその4

マスター・オブ・整数』は、初歩・基本のレベルから発展的レベルまでを幅広く解説した参考書兼問題集です。4部構成ですが、大学受験対策としては、第3部を重点的に取り組むと良いでしょう。

第1部:中学上位生~高1・2年生が興味をもって無理なく取り組める系統別の問題演習。
第2部:整数、場合の数それぞれの重要手法のイメージ化に重点をおいて詳しく解説。
第3部:大学受験問題の系統だった解説。
第4部:興味深い問題・発展演習。

少し難易度の高い教材ですが、難関大を目指す理系志望者なら候補に入れて良いでしょう。

さいごにもう一度まとめ

  • 合同式を利用すると、整数の問題を意外と簡単に解くことができる。
  • 整数の合同は、同じ数で割ったときの余りが等しいときに成り立つ。
  • 「~の倍数」であることの証明では、因数または余りに着目して解く。
  • 因数を利用した解き方では、連続する整数の関係に着目しよう。
  • 余りを利用した解き方では、数を分類して解こう。