確率|事象と確率について
確率を扱った問題を解いてみよう
次の問題を考えてみましょう。
問1(i)の解答・解説
問1(i)
$2$ 個のサイコロを同時に投げるとき、次の確率を求めよ。
目の和が $4$ になる確率
問1は、2個のサイコロを同時に投げるときの確率を求める問題です。
2個のサイコロの目を区別します。このとき、目の出方は同じ程度に期待できます。2個のサイコロを同時に振ったとき、その目の出方のそれぞれを根元事象に定めます。
1個のサイコロにつき、目の出方は6通りです。一方の目の出方のそれぞれについて、他方の目の出方は6通りずつあります。ですから、目の出方の総数は、積の法則から得られます。
問1(i)の解答例 1⃣
$2$ 個のサイコロを区別して考える。このとき、目の出方の総数は
\begin{align*} \quad 6 \times 6=36 \text{(通り)} \end{align*}36通りの根元事象を要素にもつのが全事象なので、起こりうるすべての場合の数は36通りです。
問1(i)では、目の和が4になる事象が起こる場合の数を数え上げる必要があります。目の和を表にまとめます。
問1(i)の解答例 2⃣
$2$ 個のサイコロを同時に振ったとき、目の和を表にまとめると
\begin{align*} \begin{array}{c|cccccc} {\tiny \text{ワ $A$}} \ \backslash \ {\tiny \text{ワ $B$}} & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 \\ \hline 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 \\ 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 \\ 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 \\ 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 \\ 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 & 11 \\ 6 & 7 & 8 & 9 & 10 & 11 & 12 \end{array} \end{align*}表から、目の和が $4$ になる目の出方は $3$ 通りある。
表から分かるように、目の和が4になる事象は3通りあります。目の和が4になる事象は根元事象ではないことに注意しましょう。
目の和が4になる事象が起こる場合の数が分かったので、公式に代入して確率を求めます。
問1(i)の解答例 3⃣
よって、求める確率は
\begin{align*} \quad \frac{3}{36} = \frac{1}{12} \end{align*}問1(ii)の解答・解説
問1(ii)
$2$ 個のサイコロを同時に投げるとき、次の確率を求めよ。
目の差が $4$ になる確率
問1(ii)では、目の差が4になる事象が起こる場合の数を数え上げる必要があります。
起こりうるすべての場合の数は、問1(i)ですでに求めた36通りなので、ここでは省略します。
目の差を表にまとめます。
問1(ii)の解答例 1⃣
$2$ 個のサイコロを同時に振ったとき、目の差を表にまとめると
\begin{align*} \begin{array}{c|cccccc} {\tiny \text{サ $A$}} \ \backslash \ {\tiny \text{サ $B$}} & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 \\ \hline 1 & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 \\ 2 & 1 & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 \\ 3 & 2 & 1 & 0 & 1 & 2 & 3 \\ 4 & 3 & 2 & 1 & 0 & 1 & 2 \\ 5 & 4 & 3 & 2 & 1 & 0 & 1 \\ 6 & 5 & 4 & 3 & 2 & 1 & 0 \end{array} \end{align*}表から、目の差が $4$ になる目の出方は $4$ 通りある。
目の差が4になる事象も、4通りの出目があるので根元事象ではありません。
目の差が4になる事象が起こる場合の数が分かったので、公式に代入して確率を求めます。
問1(ii)の解答例 2⃣
よって、求める確率は
\begin{align*} \quad \frac{4}{36} = \frac{1}{9} \end{align*}問1のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問2の解答・解説
問2
赤玉 $2$ 個と白玉 $4$ 個が入っている袋から、$3$ 個の玉を同時に取り出すとき、赤玉 $1$ 個と白玉 $2$ 個が出る確率を求めよ。
問2は、袋に入った6個の玉を取り出す問題です。同じ色の玉がありますが、6個の玉を区別して扱います。
6個の玉を区別し、どの玉を引くのかに注目することによって、それぞれの玉を引く事象が同じ程度に起こると期待できます。
起こりうるすべての場合の数は、区別した6個の玉から3個を取り出すときの組合せの総数です。
問2の解答例 1⃣
すべての玉を区別して考える。このとき、$6$ 個の玉から $3$ 個を同時に取り出すので、その取り出し方の総数は
\begin{align*} \quad {}_6 \mathrm{ C }_3 \text{(通り)} \end{align*}起こりうるすべての場合の数を求めたら、赤玉1個と白玉2個の取り出し方を考えます。
赤玉1個の取り出し方のそれぞれについて、白玉2個の取り出し方があります。積の法則を利用して求めます。
問2の解答例 2⃣
また、赤玉 $2$ 個と白玉 $2$ 個の取り出し方は、積の法則から
\begin{align*} \quad {}_2 \mathrm{ C }_1 \times {}_4 \mathrm{ C }_2 \text{(通り)} \end{align*}赤玉1個と白玉2個を取り出す事象が起こる場合の数が分かったので、公式に代入して確率を求めます。
問2の解答例 3⃣
よって、求める確率は
\begin{align*} \quad \frac{{}_2 \mathrm{ C }_1 \times {}_4 \mathrm{ C }_2}{{}_6 \mathrm{ C }_3} &= \frac{2 \cdot \frac{4 \cdot 3}{2 \cdot 1}}{\frac{6 \cdot 5 \cdot 4}{3 \cdot 2 \cdot 1}} \\[ 10pt ] &= \frac{4 \cdot 3}{5 \cdot 4} \\[ 10pt ] &= \frac{3}{5} \end{align*}組合せを求めるとき、分数が出てきます。解答例では、確率の公式に代入してから組合せを計算しているので、煩雑になっています。このような計算だとミスが増える原因になります。
組合せを用いる場合、確率の公式に代入する前に計算しておいた方がミスを減らせるでしょう。
問2のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
ここで扱った問題は根元事象を定めやすい題材でしたが、問題によっては分かりにくい場合があります。問題の但し書きに注意して、根元事象をしっかりと見極めましょう。
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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう
- 単元の導入部分で用語とその定義をしっかり覚えよう。
- 試行は実験、事象は実験の結果。
- 根元事象は1つの要素(1つの結果)をもつ部分集合。
- 根元事象は同じ程度に起こると期待できるように決めよう。
- 根元事象の数を数え上げよう。
- サイコロやカードを区別して考えよう。